吉原祥子のレビュー一覧
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空き家問題から派生して、この本。
空き家対策の解決が難しい理由の一つとして、日本における登記制度の不完全さがあるのです。
それは、日本における不動産所有権の登記は効力要件ではなく対抗要件にすぎないことから、相続時における名義変更が義務ではないこと。
そんなことから、50年以上名義が変更されておらず、登記簿上の所有者がこの世にいないということは珍しくありません。
また、自分がそういった土地を相続されていること自体を知らなかったり、自治体の固定資産税事務の担当者も、不在地主の相続人を探すことに費用と時間がかかってしまいます。
そしてこの問題は、解決の糸口がないままどんどん拡大していってしまうので -
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東京財団の研究員による所有者不明土地等、現在の土地の管理に関する問題について述べた本。国による不動産登記制度に問題があるため所有者の管理が不完全となっており、納税、災害対策、再開発等の行政や事業に不具合が生じている。しかしながら、個人の利益や権利とも大きく関係するため誰も改革しようとしないことが、最大の問題点であることがよくわかった。
「固定資産税は、市町村税収の約4割を占めている」p52
「(アンケート結果)土地の納税義務者数に占める死亡者課税の人数比率は、6.5%。約200万人と推定される。免税点未満も含めると7.4%、280万人」p63
「公共事業目的以外で土地の寄付を受け付ける自治体は -
Posted by ブクログ
■問題1
・行政が現在の土地の権利者が誰なのか把握できておらず、徴収できたはずの固定資産税収入が失われている
・土地開発の際に現在の権利者が分からず、その調査が難航するため土地の整理や開発が進まない
■事例
・六本木ヒルズの開発時、対象となる六本木6丁目は権利未確定の区画も多く残っており、境界調査だけで4年を要した。
■原因
・相続手続きをするメリットが殆ど無い一方で、手続きが非常に煩雑である
・権利者が死亡した際、死亡者が所有する土地の所在地の自治体に通知されず、また個人情報保護の厳格化のため戸籍上の自治体への問い合わせも煩雑化している。また何世代も前から登記がそのままだった場合、相続資 -
Posted by ブクログ
所有者不明の土地がなぜうまれ、何が問題なのか詳説している
そもそも日本の法律では土地に対する財産権などの観点から所有者の権利が強く
所有者が同意しないと公共の目的であっても利用は難しい。
その一方で登記の手続きは煩雑であり、また特に地方では土地の価格はタダ同然のところもあり
登記が義務ではないこともあり相続に伴う登記が行われないこともままある。
登記が行われない場合には土地は相続人により共有され
2代、3代と登記されないまま土地が相続されると所有者の数は鼠算式に増える場合もある。
上述のような問題の解決としては
登記の手続きの簡素化、手続きコストの引き下げ
土地所有者に関するデータベースや