イザベラ・バ-ドのレビュー一覧

  • 朝鮮紀行

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    ネタバレ

    『朝鮮紀行』という牧歌的なタイトルからは程遠い、激動の政治の中枢に触れる内容で、驚くほど面白かった。

    イザベラ・バードは日本では1878年の東北・北海道の紀行で知られる旅行家/探検家/紀行作家/写真家である。
    本書は1894年の日清戦争の直前からその後三年にわたる著者の見聞が綴られている。
    「モンゴロイドの特性調査の一環として」行われた旅は、はからずも朝鮮が日清戦争と諸々の内紛・外圧によって変転する様子を克明に追うものとなっている。
    辺境の風俗や生活を観察する過酷な調査研究の旅の一方、ジャーナリストのように政治と社会全般の事実を取材し評価する著者の態度と力量に感服した。
    1831年生まれの著

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    2025年05月18日
  • 朝鮮紀行

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    著者の紀行文は『日本奥地紀行』以来だ。李氏朝鮮の末期、発展途上の朝鮮半島は、維新後の日本以上に酷かった。また、秀吉が行った侵攻によって日本人に対する憎悪が朝鮮人を支配していたのは、その後の日本と韓国・北朝鮮との関係を思うと辛いものがある。李王朝の統治の旧さと拙さ、日清戦争を経て、ロシアとの関係が難しくなる時代だった。著者の探検家魂は、現代の高野秀行氏に勝っていると感じた。

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    2019年12月31日
  • 朝鮮紀行

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    本著は評価する類ではなく、もはや、歴史的な資料である。白人女性により記録された1800年代後半の朝鮮の姿。果たして、朝鮮にどのようなイメージを私は持っていただろうか。そのイメージは、既存のメディア、学校教育が齎したものだ。そのどれよりも、真実に近い。先ずは、自分の目で見ることなのだろう。

    しかし、右翼というのは恐ろしい。私は、愛国を謳う著者は中道であり、左翼悪しきと思っていた。しかし、この信じていた中道の世界も、肩よっていた。本著は、この中道的な別の本で引用されており、そこで知った。内容は、朝鮮を極めて否定的に描くもの。確かに、本著にはその表現はあった。しかし、全般的に公平に、肯定的な部分も

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    2015年11月18日
  • 朝鮮紀行

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     本書は、英国のイザベラバード女史が李朝末期の1890年代に数回に渡って朝鮮半島全域及び近隣地域(満州、沿海州ウラジオストク、長崎、等)を旅(半ば冒険)し、また朝鮮国王をはじめ多くの高位の方々との交流で、見聞き体験したあらゆる事実をその鋭い観察眼と筆致で記録したものです。

     英国人全般がそうなのか、バード女史個人の個性なのかわかりませんが、時折皮肉の混じった表現があることが朝鮮紀行全般に渡って文章に妙味を加えています。


     この朝鮮紀行が何よりも特筆に価する点としては以下の点が挙げられます。
     ① 1890年代当時の実体験を極端な脚色もなく即物的に描写していると感じる点(皮肉は面白いw)。

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    2012年01月28日
  • 朝鮮紀行

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    官僚の腐敗等で貧困饑餓等ひどい状態の国を旅するスーパー旅人イザベラ・バードは60歳すぎの女性。過酷な旅ほど旅行記として面白いという訳で、お国の事情はその時代たまたまそうだっただけ。隣国にありがちな優越感で読む輩は器が極小だろう。

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    2010年04月07日
  • 朝鮮紀行

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    (01)
    当然のことであるが,朝鮮半島にもさまざまな地域差があって,普通,わたしたちは,ソウルの現代をもって半島の画一を想像する.本書は,海を挟んで向こう側の大陸の多様な事情(*02),とりわけ日清日露戦争,第一次大戦,日中戦争,太平洋戦争などの日本が行った近代戦以前や,その端緒にあった朝鮮の特殊な事情を知る上で,ひとつの資料となりうるであろう.

    (02)
    たとえば,松.アカマツの風景は日本列島でも見慣れているが,当時の朝鮮半島でも著者は,松とはげ山の印象をところどころで捉えている.そして虎.日本列島には生息しない大型の哺乳類であるが,この獣による人的被害が,半島の人々に恐怖を引き起こし,彼

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    2018年07月05日
  • 朝鮮紀行

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    日清戦争頃の朝鮮半島を旅する本。学校で習う歴史には出てこない農民や商人など普通の人の生活が垣間見える。また、日本、中国、ロシアとの関係や王朝の様子も興味深い。

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    2012年10月08日