神門善久のレビュー一覧

  • さよならニッポン農業

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    江戸・明治から今日に至るまでのニッポンの農政のあり方から、実際は破綻しつつあるニッポンの農業の現状に警鐘を鳴らしている本。
    明治・大正時代は地主と、小作農という関係のビジネスモデルで農業は成立し、土地と切り離せないその性格から地域の協業が不可欠ゆえ、地縁が重視され、自然と相互監視・土地毎の習慣が成立した。
    重工業の勃興が始まると地域と都市部の収入格差が拡大したことにより、地縁の弱体化が始まる。一方で戦争が始まると統制経済に都合のよい「農業会(≒JA)」が利用され、戦後も食料配給が必要であったことからさらに政治色の強い組織として「JA」ができあがっていく。
    その後、農業の本格的な国際競争が始まる

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    2012年01月22日
  • さよならニッポン農業

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    農業に競争を導入することの必要性を強調していることが印象的だった。
    特に、TPPなどの国際的な競争。

    提言にあった「市民参加型の土地利用」で「人から土地へ」は堅実な策だろう

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    2011年06月11日
  • さよならニッポン農業

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    [ 内容 ]
    農地の10%に及ぶ耕作放棄地、蔓延する無計画な転用…農地の荒廃が進む中、台帳の不備で実態把握すらままならない。
    昨今の農業ブームに隠れて、これまでマスコミが触れてこなかった農地行政の真相を明かすとともに、歴史的な視点や市場効率の考察を踏まえ、崩壊前夜の日本農業を救うための方途をも示す。

    [ 目次 ]
    第1章 消えていく農地―農業ブームの陰で起きていること(いつわりの農業ブーム;農業版「消えた年金」問題;農地の無秩序化;よくある誤認)
    第2章 なぜ農地は無秩序化したのか―日本農業の足取り(明治大正期―「手作り地主」による秩序維持;両大戦間期―重工業化と農村の変質;高度経済成長期―

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    2011年06月02日
  • さよならニッポン農業

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    農業のあり方についてわかりやすくまとまっている。農業・農政について最初に読むのに良いと思う。特に農地転用についてしつこいくいに書かれている。

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    2012年02月19日
  • さよならニッポン農業

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    【新聞書評→ネット】
    「平成検地」の必要性。まず現状把握がスタートライン。
    「食のアキハバラ」構想。こだわりの強さ、新陳代謝のよさ、アジアへの目線。

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    2010年09月11日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    日本の農業が「絶望的」と言われるのは、単なる生産性の問題ではなく、構造的な限界と制度的な歪みが複合的に絡んでいる。

    日本の農業人口は激減し、平均年齢は70歳前後。農地の所有が複雑で新規参入が難しく、初期投資の大きさに対し、気候などで収益が安定しない。結果、農業は「地縁に縛られた高齢者の副業」的なままで産業として拡大再生産されていかない。

    本書では特に、技能低下による堆肥づくりの劣化を指摘する。農業名人といわれる人たちは「土作り」の重要視する。現在の農業者の多くは、堆肥と肥料の区別もできていないと著者はいう。

    他にも、日本は兼業農家が多く、耕作放棄地も増加してきていて、農地の細分化されてし

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    2025年11月08日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    現代の日本農業について批判的な視点から書いている本でした。
    植物工場や、企業の農業分野進出、国の担い手不足政策など、ネガティブな部分を切り取って著されています。
    現代の日本農業に関して肯定的な意見が全くなかったため、ある種の視点として読めました。

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    2024年08月13日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    タイトルにあるような正しい絶望には確かに違い。ただ、農業技能に衰退する点以外の論拠が薄く、想定で書かれている点が散見されていて、残念。しかし、日本農業に対する憂慮する内容は伝わる

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    2019年06月12日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    ふだんあまり縁のないジャンルの本を読んでみようと思って手にした一冊。
    「技術」と「技能」の違いを説明したうえで、日本農業の本来の強みは技能集約型農業であると説いているあたりはなるほどと思ったし、今の農業ブームを一次大戦後の満州ブームになぞらえるあたりも面白かった。
    ただ、この本のかなりの部分が非難と批判で占められていて、読者を置き去りにしているのが残念。まえがきによると、相当な覚悟をしてこの本を記したようだが、少々独りよがりになっていて説得力を落としている。せっかくいい指摘をしているのに、何とももったいない。

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    2018年11月18日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    ネタバレ

    2012年発行の、新書としては古いものです。

    1つの考え方として、日本農業は本書の中で言う「技能型」が合っているということもわかるし、現代の「技能型」後退、メディアによる農業大型化路線への危惧もあるだろうと思います。著者の考え方は否定しません。

    しかし、経済社会の中で職業としての農業の在り方は千差万別、そして消費者の在り方も同じ。その点を考慮しているのかわからないほど、否定的な文が時々垣間見えました。短い間隔で入ることも。
    その点だけ、気になります。

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    2018年11月07日
  • さよならニッポン農業

