奈須正裕のレビュー一覧
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上智大学総合人間科学部教育学科教授奈須正裕先生が書かれた本です。
第一章 子供の視点に立って教育課程を編む
第二章 資質・能力を基盤とした社会
第三章 知識基盤社会と社会に開かれた教育課程
第四章 各教科の特質に応じた「見方・考え方」
第五章 主体的・対話的で深い学びの実現
「学校に残された唯一の道は、その教育原理を内容中心から資質・能力を基盤としたものへと転換し、新たな存在として再生すること」(105ページ)
今回の学習指導要領改訂の背景、基盤となる考え方について、例をあげながらわかりやすく説明しています。
知識基盤社会を生きる私たち一人一人が、教育について考えるべきではないかと思います -
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新学習指導要領について。
以下、本書より。
【教科は非常識】
2004年、国立天文台の研究者が小学校4~6年生を対象に調査したところ、約4割の子供が「太陽が地球の周りを回っている」と答えました。
結果は学校でも報告され、担当者は「現在の小学校の学習内容は極めて不十分」と断じ、ちょっとした論争になりました。
興味深かったのは、当時、天文台の主張を支持する人たちが「地動説くらい常識だろう」といとも簡単そうに語っていたことです。
これには心底驚きました。
もちろん、今日では大人なら誰しも地球が動いていることを知っています。
しかし、初日の出を拝みに行って「おお。新しい年も地球は高速で自転しなが -
Posted by ブクログ
新学習指導要領でもわかりにくかった「資質・能力」についてわかりやすく解説してあります。
指導要領の解説に終始せず、現場で使える物の見方や考え方も提示してくれる本です。実践や具体例も充実していて、個人的には国語科の授業の問題点を明らかにしてくれたのは嬉しいところ。
こうしてみると改めて大胆な変革を臨んだ指導案だけど、暗記型で無活用な知識に偏った授業を変えるための文言であって、これまでこうした授業をしていた先生方からすれば、やっと文科省からご通達が来たんだ!くらいの内容だと思います。
教育史的にみると、これまでの教育でも今回の指導要領と同じような考え方をしていた教育者はいたわけで。
高校にいると -
Posted by ブクログ
新学指導要領を読み込む前に、まず読んでおきたい1冊。
個人的に教育書の中では久しぶりのヒット!
5月発売で既に第2刷なので売れている証拠かな。
新学指導要領改訂に向けて、何度も叫ばれる「資質・能力」という言葉。
しかし、ピンとこない。
ってか、今までと何が違うのか⁉︎
と思って手に取った一冊。
結論→今までとは全然違ったよ。
これを文科省は推し進めようとしてるのかと考えると、「教師自身の教育観、学習観、子ども観を大きく変えていかないとならないぞ」という思いにさせられました。
指導要領や学力観の歴史的変遷、今回の指導要領の裏付けとなる科学的な証拠、現在の社会の変化、実践するために -
Posted by ブクログ
本書での議論は、知識の転移の話や、態度評価(学習意欲を含む)の話など、非常によくわかるし、著者は「分かるとはどういうことか?」という点を念頭に置いて議論を進められてきた感じがすごくします。
一方で感じたのは、教科教育に関して、「学問のエッセンスを落とし込んだのが教科だ」という意識が強いように感じました。それは今回の新学習指導要領にも感じられる部分ですが、。要は、「教科教育」というよりも「学問教育」みたいな感じに聞こえ感じもします。
歴史学、地理学、政治学、経済学などなど、色々な学問が社会科の背景にはあるけど、それを学校教育に再変換していくときに、「学問⇒教科」という対応関係には分かりやす