薬師院仁志のレビュー一覧

  • ポピュリズム―世界を覆い尽くす「魔物」の正体―

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    ネタバレ

    ・国民全体が政治に関心を持ち正しい知識を持たないと、耳障りの良い言葉を撒き散らすポピュリズムは台頭してくる。
    ・国民全体が政治リテラシーを上げるなんてことは不可能であるからポピュリズムの出現はこの不安多き社会では必然だった。炎上商法、迷惑系、強メンタル信者なども同じ原理だろうと思った。
    ・まずは自分に知識をつけることを最優先とし、その後自分への不利益を最小限にするもしくはそこで得できる方法論を考えていかなければならないと危機感を持たせてくれる一冊。


    以下覚書
    ・綺麗事ではなく本音むき出しでやり返すことがポピュリズムの本質であり、それが実現されるかどうかはもはや重要ではない。
    ・弱者が自分の

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    2024年05月15日
  • 日本とフランス 二つの民主主義~不平等か、不自由か~

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    民主主義には、自由を重んじるアメリカ型の自由民主主義と平等を重んじるヨーロッパ型の社会民主主義がある。自由主義は地方分権的になり平等主義は中央集権的になる。日本の左派政党は、社民的な主張をしながら地方分権を説いたりして立場がわかりにくい。等々、ざっくりとシンプルに(新書らしく割り切って)話を整理しているのでわかりやすい。やや乱暴な表現も多いが、自分の主張が誤解されないよう気は配っている。日本にもヨーロッパのような社会民主主義政党という選択肢がほしい、という著者の気持ちがありありと伝わってくる。

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    2014年01月24日
  • 日本語の宿命~なぜ日本人は社会科学を理解できないのか~

    Posted by 読むコレ

     私の長年の「日本の翻訳文化・翻訳語」についての関心・疑問に十分答えてくれており、感動しました。それは、柳父章さんの「翻訳語の論理」を知ってからのことですが、これには、大江健三郎さんの「あいまいな日本の私」が一定答えてくれてもいました。
     ついては、この著書がその「あいまい主義」をより明確にしてくれましたので、日本語の「宿命」を切り開くべく、再度読んでみようと思います。

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    2013年04月08日
  • 日本語の宿命~なぜ日本人は社会科学を理解できないのか~

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    この本はすごい!!!!日本の国語教師は全員読むべきだ。
    ・野球のストライクと労働のストライキは英語は同じだが、日本語になると全然違ってしまう。
    ・動画とは、日本では昔アニメのことだった。
    ・日本で外来語を翻訳する際につくった造語が独り歩きし、元の意味とは違う独自の意味を帯びるようになっていく。
    ・『全訳 漢辞海』
    ・『現代に生きる 幕末・明治初期漢語辞典』
    ・コミュニティーとササイエティの違い。
    ・フランス語では、炊き出しの場所もマクドナルドもレストランと呼ばれる。
    ・「小説」は坪内逍遥による造語。ノベルは「新話」とでも。


    ・2012年4月29日。フランス大統領選挙にのぞんだオロンド候補は

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    2013年02月26日
  • 英語を学べばバカになる~グローバル思考という妄想~

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    めっちゃ鋭い。英語熱への懸念は私も感じていたので、なぜ英語が出来るようになりたいのかを再考したほうがいい。語学習得の道のりを歩くより、日本をよく知ることで真のグローバルな人間になれる。

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    2009年10月04日
  • 日本語の宿命~なぜ日本人は社会科学を理解できないのか~

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    関心が高いテーマだったので、大変興味深く読みました。

    文字を発明できなかった日本人は、漢字を輸入した際に、抽象語の殆どを漢語に任せてしまいました。当然、真に理解などできません。

    日本語の二重の悲劇は、西洋の概念を翻訳する時に、同じく外来語の漢語に訳すしか方法がなかった事です。

    民主主義など、「日本では中身の理解を伴わず、具体的な”やり方”すなわち形式や手続きだけが一人歩きするようになった」と本書は述べていますが、概念が理解できないから具体的な方法を知りたがるのか、もともと概念に興味が無い民族なのか。どっちなんでしょうね。

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    2022年02月20日
  • 日本語の宿命~なぜ日本人は社会科学を理解できないのか~

