井坂清のレビュー一覧
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ジャック・ヒギンズの名作冒険小説『死にゆく者への祈り』です
ジャック・ヒギンズといえば『鷲は舞い降りた』があまりに有名なんですが、ヒギンズ本人は自身のベストとしてこちらを挙げたそう
ありがちでシンプルなストーリー展開
そうなんです「ありがち」
でもねこれってとんでもないことなんですよ!
刊行が1971年ですからね
つまりこの作品を「ありがち」って感じるっことは、この後に出版された冒険小説にどんだけ影響与えてるかってことなんですよ!
すごいんです
しかもシンプルなのに奥深い
そして、この作品の最大の魅力はとんでもなく魅力的な登場人物たちなんです
主人公の元IRA兵士ファロウ、彼の殺し -
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元IRA将校のおたずね者マーチン・ファロンは、逃亡用のパスポートや切符と引換えに殺しの依頼を請負った。仕事自体は簡単にすんだ。が、たまたま現場に居合せた神父とその姪のため、やがて彼は冷酷な依頼主と対決するはめに……。拳銃だけをよすがに血と暴力の世界をさすらう一匹狼の姿を熱く謳い上げる!
ヒギンズ祭りで、再読を続けてきたが、やはりこの作品は完成度が高い。他の作品との差はどこから生まれたのだろうか。
翻訳されていない作品の中に、ニック・ミラーを主人公にした警察小説の三部作がある。勝手な想像だが、おそらく、本作の登場人物と同一ではないか。
92歳で逝去と聞いた。ご冥福をお祈りします。 -
Posted by ブクログ
1973年上梓、ヒギンズの魅力を凝縮した畢生の名作。
冒険小説史に燦然と輝く「鷲は舞い降りた」(1975)のような重厚な大作ではないが、ロマンとしての味わいでは突出しており、恐らく大半のファンはベストに推すだろう。1981年に「ミステリマガジン」が行ったアンケートでは、ヒギンズ自身が最も好きな作品に選んでいる。その理由は、一読すれば納得できるに違いない。デビュー以来、修練を重ねて深化した技倆と独自の美学が結実し、揺るぎない世界観を確立している。
物語は、ヒギンズ節ともいうべき馴染みの情景描写から始まる。
「通りのはずれから警察の車が姿を見せると、ファロンは本能的にいちばん近い戸口に身を寄せ、 -
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Posted by ブクログ
元IRAの天才ガンマン、マーチン・ファロン。元軍人の神父、ダコスタ。そして葬儀屋にして暗黒街のボス、ジャック・ミーアン。
異なる、そしてそれぞれが豊かな個性を有した男たちが繰り広げる相克のドラマ。緊密なプロットといい、芯の通ったキャラ造形といい、ジャック・ヒギンズ作品の中でも傑作といっていいでしょう。
とにかくファロンのキャラが魅力的です。哲学と音楽に通じた天才ガンマン。知的で諧謔に富みながらも、自らの過去に絶望し死神を待ち続けるだけの男。その陰影に富んだ個性は強い印象を残します。
モノクロームの映像が浮かび、雨の音が聞こえてくるような文体もまた素晴らしい。お勧めです。 -
Posted by ブクログ
プロローグーわたしは地獄にいるのか
1 殺人者の心の中
2 母の名前はホームズ
3 雨滴に賭ける
4 狙撃手時代
5 行動科学課
6 囚人たちとの面接
7 心の暗黒へ
8 殺人犯には言語障害が
9 殺人者と被害者の立場で考える
10 誰もがもつ「不安誘発要因」
11 アトランタ児童連続殺人事件
12 妻に狙われた特別捜査官
13 もっとも危険な獲物(ゲーム)
14 あの明るい美人を誰が殺したのか
15 愛するものを傷つける
16 神はおまえの命もご所望だ
17 誰だって被害者になりかねない
18 精神科医の戦い
19 ときには龍が勝つ
訳者あとがき
文庫版あとがきに寄せて -