有機農業の科学的な根拠を与える知見だ。化学農法や農薬を使うことによって農業の収量は飛躍的にあがった。しかし、地球温暖化、気温の上昇、天候の災害の頻繁さなど、気候変動に対する対応や環境に負担を与えない農業が求められるようになった。「農業は自然と共に進めていくものであり、自然を理解して、その流れの中で農業を行なっていくことが重要だ」という声が大きくなってきている。
土壌を良くしたい。もっと微生物を増やしたいということから、土壌肥沃指標(SOFIX)が開発された。土壌には、化学性(肥料成分や緩衝作用など)、物理性(保水力、通気性など)、そして生物性の3要素を整えていくアプローチが必要である。有機農法の多くは、農家の勘に頼っているが、それを数値化し、見える化することが必要となっている。
農業は、生態系の中に存在し、炭素循環、窒素循環というシステムの中にいる。
SOFIX理論は、有機物と微生物の関係を研究している。SOFIX理論でまず前提は、C /N比が重要である。C /N比が10から25というところに微生物が旺盛に存在する。つまり、土壌に炭素源が必要であり、それは有機物から与えられる。ということを解明したことだ。その上で、微生物が多いほど良好な土壌であるとした。
発酵有機肥料の評価も明確化した。有機肥料であれば、何でもいいという理解は正しくないことは、自明だが、それを見える化した。高品質な発酵有機肥料は、微生物が多く、C /N比が20以下、NPKとミネラルが豊富、含水率が低い。
この表は、細菌数と総炭素量の分布を表したものだが、微生物が2億個以上であれば、黄色、緑、青に分布している。多分青が一番良好な結果が得られると思われる。つまり、2億個以上であれば、良いという実証はされていない。炭素と窒素は関連性があり、CN比の一定値の中に微生物は多い。炭素とりんは関連がないという指摘が面白い。
結果として、有機物が適切量入って微生物が旺盛であれば、植物病害を抑えることができるということを明らかにしたことが重要。その土壌が健康な植物体を作っている。ここでは、総細菌数が多いほど、健康な植物ができると言っている。そのためには、土壌には有機質がいる。
実際の農家の事例が載せられていて、より理解がしやすくなっている。そして、SOFIX分析パターン判定で、Aと特Aの認証を受けることで、SOFIX農業推進機構より「SOFIX認証」を受けて、パッケージに記載することができる。農業の販売システムまで作ったのがおもしろい。でも、すこしSOFIXって、分かりにくいネーミングだね。
有機農業を進める上での、数値化、見える化ができた功績は大きい。まず、第1歩というところか。