キャンデス・フレミングのレビュー一覧
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通勤時に丁度いい文庫だと思った。
「みんなの話を聞いて」 忘れられた墓地で 十代の十人の子どもたちが語る 彼らの生きた証から死ぬ瞬間までの物語。
十人の子ども達が話す物語の中で私が特に心に残ったのは「ジーナ」の話。
シカゴの名前はないが固い絆で結ばれた地域で「うそつき」呼ばわりされているジーナ。しかし、ジーナはぱっと浮かんでくる物語を語っているだけ。そんなジーナは転校生のアントニーと出会い、本当の嘘つきというものを知る。
ヤングアダルト小説といっても奇想天外な死のストーリーの数々に引きづりこまれページをめくるうちにいつの間にか駅を乗り越してしまう危険性があります。 -
Posted by ブクログ
夜中車を飛ばしてた少年マイク。
偶然道で拾ったメアリアンに導かれ彼が辿り着いたのは、十代の子供ばかりが眠る忘れ去られた墓地。
マイクはそこで幽霊となった子供たちが語る死に際に耳を傾ける事に……
ジュブナイルなテイストのゴーストストーリー。文章は読みやすく茶目っけがきいている。
一遍ごとに語り手が交代する連作短編集で、語り手の生前の境遇は勿論のこと時代背景や舞台設定なども各自異なっており、人喰いモンスターが巻き起こす騒動に兄妹が巻き込まれるB級パニックものから精神疾患の少年のグロテスクな妄想を扱ったサイコホラー、確執を抱く正反対の双子の姉妹が不思議な鏡に翻弄されるゴシックホラーまで、多彩な趣向で楽しませてくれる。
幽霊や悪魔など超自然的なモノから人の心の闇を扱った話までよりどりみどり。「猿の手」や「黄色い壁紙」など、古典をオマージュした話をさりげなくもぐりこませる演出も憎い。
既に死んだ子供たちが忘れられた墓地で話す物語というシチュエーションは、好きな人にはぐっとくるのでは?
子供たちが死んだ年代は100年程遡る昔から2012年の現代まで多岐に渡り、彼らの語り口からその時代ごとの価値観が透けるのも興味深い。
ド直球のホラーではなく、子供たちのユーモラスな語り口やコミカルな日常のエピソードにくすっとしたあと背筋がぞくっとするような感じ。
昔NHKで放送していた「グースハンプス」を思い出した。
ほぼ傍観者に徹するマイクの存在に疑問を呈す向きもあるが、そも彼という一夜限りの「聞き手」が存在しなければ「語り手」も存在しえないので、物語を成立させる重大な要素だと思った。
生きた聞き手を得て初めて物語は完結し、過去にスポットライトがあたるのだ。 -
Posted by ブクログ
深夜のシカゴ郊外を自動車で飛ばしていた16歳のマイクは、突然現れた少女に導かれ、うち棄てられた墓場に辿り着く。怯えるマイクの元に、早すぎた死の物語を聞いてくれと霊たちが続々集まってくる。そこは十代の子どもばかりが埋葬された墓地なのだった。古今の物語をマッシュアップしたヤングアダルトホラー。
面白かった!枠物語はジェントルゴーストものだけど、墓地の子たちの来歴はちょっとワルい話しが多くて、例えるなら『チャーリーとチョコレート工場』で脱落してった子たちの話を本人視点で聞くような感じ。
語り口の書き分けが上手で、思いっきり現代のティーネイジャー口調の子もいれば、ことあるごとにシェイクスピアを引用する子、古典的な怪奇小説を思わせる独白をする子もいる。最後のパターンに属する「エドガー」はその名の通りポーのオマージュなのがわかるけど、話の筋自体はサキやビアスに近い。ホラー映画のオマージュもたくさん。「デイヴィッド」はグレムリンすぎる。
〈因果応報〉という言葉は出てくるけど、特に反省を促すような教訓話になっているわけではない。「エドガー」の終わりでマイクがすっかりエドガーの肩を持っているところなど、この墓地特有の倫理観に呑まれていて笑える。
後ろのエピソードほど面白く、特に最後の「トレイシー」にでてくるヴィオラ叔母に関しては、この人の一代記で長編一本書いてほしいと思うくらい、派手なモチーフがてんこ盛りに詰め込まれている。問わず語りのように見えて各話にテーマ的な繋がりを持たせていたり、幽霊たちの生前の暮らしぶりからシカゴの歴史を浮かび上がらせていたり、小ざっぱりしているがセンスの良い作品だった。 -
Posted by ブクログ
不幸にして十代で死んでしまった子供たちの幽霊が、自分たちが死ぬに至った物語を順に語っていく連作ホラー。リアルに恐ろしく悲しいものや、どこかしらシュールながらやはり恐ろしいものや、さまざまなテイストが楽しめます。そしてその物語を聞き続ける少年マイクがいったいどうなってしまうのか、というところも読みどころです。
さまざまな怪奇小説の要素がたっぷり含まれているのもまた読みどころです。「サルの手」なんかはあまりにわかりやすいけれど。それ以外にも、ホラー好きならぐぐっと引き込まれるガジェットがいっぱいでした。
お気に入りは「ジーナ」。これが一番やるせなくてつらいなあ。リアリティという意味ではもっとも恐ろしく感じた一作でもありました。逆に「デヴィッド」は、現実感がなさ過ぎてシュールで、でもだからこそ実際に起こったら恐ろしいだろうなあ、という物語。あんな死に方は嫌だ。