長谷川貴弘のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本書を読んで、「中国」はもはや内部が見えない謎の国ではなくなったと思えた。
中国は「社会主義市場経済」という「特色ある社会主義」をかかげ、「共産党一頭支配」という日本から見ても異質な政治体制をとっているが、かつては見えなかったその内容がすでに既知のものとなり、研究されつつあることが本書でよくわかる。
「政経一体システム」という中国独特の体制は、今までの世界の歴史の中で、ほかにあったのだろうか。
本書では「中国の政経一体システムの最大の強みはスピードと実行力にある」とし、「激しい混乱が発生する経済危機への対応において特に効果を発揮した」という。
確かに2008年のリーマン危機以来の経済 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2013年から始まった中国の習近平・李克強指導において中国経済がどのようになっていくか、あるいは日本(企業)がそのマーケットにおいてどのように戦っていくか、を論じた本。
上記のような問題意識のもとに書かれたのであろうことは容易に想像できるのだが、内容は表題からうける印象とは異なり、特に前半は中国における政治経済体制の入門編と言う感じである。中国の政治体制がどのようになっているか、その政治体制が経済に対してどのように影響を与えているか・・という点から、いわゆる西欧諸国との経済政策の違いを論じている。
後半は18大以前からの中国の経済問題を提示したうえで、今後の経済体制がどのようになるのかとい -
Posted by ブクログ
GDP2位になった中国の経済発展はいつまで続くのか?習近平政権が2022年まで続く中で、米国を抜いて1位になる可能性も指摘する。なぜなら中国は全体では2位であっても、一人当たりGDPではまだ世界でも89位(2010年)と下位に過ぎなく、発展途上国の顔も持っている国であるとのこと。アンバランスさは、またこの国の奥深さを感じる。従って、成長余力に富み、高度成長期の日本とは異なるとのこと。貧富の差の大きさを表すジニ係数がなんと日本、米国よりも大きい!という事実は驚き。社会的な不平等は危機的な水準に達している。一方、共産党政権下で意思決定の速さ、一貫ぶりが中国の強みであることもこの著書を読む中で痛感す