大森洋平のレビュー一覧
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時代劇ファン必携の書第2弾。2018年末の刊行なので、大河ドラマなら「おんな城主直虎」や「西郷どん」、朝ドラは「あさが来た」「べっぴんさん」などかなり最近の作品にも触れられているのがうれしい。作品名は出していないが某大河ドラマでロシアンルーレットをやってしまったのはまずかった、など必ずしも考証に従って脚本を変えられるわけではないのだとわかる裏話が面白い。また、昔の人の美しい言葉遣いや、日常的に使われている語句が日本語として正しい用法かどうかも学べるし、根拠となる参考図書が山ほど紹介されていてとても得るものが多い本。
特に「若手のディレクターが昭和40年代の映像を見ていて、駅改札の鋏の音の正 -
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NHKの大河ドラマや朝ドラ、歴史ドキュメンタリーなど番組制作時に欠かせない時代考証のノウハウを語句のアイウエオ順に事典形式でまとめたもので、時代劇ファンにはたまらない本。もともとはNHK職員向けに作成された内部資料なのでパッと引けて読みやすい。時代考証は大事だけれど、そのためにドラマがつまらなくなっては元も子もないという著者のスタンスに激しく同意。時代劇を見る時に「史実とは多少違っていても、その方が面白い場合もある」という寛容な考え方を持っていた方がドラマをより楽しめるのは必然だ。と同時に、「NHKにしたり顔で間違いを指摘してくる視聴者って相当多いのだろうなあ」とちょっと気の毒にもなり、そこ
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ネタバレ考証要集~秘伝!NHK時代考証資料
NHKの時代考証担当者がまとめた(五十音配列)辞書形式の本。
大河ドラマや戦争物などで時代考証をする場合は、専門の先生にお願いするが、それだけだと時代考証は進まないらしい。担当者が普段から資料を読んだり、専門職(僧侶や自衛官など)に取材したりして、雑学的な知識を蓄えておくことが不可欠だとのこと。細かい点は専門家にかなうわけがないが、専門家がこだわり出すと先に進まないので雑学的に知っている古典の一文などを挙げて解決していくらしい。
考証対象は言葉だけでなく、動作なども含まれる。例えば、江戸時代に人を評価するときに拍手はしなかった、など。
これは辞書として -
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ネタバレドラマはあくまでフィクションだとわかっているからこそ、その世界を丁寧に作り込んで欲しいと思う。
著者がこれほどまでに注意を喚起しているのに、時代考証に疑問を抱いてしまうようなドラマがNHKにも時折ある。
出版社に校閲部があるように、テレビ局や映画・ドラマの制作会社には時代考証の専門家を置き、更新を育てなくてはいけないのではないかと思うのだけど。
漠然と本を読んでいても、時代考証というのは全然身につかない。
私が読んだことのある本も何冊かが考証のタネ本になっているけれど、時代観なんてまったく気にしたことなかったもんなあ。
というか、昭和の世相がもうわからない。
大体40年代に流行ったもの、 -
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去年の、文春文庫秋の100冊フェアの1冊。
言葉が五十音順に並んでいて、辞書のようにぽつぽつと拾い読みできる。
私はもちろん順番に全て読みましたが。
時代考証というのは、時代劇と現代劇の間にだけ必要なのではなく、例えばパソコン用語の「立ち上げる」は、いつから使われ始めたのか、とか、ラーメンの呼び名の遍歴とか、多岐にわたっていてものすごく面白い。
日清戦争の頃までは「南京そば」。それから「支那そば」。
屋台の「支那そば屋」の登場は関東大震災後。
「中華そば」は昭和13年以降。
太平洋戦争後に「ラーメン」が一般化。
口癖
「国益だなあ」大正天皇の口癖
「ヨイカラ ヨイカラ」明治天皇の口癖
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テレビの時代劇。
時代考証を担当する「先生」以外に、テレビ局のスタッフの側でも担当がいるらしい。
本書の著者は、NHKでそのような仕事にかかわってきた人。
「歴史の隙間産業」と自称する。
後輩たちの参考に供するための、これまでの資料を書籍化したそうだ。
まず、タイトルにやられた。
元は源信の『往生要集』だが、ここにあるようなことを抑えていないと、まさにそのドラマが「往生」する。
たしかに、一向一揆のの農民が掲げているのぼりに「南無阿弥陀仏」と新字体で書いてあったら、合戦シーンにセイタカアワダチソウやヒメジョオンが映り込んでいたら、と思うと笑える。
扱う範囲は幅広い。
服装、食べ物、葬儀など