【感想・ネタバレ】新約聖書 福音書のレビュー

あらすじ

新約聖書冒頭におかれた、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの四つの福音書は、それぞれにイエス・キリストの地上における言行を記録し、これを「喜びのおとずれ」として告げ知らせたもの。本文庫版は口語訳の実現に半生を捧げた訳者が、教説に捉われず、正確さ、分りやすさに全力を注いで成った万人のための福音書である。

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Posted by ブクログ

新約聖書は人生の中で何度も引くことがあったし、その言葉には少なくない影響を受けてきた。だけど、マルコ以外は初めて通読した。共観福音書の重複の多さや、ヨハネが霊肉二元論的であることなどの特徴を知ることができた。ヨハネの福音書のイエスと弟子の最期の対話はとても感動的だ。
我々の文明がキリスト教の影響下にあることを差引いても、およそ二千年前にこれほど普遍的に心を打つような言葉と行動を示した宗教者がいたことに驚く。イエスは言葉の天才であり、人間愛を最も直接的に体現した思想家であった。彼が神の子であることを信じると否とを問わず、最も偉大な宗教者の一人であることを認めざるを得ない。譬えを多用し、ときに強い言葉を使いながら、勘所では急所を衝くような簡潔な表現で心を射抜く。彼の言葉は優しくもドキッとさせるものであり、ページを繰る手を止められず一気に読んでしまった。
文庫化されているのは通読にありがたいが、訳については原典の言葉と補足する言葉が区別されているため、新共同訳などの方が直接心に迫り読みやすい。

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2024年02月29日

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新約聖書 福音書
(和書)2012年08月04日 14:39
1963 岩波書店 塚本 虎二


福音書を読む。二回目です。最近フーコーさんのパレーシアや柄谷さんの無支配などいろいろ考えるところがあり、それがイエスと繋がりが深いと思ったので読み直してみました。真理を語ると言うところはイエスのパレーシアですね。

イエスの奇跡にある病を癒すところは、ソクラテスについてミシェル・フーコーさんが講義集成で指摘しているところがそのまま当て嵌まると思います。イエスが病を癒すのは「汝自身に専心せよ」ということが起こったのだと思う。「自分自身に専心せよ。自分自身に配慮せよ。」ということなのだろう。それによって癒えるはものが奇跡とされたのだろうと思います。

口語訳自体は非常に読みやすく、聖書すべてをこの調子で翻訳して頂けたら是非すべて読んでみたいです。

ハローワークの休憩所で、読んでいて

『生活の心配をするな』 マタイ六・二五-三四(ルカ一二・二三-三一)

というものが非常にタイムリーだと思った。

P85L5-P86L3
「略・・・・・だからわたしは言う、何を食べようかと命のことを心配したり、また何を着ようかと体のことを心配したりするな。命は食べ物以上、体は着物以上の賜物ではないか。命と体とを下さった天の父上が、それ以下のものを下さらないわけはない。・・・・・略・・・・・あなた達は何よりも、御国と、神に義とされることとを求めよ。そうすれば食べ物や着物などこんなものは皆、求めずともつけたして与えられるであろう。だからあしたのことは心配するな。あしたはあしたが自分で心配する。一日の苦労はその日の分で沢山である。・・・・・略」

塚本虎二さんの口語訳は非常に読みやすく、読み物としてストレス無くなかなか有益でした。

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2020年09月26日

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私はキリスト教徒ではないが、マタイ伝が好きで複数回読んでいます。イエスの言葉は強く、弾丸のようです。ラビへの非難はとても厳しい。それは将来大教団となって本質を見失ってゆくであろう人々への極めて強い非難にも思えます。近親憎悪のような憎しみ、宗教の原則、愛情、教団の堕落、現世との対立、論争・・・。現代においても、古くならない本質的な問題に溢れています。

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2010年02月13日

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塚本虎二による口語訳の福音書。日頃は新共同訳で触れていたが、これはこれでとても読みやすくてよかった。史的イエスの勉強をしていると、日本語訳の聖書はどれも意訳、解訳が多くて参考にならないと口をそろえて言われていますが、それをふまえたうえで読んでいると新しいことにもたくさん気づけます。巻末でそれぞれの福音書に対する説明や共感福音書について触れていて、それも参考になるし、各福音書の対応している事件には共通箇所の章節が記されているのがとてもわかりやすかったです。内村鑑三に師事した著者が晩年の30年以上をかけて新約聖書の口語訳をなしました。その偉業の一部。巻末にその当時の決心がうかがえるあとがきがあるのもグッド。

09/5/11

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

皇帝のもの(貨幣)は皇帝に返さなければならない。神のものは神に返さねばならない(12)▼持っている人は更に与えられ、持っていない人は、持っているものまで取り上げられる(25:29)。『マルコの福音書』

