薬師院仁志のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ・国民全体が政治に関心を持ち正しい知識を持たないと、耳障りの良い言葉を撒き散らすポピュリズムは台頭してくる。
・国民全体が政治リテラシーを上げるなんてことは不可能であるからポピュリズムの出現はこの不安多き社会では必然だった。炎上商法、迷惑系、強メンタル信者なども同じ原理だろうと思った。
・まずは自分に知識をつけることを最優先とし、その後自分への不利益を最小限にするもしくはそこで得できる方法論を考えていかなければならないと危機感を持たせてくれる一冊。
以下覚書
・綺麗事ではなく本音むき出しでやり返すことがポピュリズムの本質であり、それが実現されるかどうかはもはや重要ではない。
・弱者が自分の -
Posted by ブクログ
この本はすごい!!!!日本の国語教師は全員読むべきだ。
・野球のストライクと労働のストライキは英語は同じだが、日本語になると全然違ってしまう。
・動画とは、日本では昔アニメのことだった。
・日本で外来語を翻訳する際につくった造語が独り歩きし、元の意味とは違う独自の意味を帯びるようになっていく。
・『全訳 漢辞海』
・『現代に生きる 幕末・明治初期漢語辞典』
・コミュニティーとササイエティの違い。
・フランス語では、炊き出しの場所もマクドナルドもレストランと呼ばれる。
・「小説」は坪内逍遥による造語。ノベルは「新話」とでも。
・2012年4月29日。フランス大統領選挙にのぞんだオロンド候補は -
Posted by ブクログ
日本では,「冷戦終了によって社会主義は終った」みたいな誤解があるが,欧州などでは社会主義は健在。19世紀中ごろから20世紀中ごろまでの社会主義の歴史を見ながら,誤解を正し,誤解の原因を探っていく。
筆者は社会主義を「生産活動が私的なカネ儲けの手段と化さないよう、それを理性的な意思決定の下に統制すること」と説く。私有を制限するのは,あくまでも「生産手段」についてであって,「生活手段」ではないとこがポイント。ポルポト政権による惨劇などはここを誤解したために起こった。
純然たる資本主義は,実際に生産活動を行なう人間を脇役に追いやってしまう。これをマルクスは「疎外」と呼んだ。産業革命後の19世紀 -
Posted by ブクログ
薬師院仁志 「英語を学べばバカになる」 2005 光文社新書
刺戟的なタイトルにして手にとってもらおうという魂胆なのだろうが,他の新書と較べてどうも光文社新書は本のタイトルと内容のズレが大きい気がする。本書の趣旨は,英語学習熱や英語公用語論に対する批判。日本人に英語が必要だという主張が妄想であることと,必要もない英語を身につけるべく金をかけることの愚を説く。
NOVAがぽしゃったとはいえ,英会話産業は社会に深く根を下ろしている。いまは学校でも我々の世代より早く英語教育が開始されるという。普通に考えれば,それだけ英語学習の需要が増えてきているということだが,はたしてそうなのだろうか。それは -
Posted by ブクログ
世間に喧嘩を売ってるようなタイトルですが、
中身は至極真面目に客観的・論理的に語っており、
なるほどと思う点も多々見受けられた。
目から鱗の1冊。
〈目 次〉
第1章 英語をとりまく状況
英語で言えばエラい?/英語=世界標準には根拠がない/国連の公用語/「英語は世界の共通語」は日本の常識?/世界人口の八割以上は英語と無縁 ほか
第2章 英語支配の虚像
「グローバル化」と「世界」と「英語」の混同/消えゆく第二外国語と言語的視野狭窄/不自由な英語強制社会/戦前はドイツだった/日本人の勘違い/勘違いがもたらす悲劇/世界各地で嫌われる勘違いした日本人/着々と進むアメリカ離れ ほか -
Posted by ブクログ
フランスの社会のしくみと日本の社会のしくみが対比されていて、戦後左翼の自由主義への標榜が、まったく間違った方向に進んでいってしまった事が良く分る。自由平等は民主主義の目指す基本だが、それは対立する観念であり、左翼は平等と国家主義であることを論理的には目指すものだと力説されている。フランスの現状のみならず、政治の基本用語の実情がフランスを例にして具体的に分りやすく述べられている。以下引用。
フランス革命と国家統一
それでも、12世紀の後半に入ると、新たに台頭してきた市民層(商業ブルジョワジ⊥と
結びつくことによって、国王の支配力は急速に高まってゆく。規制緩和と市場統合を求め、
土着的な束縛や -
Posted by ブクログ
英語学習を否定するというより、盲目的にアメリカを崇め、英語を最重要視する思考を改めよという警鐘本。
少なくともテキストベースの英語はAIにより翻訳され、スマホアプリで通訳も可能に。後は翻訳機の即時性などのユーザビリティや見映えだけ。技術の進化と共に語学を学ぶ必要は無くなっていくし、教育機会が年齢に左右される外国語は、極力差がつかないようにツール化してしまうべきだ。しかし、本書ではそうしたテクノロジー論や思想が語られはしない。
著者はフランス語話者なのだろう。フランス語は良いとするのだが、自分が話せる言葉には、恐らくはそのサンクコスト的な視点やそもそもの動機もあり、その国や言語を偏愛する傾向 -
Posted by ブクログ
橋下徹のアンチという感じが、私怨にも感じたのでそれが読書のノイズとなったが、測定不可能な定性評価が印象論の本質であり、印象操作を駆使したイメージ戦が大衆に感染していくような描きは、最もだと思った。
本書では、トランプが乱暴な言葉づかいでインパクトを残して煽動するような手法を取り上げたり、橋下徹が市役所を「シロアリ」としたり、ヒトラーがユダヤ人を「南京虫」と呼んだりという例を挙げる。そこには、何かしら大衆の鬱屈した気持ちを拾い上げるような強いパフォーマンスに加え、分かりやすい比喩が合わせ技で「印象」となり、それが良くも悪くも感染していくのだ。寓話化と言ったりするが、これはまさに大衆への分かりや