塚本虎二のレビュー一覧
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新約聖書は人生の中で何度も引くことがあったし、その言葉には少なくない影響を受けてきた。だけど、マルコ以外は初めて通読した。共観福音書の重複の多さや、ヨハネが霊肉二元論的であることなどの特徴を知ることができた。ヨハネの福音書のイエスと弟子の最期の対話はとても感動的だ。
我々の文明がキリスト教の影響下にあることを差引いても、およそ二千年前にこれほど普遍的に心を打つような言葉と行動を示した宗教者がいたことに驚く。イエスは言葉の天才であり、人間愛を最も直接的に体現した思想家であった。彼が神の子であることを信じると否とを問わず、最も偉大な宗教者の一人であることを認めざるを得ない。譬えを多用し、ときに強い -
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新約聖書 福音書
(和書)2012年08月04日 14:39
1963 岩波書店 塚本 虎二
福音書を読む。二回目です。最近フーコーさんのパレーシアや柄谷さんの無支配などいろいろ考えるところがあり、それがイエスと繋がりが深いと思ったので読み直してみました。真理を語ると言うところはイエスのパレーシアですね。
イエスの奇跡にある病を癒すところは、ソクラテスについてミシェル・フーコーさんが講義集成で指摘しているところがそのまま当て嵌まると思います。イエスが病を癒すのは「汝自身に専心せよ」ということが起こったのだと思う。「自分自身に専心せよ。自分自身に配慮せよ。」ということなのだろう。それによっ -
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塚本虎二による口語訳の福音書。日頃は新共同訳で触れていたが、これはこれでとても読みやすくてよかった。史的イエスの勉強をしていると、日本語訳の聖書はどれも意訳、解訳が多くて参考にならないと口をそろえて言われていますが、それをふまえたうえで読んでいると新しいことにもたくさん気づけます。巻末でそれぞれの福音書に対する説明や共感福音書について触れていて、それも参考になるし、各福音書の対応している事件には共通箇所の章節が記されているのがとてもわかりやすかったです。内村鑑三に師事した著者が晩年の30年以上をかけて新約聖書の口語訳をなしました。その偉業の一部。巻末にその当時の決心がうかがえるあとがきがあるの
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皇帝のもの(貨幣)は皇帝に返さなければならない。神のものは神に返さねばならない(12)▼持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまで取り上げられる(25:29)。『マルコの福音書』
神は善人にも悪人にも無償の愛を与える。人間たちも無償の愛をもってお互い接しなさい。右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい(5:38)。※自分が気に入った人だけによくしてあげるのは自己愛▼情欲を心に抱いて女を見るのは、その女を実際に犯しているのと同じ。心の行いは実際の行いと同じく重要である(5)▼神聖なものを犬に与えてはならない。真珠を豚に与えてはならない。食べ物ではないと見るやいなや噛みつい