神は善人にも悪人にも無償の愛を与える。人間たちも無償の愛をもってお互い接しなさい。右の頬を打たれたら左の頬を差し出しなさい(5:38)。※自分が気に入った人だけによくしてあげるのは自己愛▼情欲を心に抱いて女を見るのは、その女を実際に犯しているのと同じ。心の行いは実際の行いと同じく重要である(5)▼神聖なものを犬に与えてはならない。真珠を豚に与えてはならない。食べ物ではないと見るやいなや噛みついてくるだろう(7:6)▼求めよ、さらば与えられん。探せよ、さらば見つからん。叩けよ、さらば開かれん(7:7)▼滅びへの道は広い。多くの人がそこから入る。生命への道は狭い。それを見出す人は少ない。狭き門より入れ(7:13)▼イエス「わたしに従わない者は、わたしにふさわしくない。 自分の命を得ようとする者はそれを失い、わたしのために命を失う者はかえってそれを得る」(10:39)▼蛇のように知恵に満ち、鳩のように無邪気であれ(10)▼肉体を殺すことができても、霊魂を殺すことができない者を怖れるな。肉体と霊魂を滅ぼすことができる存在を怖れよ(10)▼ヘロデ大王(ローマのユダヤ属州を委任統治)。生まれたイエスが自分の地位を脅かすと恐れ、イエス殺害を試みるが、天使のお告げでイエスの一家はエジプトへ逃げる。ヘロデ死後、ナザレに戻る(14)▼金持ちが天国に行くのはラクダが針の穴を通るよりも難しい(19:23)。※弱者のうっぷんを「道徳」に変えたキリスト教(ニーチェ)▼剣を取る者は、剣で滅びる(26:52)。『マタイの福音書』

無条件に他人を慈しんで善行をなせ。ファリサイ派のように「清い者と清くない者、正しい人と罪人」など人間に線引きをするな▼お前の敵を愛せ。お前を憎む者に善いことをせよ。お前を呪う者を祝福せよ。お前を侮辱する者のために祈れ(6:27)▼マリアは聖霊によって妊娠、天使ガブリエルがマリアに妊娠を知らせた。イエスは神の奇跡によって生まれた。マリアの夫はヨセフ(ダビデの子孫)▼99匹の従順な羊をさしおいて、1匹のはぐれ羊を探しに行く羊飼い。個の大切さ▼ある金持ちが倉を建てて財産を蓄えた。飲んで食べて安楽に暮らそう。イエス「愚かな者よ、お前の命は今夜取り上げられる」(12:16-21)▼追剥(おいはぎ)に襲われて血だらけで倒れている人がいた。だれも助けようとしない。サマリア人がやってきて傷の手当をしてロバに乗せて宿屋に連れて行って介抱。銀貨を宿の主人に渡して去っていった(10:25-37)。※ゴッホの善きサマリア人。『ルカの福音書』

※放蕩息子のたとえ話。新約聖書『ルカによる福音書』15章11〜32節。

人間は心臓が止まると、死んだような死んでないような状態になる。仮の死。世界の終りに人々の前に神が現れ、死んでいた人にも肉体が与えられる。神はそこで人間に本当の死を与える。ただし一部の人に対して「永遠の生」(救済)を与え、神の国で永遠に生きることができる▼一粒の麦が地面に落ちて死ななければ一粒の麦のままだが、死ねば多くの実を結ぶ(12:24)▼光のあるうちに歩け。くれぐれも闇に追いつかれないように(12)▼復活したイエスは女従者(マグダラのマリア)に言った。「私にしがみついてはいけない (noli me tangereノリ・メ・タンジェレ)。私はまだ神のいる天国に上がっていない。ただ仲間に伝えてくれ。私は神のいる天国に行くと」(20:17)。『ヨハネの福音書』

イエスの死刑後。パリサイ派のユダヤ教信者パウロは、新興宗教のキリスト教を迫害していた。ある日、馬に乗っているとイエスの幻があらわれ「なぜ迫害するのだ」と問いかける。驚いたパウロは落馬して、目が見えなくなる。パウロが洗礼を受けてキリスト教に改宗すると、目から鱗のようなものが落ちて見えるようになった。改宗したパウロは、ローマ帝国を歩き周りユダヤ人以外の異教徒にキリスト教を布教した。『使徒行伝』

人はみな上に立つ権威に従え。神によらない権威はなく、存在している権威はすべて、神によって立てられたもの。権威に逆らっている人は、神の定めにそむいている。そむいた人は自分の身にさばきを招く(13)。*世俗の王の絶対主権の根拠に利用される(ボダン)▼必要以上に賢くなるな。ほどほどに賢くあれ。『 (パウロが出した)ローマ人への手紙』


クレタ人のエピメニデスが言った。「クレタ人はつねに嘘をつく」。もしそれが本当ならクレタ人のエピメニデスが本当のことを言っているので矛盾する。自己言及のパラドックス。『(パウロが出した)テトスへの手紙』

神の霊はお前たち一人ひとりの内に住む。お前たちは神の住む神聖な場所なのだ。もはや自分だけの体ではない(3)▼神はその人が耐えることのできない試練を与えない▼男同士で性交する者は神の国を継ぐことはできない(6)▼神がお前を知っているか不安か。お前がもし神を愛しているならば、神はお前を知っている(8)。『 (パウロが出した)コリント人への手紙』

