小野容照のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この書籍のタイトル「親日派」とは、韓国併合時や植民地時代の朝鮮で日本に協力した人々のことで、売国奴とも位置付けられる。彼らは日本の敗戦によって排撃されるように思われたが、李承晩政権は結果として処罰に消極的で、むしろ社会の中枢を担っていた。しかし、その後の民主化に伴って親日派への批判が再燃し、現在でも清算しきれていない問題になっている。
本書はこのような親日派を巡る韓国近現代史を描いた一冊。韓国併合条約に調印した李完用の現実主義的な政治思想、李承晩政権が親日派を登用した背景、民主化後における親日派の意味するところの変容など、丁寧に述べられており興味深い。特に、民主化以後は韓国国内における保守派(権威主義)と進歩派の政治的な対立に際して用いられた概念に変化していった過程が述べられており説得力がある。
韓国の政権が交替するたびに反日的な言説が全面に出てきたり後景に引いたりすることに一喜一憂しがちだけど、結局のところ韓国国内の政治対立にリンクしている状況を踏まえると、我々はもう少し冷静になって向き合った方がいいのかも。
もちろん、戦前の日本は朝鮮に対して良いことをしたのだという右派的な言説は安直すぎて距離を置くべきだと思う。日本の左右いずれのメディアもこのような歴史を押さえた論調になっていないことを痛感した。