佐藤信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ
専門が日本政治外交史である著者らしく,「婚活」に関する歴史的な変遷を追っています。「婚活」に関する歴史的な変遷といっても,具体的な個人の結婚活動ではありません。タイトルの通り,「恋愛」,「結婚」というものがどのように捉えられていたのかという思想の変遷のことです。
本書を簡単に要約してみます。
現在主流の婚活はマーケティング婚活で,その萌芽は1970代に見られた(ここでパンダを挙げて考えるのは政治外交史が専門の著者らしさが出ているように思いました)。その後1980年代に入り『結婚潮流』が発刊されて以降,婚活0.0とも呼べる本格的な結婚活動が生まれてくる(もちろん当時は結婚活動とは呼ばれていない)。しかし,80年代後半に『結婚潮流』が廃刊されて以降,婚活は一時衰退。2000年代に入り,マーケティング婚活(婚活市場でマーケティングを行う婚活)が台頭し,それに少し遅れて「婚活」という言葉が誕生する。「人口管理」に対する心理的抵抗感から,「結婚」「出産」に国家が介入することはなかったものの,近年は少子化が「国難」となったために,「婚活」に国家が介入してきた。ただし,個人の求める「結婚」の在り方と国家の求める「結婚」の在り方には齟齬がある。「結婚」という私的な領域が国家という公的な領域との新たな接点になっていることを認識しておくことは市民にとって損はないことであるし,「近い未来」をどう形作っていくかを考えることが婚活論の鍵になるであろう。
ちなみに,著者は筋金入りの「婚活好き」らしく,高校生の頃にはすでに婚活情報を収集していたようです。第5章はまさに著者の趣味の話であり,圧巻でした。
著者の基本的なスタンスには共鳴するものの,マーケティング婚活を基本的に肯定している点は同意できませんでした。というのは,「条件を設定し身の丈に合わせた相手を選ぶ」ことが常態化してしまうと,発達可能性が閉じてしまうと考えるためです。詳しくはブログで書きたいと思います(プロフィールにリンク有)。
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Posted by ブクログ
佐藤信「オーラル・ヒストリー入門」(ちくま新書)
オーラル・ヒストリーは、聞き書きにより歴史を描いていく方法。本書はどのように「聞いて書くこと」を実践するか、その手法や注意点について記載した教科書的な本でした。①聞く相手と出会う方法、②ヒヤリング前に行う質問などの準備、③場所や録音機材などの準備、④ヒヤリングに臨む際の心構え、⑤ヒヤリング後の文字起こし、文章の整理、⑥ヒヤリング相手に確認をとる、⑦製本や出版、の各段階について記載されています。
またヒヤリング相手が、①市井の人や親族、地域の人の場合は、主にその人がどう生き・どう感じてきたのかという、その人にとっての主観的な歴史を描くことになる。あまり細かく事実確認を行うより、自然な語りを引き出すことが大切。②一方、相手が政治家・官僚・外交官など公的生活を送ってきた人の場合は、客観的な現代史を作っていく作業ともなるので事実確認が重要で、思い違いなどで誤りが生じないよう年表や組織・人事なども事前に準備する必要があるし、本人の著作やインタビュー、関連する新聞記事なども十分に読み込んでおくことが必要。