若竹千佐子のレビュー一覧
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久しぶりに感想を書かねばと思えた本
星五つをつけたい本と出会いたい、星五つをつける本の感想しか書きたくないと思っていたので、この本との奇跡的な出会いに感謝
桃子さんの心の叫びに度々涙した。
人生の或る意味とか、地球史46億年ノートからも考察される生命の存在する意味(意味なんてないのだけど)そんな...続きを読むPosted by ブクログ -
孤独な老女の内省を方言を使いながら見事に文章化している。いずれ行く道と思いながら読みつつ、現在の自分に置き換えて悩み苦しみ前を向きしてしまう。独りは悲しくて楽しい。Posted by ブクログ
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夫を亡くした桃子さん。
その物語であるけれど、思いの丈を、詩のようにでも荒々しくぶつけてくる思いが、なんともリアリティがあっておもしろい。
おもしろくて2回読んでしまいました。Posted by ブクログ -
独居老人の東北弁による脳内会話
家の中で立てる音はネズミの動く音
そんな中で桃子は脳内で複数の自分が話している
娘である直美との確執、亡き夫周造との思い出と喪失の記憶、過去の自分との対話、故郷の八角山と自分の見立て
「老い」「死」「孤独」を否応なく感じる
いずれ自分もこうなると思い、読んでいて...続きを読むPosted by ブクログ -
老いることについてのイメージはどんなものでしょうか。私は決して良いものとは思わなかったのですが、この小説では違いました。老いることは、自由になること。主人公の桃子さんの頭の中を通じて繰り広げられる、女性と老いと自由な物語です。Posted by ブクログ
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60代になって、自分の時間を過ごしている中でふっと胸に穴の開くことがある。それを埋める何かを感じることができるような気がします。読みたいです。
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素晴らしい作品。主人公の脳内描写がとても活き活きと躍動感のあるかつ分かりやすい文章で綴られており、いつのまにか自分が主人公自身になっているかのような錯覚を覚える作品。語り手もコロコロ変わり方言や擬音交じりの自由度の高い文章であるにも関わらず読み手が混乱しないようきちんと計算された作りになっているため...続きを読む
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読み出してすぐ、シニア世代には「ある、ある」と思うことが次々出て来て、嬉しいような切ないような・・・。
内容的には結構重いことが書いてあったりして、笑ってばかりもいられないのに、藤野地方の方言のリズムのせいか主人公の性格のせいか、はたまた作者の力のせいか何しろ暗くならずに読み進んでいける。
とは...続きを読む -
一人の人間、女性が歩んできた人生感をこんな形で表現されている小説に出会ったことがありませんでした。とにかく、読み始めてすぐに何故だろうか?
何の感動なのでしょうか?涙が止まらない。
東北弁が心の奥にずしんと侵入して来ます。そして暖かい、淋しい、言い知れぬ感情がこみ上げて涙腺が熱くなります。
色...続きを読む -
70歳にして家族の一員としての役目を終え、一人になった桃子さんの心の内、自問自答をリアルに吐き出し綴るエッセイのような随筆のような作品。一人で暮らす故の時間の余裕からくる、これまでの経験を基にした深い思考。自分はこのような境地に達していないが言わんとするところはよく分かるし共感する。方言を織り交ぜた...続きを読むPosted by ブクログ
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東北地方出身のお年寄り、桃子さんの、心の内を描いた本。
誕生日プレゼント本。自分じゃぜーったい選ばなかった。芥川賞とったんだよね。当時話題になってて、芥川賞とか追わない人種なもんで、変わった題名だな、どんな本かと思っても、興味もなくて読まなかった。誕プレで貰って、第一印象ではぜーったい刺さらない本...続きを読むPosted by ブクログ -
桃子さんの夢現のような独白のような東北弁が綴られている。
『おらは重々分かったのさ。この世にはどうにも仕方がない、どうしようねごどがあるんだ、その前では、どんな努力も下手なあがきも一切通用しねってごとがわがった。・・・まぁ人間の無力を思い知らされたわけで、この世は絶望づ壁がある。したども一回それ...続きを読むPosted by ブクログ -
第158回芥川龍之介賞、ドイツのリベラトゥール賞受賞作。70代の桃子さんというおばあさんが昔を回顧しつつ、老いを感じて日々過ごす様子を著した一冊です。娘からの指摘で頭の衰えを感じたり、昔の若い頃を思い出して向き合ったり年齢を重ねるとはこういう事かと感じました。夫を亡くしたことで感じた思い出は時に悲し...続きを読むPosted by ブクログ
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数年前、母が読んだと言っていた本。
あのとき母は、良かった、と言うだけで
読んでみて、と薦めはしなかった。
自分で手にとるのを、待つでもなく待っていてくれた。
(きっとそんなことばかりなんだと思う。
ほれ、と背中を見せるでもなく見せてくれて、
待つでもなく待っていてくれる)
“ごく自然に周造...続きを読むPosted by ブクログ -
老いて孤独になって•••。
「死」そのものは恐れないが、そこに向かって衰えていく過程が怖い。
僕自身は今、55歳になって、自分のさまざまな機能が衰えていく未来を想像することを本能的に避けているが、それは確実にやってくる。
本書のように。
でも、自分の頭の中にも、いくつかの別々の考えや感じ方を...続きを読むPosted by ブクログ