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    惜しい。
    着眼点は良く、取り上げる言葉も社会学者としての専門性と一般人の興味がちょうど重なる領域のものが選ばれていて、そこから日本人の思考の流れの癖のようなもの、そして議論の方向性のようなものに関する考察が提示されるものと期待した。
    しかし、内容はほとんどが語義の解説に割かれ、備忘録に集めたメモを集約しただけのものになった。
    惜しい。特に「民主主義」のところを深堀りできていれば極めて有益な日本語論、日本人論に発展できただろうに。
    著者が社会学者であるだけに残念。ここまで気づけていながら…
    新書ではなく、単行本での大幅増補を求む。

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    2014年02月01日
  • 社会主義の誤解を解く

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     日本では,「冷戦終了によって社会主義は終った」みたいな誤解があるが,欧州などでは社会主義は健在。19世紀中ごろから20世紀中ごろまでの社会主義の歴史を見ながら,誤解を正し,誤解の原因を探っていく。
     筆者は社会主義を「生産活動が私的なカネ儲けの手段と化さないよう、それを理性的な意思決定の下に統制すること」と説く。私有を制限するのは,あくまでも「生産手段」についてであって,「生活手段」ではないとこがポイント。ポルポト政権による惨劇などはここを誤解したために起こった。
     純然たる資本主義は,実際に生産活動を行なう人間を脇役に追いやってしまう。これをマルクスは「疎外」と呼んだ。産業革命後の19世紀

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    2011年10月26日
  • 英語を学べばバカになる~グローバル思考という妄想~

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    薬師院仁志 「英語を学べばバカになる」 2005 光文社新書

     刺戟的なタイトルにして手にとってもらおうという魂胆なのだろうが,他の新書と較べてどうも光文社新書は本のタイトルと内容のズレが大きい気がする。本書の趣旨は,英語学習熱や英語公用語論に対する批判。日本人に英語が必要だという主張が妄想であることと,必要もない英語を身につけるべく金をかけることの愚を説く。
     NOVAがぽしゃったとはいえ,英会話産業は社会に深く根を下ろしている。いまは学校でも我々の世代より早く英語教育が開始されるという。普通に考えれば,それだけ英語学習の需要が増えてきているということだが,はたしてそうなのだろうか。それは

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    2011年10月26日
  • 英語を学べばバカになる~グローバル思考という妄想~

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    世間に喧嘩を売ってるようなタイトルですが、
    中身は至極真面目に客観的・論理的に語っており、
    なるほどと思う点も多々見受けられた。
    目から鱗の1冊。

    〈目 次〉
    第1章 英語をとりまく状況
    英語で言えばエラい?/英語=世界標準には根拠がない/国連の公用語/「英語は世界の共通語」は日本の常識?/世界人口の八割以上は英語と無縁 ほか

    第2章 英語支配の虚像
    「グローバル化」と「世界」と「英語」の混同/消えゆく第二外国語と言語的視野狭窄/不自由な英語強制社会/戦前はドイツだった/日本人の勘違い/勘違いがもたらす悲劇/世界各地で嫌われる勘違いした日本人/着々と進むアメリカ離れ ほか

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    2009年10月04日
  • 日本とフランス 二つの民主主義~不平等か、不自由か~

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    ヨーロッパでの左と右、日本での左と右というのがまるで違っていること、ヨーロッパの民主主義と日本の民主主義って言うのは違うってこと、民主主義は一つじゃないんだよ。
    日本とフランスを特に比較して論じるわけではないが、民主主義を学ぶためにはおもしろいものであるし、フランスの民主主義が何を目指しているのか、歴史的に理解するためには大変面白い本ではある。

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    2009年10月04日
  • 日本とフランス 二つの民主主義~不平等か、不自由か~

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    右左を始めとして様々な政治「イズム」ジャーゴンの意味が各国で違うことを検証整理。民主主義のタイプを「米国型自由」と「仏型平等」の2つに大きく分け、仏の建国理念からくる愛国心と普遍主義の強固な結びつきを紹介しつつ、平等観念の薄い日本の現状と左派の破綻迷走による政治的無力を叱咤する。