ヨハネが見た未来の世界。天では中央の玉座に神が座り、その周りに24人の長老が座っている。神は封印された7つの巻物を持っている。子羊(イエス)が順番に封印を解いていく。第一の封印が解かれると偽キリストが現れて世界を惑わせた。第二の封印が解かれると戦争が起こった。第三の封印が解かれると星が川に落ち、水が苦よもぎのように苦くなって、多くの人が死んだ(チェルノブイリはウクライナ語で「苦よもぎ」の意味)。第四の封印が解かれると地上の4分の1の人が死んだ。第五の封印が解かれるとキリスト教のために死んだ殉教者たちが蘇った。第六の封印が解かれると大地震が起こり太陽は黒くなった。月は血の海となり、天の星は地に落ちた。善の勢力と悪の勢力がイスラエル北部(ハルマゲドン)に集結した(16:16)。第七の封印が解かれると、七人の天使にラッパが与えられた。そして、神の国で永遠に生きることができる者と永遠の死が与えられる者を決める審査(最後の審判)が始まった▼私はあなたが冷たいか、熱いかのどちらかであることを望む。あなたはなまぬるい。だから私はあなたを口から吐き出す(3)▼秘密の数字666は人間を示す(13)。『ヨハネの黙示録』※ヨハネの福音書の「ヨハネ」とは別人

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※イエス・キリスト。BC4生まれ、AC33死去。
※新約聖書。イスラエル民族全体が救われる(旧約聖書)ではなく、それぞれの個人が救われることにした。割礼せよ、豚食べるな等、細かな戒律をなくし、様々な文化の人に受け入れられる形にした。ギリシア語。ゾロアスター→ユダヤ→キリスト。
※ペテロ。漁師。ローマカトリックではペテロは初代教皇。教皇のとんがり帽子は漁師の帽子。
※ゲッセマネ。イエスがユダに裏切られ捕えられた場所。
※INRI (IESVS NAZARENVS REX IVDAEORVM)。ナザレのイエス、ユダヤ人の王。
※プロパガンダ。1622年にカトリック教会が創設した教義宣伝のための機関が由来。propagare 繁殖させる、種をまく。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

全てを読み終えてはいないのですが「マタイ伝」に感銘を受けました。
弟子の裏切りが展開されていく辺りは人間の業みたいなものを表していて怖いです。

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2011年08月06日

Posted by ブクログ

聖書は無料でもらったりもするんですがこれが一番理解しやすい。信仰心とかそんなのは残念ながら無いけど純粋に興味はあるって方には読みやすいのでおすすめ。
訳によって印象がだいぶ違うので、本格的に学ぶ方はこれ以外も読んだほうがいいです。私はこれで十分。

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2009年10月04日

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ヨーロッパに住むとキリスト教文化と付き合わないわけには行かない。彼等の生活と文化は多かれ少なかれ聖書と結びついてしまう。ヨーロッパ居住予定の人には一読をお勧めする。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

「異教徒のために祈る」って凄いことですよね。すばらしい教義です。「自分や家族のために祈ることは異教徒にもできる。」確かに。
マルコ伝あたりは本当にあったことなんだろうなあ、という気がします。超能力持ってる人はいますし。

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2013年03月17日

Posted by ブクログ

何はともあれ、兎にも角にも、読 み 終 わ っ た !
私、がんばった!

「何を、何故信じるのか?」が知りたくてここまで読んできました。
…やっぱり、分かんなかった。
予備知識ナシ、テキストのみ、ではやっぱり無謀だったか…。
歴史等含めた解説書を読みつつ、再トライ決定。

ひとつ、分かったコト。
私は、クリスチャンにはなれない。

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2011年06月26日

Posted by ブクログ

いわゆる新約聖書の福音書。

聖書には、福音書の他にも旧約聖書や黙示録・~への手紙などがあるが、現在のキリスト教の基本は福音書であす。
この福音書では、キリストが生まれてから死ぬまでを4人の人が語っている。それぞれ微妙に異なっていて面白いです。

口語訳でとてもわかりやすく書かれており、キリストの教えが一番よくわかる。

私は、キリスト教徒ではないが、キリスト教の良い部分を積極的に取り入れるため読んでいる。
精神的に安定した生活を送るために学ぶことが多いです。

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2010年04月07日

Posted by ブクログ

福音書。
新約聖書中にある4つの福音書。

多くは日本聖書教会発行の、新共同訳という訳のものが聖書のメインとなっている。

しかし、これは「個人」が訳した福音書なのである。

また、訳の仕方…というか表記の仕方が独特で、適時解釈を読みやすいように、流れが切れないように挿入し、より親しみやすいように試みが行われている。

また、新約聖書の解説などの付録もよい。

これと、新共同訳の聖書を合わせて読むと奥が深くなるかも。

ただ…イエスが話すたとえ話とか意味がわからないものがある(それはこの本に限らず)ので、聖書は勉強書が必要だなぁと思っている。

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2009年10月04日

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