小澤祥司のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
前半の第一章に「エネルギー渉猟文明」と題して、これまでのエネルギーの歴史を詳しく解説している。古代ギリシアや古代ローマのエネルギー技術から、現代のシェールガス革命と呼ばれるものまで網羅しており、エネルギーの歴史を学び直すことができた。
筆者は、世間は「エネルギー」と言いながらも議論は電気に偏っているという。もっと熱エネルギーなども一緒に議論すべきだという。ヨーロッパでは発電と共に熱供給施設を持つ「地域熱供給(district heating)」というものが広く普及しているという。それは素晴らしいシステムであり、ぜひ我が国にも導入を検討すべきだろう。
しかし広く普及と言いながら、どの国 -
Posted by ブクログ
福島原発の事故前と後では、原発を必要とする側も反対を唱える側も、結局は基本的に何も変わっていないのではないか、というのが筆者の現状の受け止め方である。それを本来の望ましい姿にもっていくためには、たとえ小さな取り組みでもよいから、地域に根差した様々な持続性のあるアクションを実践していくしかないのではないだろうか、ということで、オーストリア、ドイツ、日本の事例を紹介している。
ポイントは、表題にあるように、原子力に代わる新しいエネルギーを生み出すということではなく、エネルギー自体の無駄をなくす、ロスを減らすことにある。各家庭や施設の個別の暖房設備よりも効率の高い地域熱供給や、捨てられていた排熱の利 -
Posted by ブクログ
表紙を見ると再生可能エネルギーの本、に見えるかもしれませんが、それも含めながら、少ないエネルギー、持続可能なエネルギーで成立する社会づくりを目指している事例と、心構えの本。現在のエネルギー供給には無駄が多いし、一律なやり方であるのに対し、エネルギーを民主化しよう、できるという話です。そこにあるものを活かす、という点で地域復権、自然の再生などが期待できるし、利用する一次エネルギーはまだまだ減らせるという展望。地域である程度まとまると出来るものがたくさんあるし、エネルギー=電気ではないよ、という話。わかりやすいので、こういう話に初めて触れる人にもよいと感じました。前向きな本です。