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    タイトルがもっと何か良いのがなかったのかなあ、と思う。
    しかし関連書籍を読むにつけ農水省に対する怒りは留まるところを知らない。給料泥棒か犯罪者か呼ぶに相応しい言葉がみつからない…
    政治も行政も頼れないなら草の根で岩澤さんのような市民農園制度を市民一人一人が支えていくくらいしかできることはなさそうである。

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    2021年08月08日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    本のメッセージは、日本は大規模マニュアル型農業でなく、技能集約型農業を目指せというもの。また消費者は本物の舌を磨けと。ToBEの提示として間違っていない。
    しかし、実際問題としてそこに至る道筋が見えない。これまでの分業型・マニュアル型農業は飛躍的に生産量・反収を増やして世界を飢えから救った。そこから脱却して真に質が高く、強靭な農業を作っていくためには、何か強烈な危機がなければ難しいように感じる。折しも植物工場や食用3Dプリンタ、培養肉のような危ない技術がもてはやされる昨今、真っ当な生き方をどう拡げていけばいいのだろうか?

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    2017年11月26日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    南側の山がどんどん削られて平地に、新しい分譲か?と思ったら何と農地、ウルグアイラウンド対策事業だ。今は、外部の者立ち入り禁止の耕作放棄に近い状態。

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    2016年06月13日
  • さよならニッポン農業

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    無秩序な農地転用に対して終始問題提起している本。
    実現可能性はともかく、ちゃんと対策案を示しているのは潔い。

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    2015年12月25日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    タイトルや論調は少し過激だが、日本農業の特色、現在の危機的状況がある意味分かりやすく書かれていたと思う。

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    2013年12月28日
  • さよならニッポン農業

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    ネタバレ

    農地管理の無秩序により日本農業は崩壊するという意見を述べた本。有益だが,処方せん部分の最終章があまりに急進的で,実現性に首を傾げてしまった。

    【特に印象的だった点】
    明治の地租改正を経て,優秀な農業者は近隣の土地を買い集めて地主となり,村のリーダーとなって農村秩序を維持した。
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    重工業化により,地主は都市へ出て不在地主化。村の秩序が乱れて小作争議頻発等
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    満州事変以降の戦時体制のもと,地主・小作人含めて「農業会」が組織化され,相互扶助・協働化が進められた。
      ⇩
    農業会体制は,事実上JA体制に。農業会的秩序維持機能が引き継がれたのが,戦後の集落機能

    票田として農業者を考えると

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    2013年09月21日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    農業経済学者神門善久氏の2012年9月発行の新刊。
    日本農業の本来の強みは、技能集約型農業にあるが、農地利用の乱れという「川上問題」、消費者の舌の愚鈍化という「川下問題」そして放射能汚染問題の三つが原因となって、農業者が耕作技能の習熟に専念できず、肝心の耕作技能は消失の危機にある、というのが本書の骨格となる主張。
    学校の先生に例えながら、よい農家になるためには、長年の独自の勉強・師事・経験が必要であること、農地総体のメッセージを聞き、分析を行いながら、臨機応変に対応しながら農業生産を行っている熟練農家の存在の重要性を説く。斉藤修氏の論考に依拠しながら、「技能集約型農業」「マニュアル依存型農業」

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    2013年07月19日
  • 日本農業への正しい絶望法

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     「日本の農業のレベルは高くない」「有機農法だから美味しいとは限らない」「野菜工場の事業化は困難」といった農業の固定観念を覆すようなことが記されている。そして著者は「技術」ではなく、マニュアル化できない「技能」集約型の農業こそが日本を農業を救うと主張する。
     若干著者の価値観が反映され過ぎているような感じはするけど、その分インパクトは大きい。僕も有機農法=美味しくて環境に良い、と考えていたけど、どうも思考がストップしていたみたいだと気付かされた。

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    2013年04月13日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    以前に、日本の農業生産高が世界でも有数で素晴らしいという論調の本を読んだことがあります。その時は日本には少数の農業従事者で、高品質な農作物を生産していて素晴らしいという思いでしたが、この本では、それとほぼ反対の意見を述べています。

    この本の著者である神門氏によれば、日本の農業では、農作物を作る技能が低下していているとのことです。それには美味しいものを見分けられなくなった消費者にも責任があるとしています。

    改革方法も述べていますが、一番印象に残ったのは「平成検地」の重要性でした、日本では、地租改正(明治検地)、戦後の農地改革以降は行われていないようで、農地がどのように使われているか、税金もど

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    2013年03月17日
  • 日本農業への正しい絶望法

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    ネタバレ

    タイトルにそぐわぬネガティブな観点で
    日本農業の現状を分析しています。

    若干タイトルに反したポジティブな内容を期待したのですが。
    ネガティブな内容だったので
    レビューもなんとなくネガティブで。

    日本農業の技能を残すことが鍵だと
    この本では主張されていると同時に、
    日本人の舌が退化しているから
    高い技能により育てられた高品質の農作物が
    競い負けてしまうことについて嘆かれています。

    味覚オンチの自分としては
    「舌の能力の回復」の方法もわからず、
    食べ物の味の正当な(定量的な)順位付けができないので、
    本書におけるおいしい野菜を作る人々についての説明に対して
    単なる筆者の「宣伝や演出」なのか否

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    2013年02月14日