池上哲司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「老い」や「介護」「死」といった問題に、倫理学の視点から考察をおこなっている本です。人間存在の時間構造から「生」と「死」の問題に迫ったマックス・シェーラーや、かけがえのない他者との人格的な交流を通じて、みずからを「死」に臨む個性的な人格として了解するようになると論じたランツバーグらの思想が手がかりにされていますが、学説の紹介にとどまらず、日常的な「老い」や「死」の経験につきしたがいながら、流麗な文章で著者の思索が綴られています。
中井英夫は、死を前にした寺山修司から「人は死んだらどこへゆくのか」とたずねられたといいます。寺山の死後、この問いを抱えつづけた中井は、やがて「人は死んだら、残された