若竹千佐子のレビュー一覧
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東北地方出身のお年寄り、桃子さんの、心の内を描いた本。
誕生日プレゼント本。自分じゃぜーったい選ばなかった。芥川賞とったんだよね。当時話題になってて、芥川賞とか追わない人種なもんで、変わった題名だな、どんな本かと思っても、興味もなくて読まなかった。誕プレで貰って、第一印象ではぜーったい刺さらない本なので、なんでこの本なんだとちょっとショックだった。でも貰って読んでほんとよかった。
桃子さんって、ずっと人のために生きてきて、それが無償の愛っていうのでもなく、誰も望んでないのに、自分は他人のために、他人のせいで、と思って生きてきたんじゃないか。それがめっちゃ共感できちゃうから、読んでて切なくな -
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数年前、母が読んだと言っていた本。
あのとき母は、良かった、と言うだけで
読んでみて、と薦めはしなかった。
自分で手にとるのを、待つでもなく待っていてくれた。
(きっとそんなことばかりなんだと思う。
ほれ、と背中を見せるでもなく見せてくれて、
待つでもなく待っていてくれる)
“ごく自然に周造のために生きる、が目的化した” p.93
“知らね間に自分ば明け渡していた” p.99
人のために生きようとする感覚、
自分のために生きようとする感覚、
そのどちらも、確かにある。どちらかではなくて。
何も自分を明け渡す必要はねんだ、と
8年かけて執筆された作品が教えてくれる。 -
ネタバレ 購入済み
元気出して行こう
私も田舎で育って、なんも無いなーなんて子供心に
思っていた。共感できる部分が有り私も地元の隣りの市の百貨店に就職した。家庭をもって忙しく過ごして今はもうあっ、というまにシニア。あーなんつうか無力感。成せば成る、為さねば成らぬ、何事も
と、感じて変わり映えのない日々を過ごしています -
購入済み
びっち
桃子さんの日常が淡々と、心情描写は受け入れやすい言葉で丁寧に描かれている。挿し絵もほっとさせてくれてなかなかいい。東北出身の都会への転校生の私の人生と重ね合わせて読んだ。同じ年頃の自分がもしかしたら辿るかも知れない道のり。楽しみに単行本を読みたい。いや、実は、タイトルを見たとき、直感的に惹かれるものを感じたのであった。特別小冊子とは面白い企画だ。
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芥川賞受賞作「おらおらでひとりいぐも」著者の初エッセイ集。
「おらおらでひとりいぐも」を読んだ時は方言にてこずり、物語りに入り込むまで時間がかかって、途中で断念しそうになった。読み進めるとその方言がいい味を出してくるのだが。
こちらのエッセイは読みやすく、夫を50代で亡くし、寂しさと戦いながらも還暦を過ぎてから作家になった作者の話。若い人にはあまり響かないかもしれないが、歳を重ねると孤独や老いの不安を抱えてどうやって前向きに生きていくのかが課題になる。現在70歳の作者が感じた孤独と老い。63歳で作家となって変わっていった生活などが語られているエッセイ集です。 -
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ネタバレ子どもが巣立ち、夫に先立たれた独居老女のただの妄想と思うなかれ?
主人公の女性、桃子さん。コトが壮大になっていく。時空を越えた交流がやってくる。地球46億年史…。
それにしても、著者の若竹さんは何故、お国言葉で書こうと思ったのだろう。
「あいやぁ、おらの頭(あだま)このごろ、なんぼがおがしくなってきたんでねべが」
冒頭文からコレだし、この後もほとんどずっとこの調子だ。
調子良くリズミカルに、というか、ずんずん調子で読ませる。ニュアンスが分からなくても気にしないで読んでみると、結構心地良くなってくるから不思議。
なんであんなことしたんじゃい、と書かれた解説文の町田康さんも関西弁で応じてい -
Posted by ブクログ
萬葉通り商店街での、人情ドラマを描いた作品です。商店街の情景はあまり感じられませんでしたが、ここで働いたり、生活をしたりしている人々の悲喜こもごもにはとても共感することができました。
5人の男女の人生模様が描かれていて、彼らは20代から60代後半まで年齢も幅広いのですが、共通しているのは、少し人生に疲れてしまっているということ。そのうちのある女性が、アパートを開放して食事をふるまう活動をされています。その女性もかつて子どもを置いて家出をした経験があったりするのですが…。
彼女の作るご飯を求めて様々な境遇の人々が集まってくる。そしてみんな元気になっていく。
人生を肯定することは結局のところ