宮崎賢太郎のレビュー一覧

  • 潜伏キリシタンは何を信じていたのか

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    潜伏キリシタンは命がけで信仰を守り通したという「物語」は世界遺産登録で一層浸透している。しかし潜伏キリシタンが信仰したものは、キリスト教というよりむしろ伝統的な神仏信仰、もしくは土着の先祖崇拝に近いものだった。教えを伝える「専門家」がおらず、聖書のような「聖典」もない状況では、教えも儀礼も変容してしまうという指摘。丸や(マリア)や出臼(デウス)、オラショなどの「入れ物」は残ったが、信仰の本質は失われていた。

    現代日本のキリスト教徒に比べ、戦国時代のキリシタンの数がとても多いのが不思議だったが、お殿様に命じられてよくわからないままキリシタンになった農民たちがほとんどだったというのに納得。大名や

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    2021年12月28日
  • 潜伏キリシタンは何を信じていたのか

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    禁教の時代に仏教を隠れ蓑にして命がけで信仰を守り通したとされる潜伏キリシタン。
    しかし導く者もなく、日本人には馴染みのない用語も多い教えを、識字率も高くない平民が正しく伝え信仰していたのだろうか。
    信仰を否定するものではない。彼らがどういった経緯でキリシタンとなり、何を守ってきたのかを紐解いていく本だ。

    禁教が解かれ宣教師と邂逅し、正しいカトリックの教えに帰った者たちもいる。が、先祖からの教えをそのまま受け継ぐ者もいる。
    潜伏キリシタンとカクレキリシタンの違い、オラショの解読、信仰の対象となったものなど、実に興味深い内容だった。

    ただ、最終章の「日本ではなぜキリスト教徒が増えないのか」とい

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    2020年03月07日
  • 潜伏キリシタンは何を信じていたのか

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     中学校の授業で習うだろうか、隠れキリシタンというこの名前。本書の題名にある潜伏キリシタンである。どこなく何か事情ありなことを思わせるこの名前には、江戸時代における激しい迫害を思わせ、また何かしら悲しみとロマンに満ちた哀愁を感じさせるものがある。そして、誰もがなんとなくわかった気になってその名前を留めおく。
     本書は、そうしたごくごくありふれた認識に対して、本当はどうなのかという問いを具体的な事実に基づいて掘り下げたものである。
     日本人の信仰心、伝統的な神々に対する認識、そうした全面的な理解とともにこのキリシタンを相対的に位置づけたところに、読者に対して新たな発見を促していく。興味深いと思っ

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    2018年07月13日
  • 潜伏キリシタンは何を信じていたのか

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    長崎のキリシタンに関する遺産が世界遺産に登録されたが本当に世界遺産にふさわしいのか。隠れキリシタンが禁教期の厳しい迫害にもめげず信仰を守り通し、禁教が解かれた時に来日した神父に巡り合っただとか、観音様に偽装したマリアを大切に拝んでいたとか、そもそも異なる言語の宗教を当時の日本人が命がけで信仰を守るほどしっかり理解していたのか疑問だったが、本書でよく理解できた。外来仏教を取り込んで自分たちの宗教に変容させたように、キリスト教さえも「仏教の新しい神様」として受け入れていた。先祖伝来・先祖崇拝の対象であり、キリスト教の精神を深く理解していたわけでは無いという説明は腹落ち。いまだに「カクレキリシタン」

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    2018年07月10日
  • 潜伏キリシタンは何を信じていたのか

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    隠れキリシタンという一般に思われているような敬虔な殉教者のイメージは、禁教が一巡するとその後の世代には継続されず、一般の信者は教義を知ることなくただ先祖が敬ってきたという前例を踏襲してきただけである。それゆえ今でもカクレキリシタンというクリスチャンでも隠れキリシタンでもない宗教(?)が存在する。

    ポルトガル人による鉄砲伝来とともにキリスト教が日本に上陸し、その貿易の魅力から多くの有力大名がキリシタンとなって、強制的に支配下の住民をキリスト教徒にした。その数は日本国民の3%にもなり、現在の0.8%よりも大きい。ただ、司祭の数も少なく、彼らの言語能力は限定的で日本人の助けを借りなければならず、末

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    2018年03月23日
  • 潜伏キリシタンは何を信じていたのか

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    「隠れキリシタン」とは、幕府の厳しい弾圧に耐え、仏教を隠れ蓑として命がけで信仰を守り通した、敬虔なキリスト教徒のことである、というのが、一般的にイメージされるもの。
    しかし当時、外来語も日本語の文字の読み書きもできなかった民衆は、本当にキリスト教の教えを完全に理解していたのか?
    彼らが本当に信じていたもの、守り続けていたものは何だったのか…
    既存の説に異を唱える本作。

    禁教時代の思想がテーマなので、参考となる資料が少なく、わずかな文献から著者が推測で補っている部分が多いのだが、今までとは違った視点で考察されており、面白かった。

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    2019年07月25日
  • カクレキリシタン 現代に生きる民俗信仰

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    今「カクレ」と呼ばれる人々はもはやキリスト教とは全く異なる独自の風習を築き、ただの近所づきあい的な感覚で宗教行事などを執り行ったりしている(それでいて辞めたら祟られるのではという恐怖心だけ残ってしまっているのは不憫)というのがよくわかった。かつて死ぬほど迫害されたカクレキリシタンの信仰ってなんだったんだろうっていう、わたしが最も関心を持っている点については特に書かれていなかったけど、まあそんなことは誰にも調べることなんてできないのだろう。現代においてどういう形で遺っているかということは知ることができた。

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    2019年02月27日
  • カクレキリシタン 現代に生きる民俗信仰

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    ネタバレ

    「なぜ、カクレキリシタンは減少しているのか」を知ることができる30年に及ぶ調査録。
    合唱曲で扱われる題材だから……と気軽に手に取ってしまったが、カクレキリシタンに対してなにかしらの理想化をしてしまっていた自分を蹴飛ばしたい。
    現代に生きるカクレキリシタンはキリスト教的な信仰ではなく、先祖を大切に扱うという意味で信仰行事をしているのであった。

    ただ、事実を並べているだけなので、読み物としては退屈に感じるかもしれない。

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    2018年05月12日