臼田孝のレビュー一覧
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わかりやすく詳細
タイイトル通り、万有引力定数から光速、プランク定数までの「定数」に関する解説だが、まず世界を人間が捉えるための空間や時間の単位の成り立ちから話が始まる。
距離=メートル法の確立や、時間=1秒の定義、等など、世界を把握するための基本の網目の編み方から詳しく説明してくれているし、しかもなるべく平易に、数式を使った場合もその説明を欠かさず、如何に世界を人の思考と観察を使って分析していくのかということを説明してくれる。
『宇宙を支配する「定数」』という日本語タイトルには、なにか超越的な存在を示唆するような響きが有るが、内容に関しては、徹頭徹尾西洋科学的なアプローチ、つまり人間の能力と技術の及ぶ限り -
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「科学をあなたのポケットに」というブルーバックス発刊のことば通り「科学」を身近に感じさせてくれる本。先月読んだ「数式図鑑」が数学を入口まで誘ってくれたように、本書は読者をワクワクさせながら「物理定数」の世界を見せてくれました。良書であると断言していい1冊と思います。
著者の臼田孝さんは現在、国際度量衡委員会の幹事をされています。いわば「単位」の鉄人であり、「新しい1キログラムの測り方」(ブルーバックス)という著書もあります。
本書はまず「物理定数」とは何かについて、フックの法則や等加速度運動を例にとって説明。そして宇宙の時空構造というマクロの世界から、素粒子が躍動するミクロの世界へと視点を -
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ネタバレ時間や長さ、重さなどの基準が10億分の1程度かわっても日常生活には何の影響もない。が、単位と単位は相互に依存しあっているし、単位の定義の確からしさ以上の精度をもって物事は測定できない。メートル原器のように手で触れるものからより物理学的で世界中どこでも再現できる基準に変更していこうというメトロロジスとたちの熱気も伝わってくる本。
役にも立たない知識、と言ってしまえばそれまでだが、役にたたないことこそ面白いという好例。
・1メートルは北極点と赤道の間の子午線の弧の1000万分の一、1キログラムは水1リットル(1メートルが定義されると10cm立方の大きさも決まる)の質量、として1798年に定められ -
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長さ(メートル)や重さ(キログラム)、時間(秒)など私たちの日常生活には当たり前のように様々な「単位」が存在しています。これらの単位がどのように定義されて来たのかという歴史をひもとき、そしてその定義が科学技術の発達に伴い、どう変化していくのかを易しい切り口で紹介する本です。
かつてメートルの定義は地球の子午線を基準に定義され、基準はメートル原器という合金製の棒でした。科学技術の発達に伴い、より高精度が求められ光の波長、そして光の速度を用いた定義へと進化して行きます。
「単位の定義以上には高精度の測定ができない」という制約が、それぞれの時代における最先端科学によって単位を定義する動機付けとなって -
Posted by ブクログ
質量の基準が実体としてのキログラム原器から物理定数を基準とした抽象的な定義へと変わることを最近の報道で見かける。本書では、まさにその定義変更に携わった著者が、質量だけでなく、様々な「単位」について解説している。
もっとも、新しいキログラムの定義は、プランク定数やアボガドロ数を用いるなど、素人から見ると概念的で、正確さ(誤差)は減るものの、イメージはしにくい。その上、本書の前半の「長さ」(メートル)の定義の仕方について、原器から光速を基準としたものに変更する部分の記載で、「時間」(秒)が誤差なく決定できるということが何の説明もなく前提とされていて、そこで引っかかってしまった。
というわけで、少々