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    2009年10月04日
  • 日本とフランス 二つの民主主義~不平等か、不自由か~

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    中学時代から自由については考える機会が多い。自由はそれに伴う責任があるわけで、それをどれだけ受け入れられるかにもよる。筆者は(文中では否定しているが)とても平等主義に考えがよっている気がする。

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    2009年10月04日
  • 日本とフランス 二つの民主主義~不平等か、不自由か~

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    フランスの社会のしくみと日本の社会のしくみが対比されていて、戦後左翼の自由主義への標榜が、まったく間違った方向に進んでいってしまった事が良く分る。自由平等は民主主義の目指す基本だが、それは対立する観念であり、左翼は平等と国家主義であることを論理的には目指すものだと力説されている。フランスの現状のみならず、政治の基本用語の実情がフランスを例にして具体的に分りやすく述べられている。以下引用。
     フランス革命と国家統一
     それでも、12世紀の後半に入ると、新たに台頭してきた市民層(商業ブルジョワジ⊥と
    結びつくことによって、国王の支配力は急速に高まってゆく。規制緩和と市場統合を求め、
    土着的な束縛や

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    2009年10月04日
  • 英語を学べばバカになる~グローバル思考という妄想~

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    英語学習を否定するというより、盲目的にアメリカを崇め、英語を最重要視する思考を改めよという警鐘本。

    少なくともテキストベースの英語はAIにより翻訳され、スマホアプリで通訳も可能に。後は翻訳機の即時性などのユーザビリティや見映えだけ。技術の進化と共に語学を学ぶ必要は無くなっていくし、教育機会が年齢に左右される外国語は、極力差がつかないようにツール化してしまうべきだ。しかし、本書ではそうしたテクノロジー論や思想が語られはしない。

    著者はフランス語話者なのだろう。フランス語は良いとするのだが、自分が話せる言葉には、恐らくはそのサンクコスト的な視点やそもそもの動機もあり、その国や言語を偏愛する傾向

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    2025年05月22日
  • ポピュリズム―世界を覆い尽くす「魔物」の正体―

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    橋下徹のアンチという感じが、私怨にも感じたのでそれが読書のノイズとなったが、測定不可能な定性評価が印象論の本質であり、印象操作を駆使したイメージ戦が大衆に感染していくような描きは、最もだと思った。

    本書では、トランプが乱暴な言葉づかいでインパクトを残して煽動するような手法を取り上げたり、橋下徹が市役所を「シロアリ」としたり、ヒトラーがユダヤ人を「南京虫」と呼んだりという例を挙げる。そこには、何かしら大衆の鬱屈した気持ちを拾い上げるような強いパフォーマンスに加え、分かりやすい比喩が合わせ技で「印象」となり、それが良くも悪くも感染していくのだ。寓話化と言ったりするが、これはまさに大衆への分かりや

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    2024年10月09日
  • 英語を学べばバカになる~グローバル思考という妄想~

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    グローバル化やテロとの戦いというのは帝国主義の新名称とする

    アメリカの自由は勝ち組と多数派の自由など、興味深い記述もある一方、自由主義、平等主義、民主主義の概念が雑多に混在し、著者自身本当は理解してないのではないかと思われても仕方がない記述も点在される。

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    2024年08月22日
  • 社会主義の誤解を解く

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    社会主義。人間の生産活動を、私的自由や市場原理にゆだねることを拒絶する。正当な国家権力が公正な生産活動を指導する。生産手段の社会化を目指す。所有一般の廃止ではなく、ブルジョワ的な所有を廃止する。

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    2024年05月16日
  • 社会主義の誤解を解く

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    主に英仏独ソの社会主義運動の展開を論じた本。理論についてはあまり触れていない。
    どの国でも、エリートによって上から作られた運動が挫折、妥協、分裂などを経て広がっていった様がよく理解できた。

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    2019年10月27日
  • 日本とフランス 二つの民主主義~不平等か、不自由か~

    Posted by ブクログ

    日本とフランスとのことだが、その媒体としてのアメリカも絡めての民主主義、保守化、リベラルのあり方について読みやすく書かれていてためになった。

    共和という、あまり日本では聞かれない言葉についても例をあげて説明してあり、けっこう理解がしやすかった。

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    2018年04月13日