「雲が湧く石(石清虚)」の、みんな石に夢中なのがやけに面白かった。主人公の邢(けい)が、高官やら泥棒やらに奪われて必死で取り戻しても、最後まで特に実益はなにもない(しかし満足している)というのがなんか好き。
「酒の精(酒虫)」は、いくら酒を飲んでも酔わない劉が、僧に「どこか具合の悪いところがあります
...続きを読むな」、いくら酒を飲んでも酔わないのは酒虫のせいです、と言われ、酒でおびき寄せて体内から追い出してもらった、ところまでは良かったものの、「以来、劉は酒を仇のように憎むようになったが、そのうち次第にやせ細り、家も日ごとに貧しくなって、三度の飯にも事欠くようなありさまになってしまった。」という結末にはびっくりした。まさかのバッドエンド。
礼金を受け取らず、ただその虫をもらいたいと言った僧。「これは酒の精で、これを水をいれた甕に入れてかき回せば、うまい酒になるのです」…もしやこれは僧に騙された話だったのだろうか。
聊斎志異というと、「かわいい幽鬼たち(小謝)」のような話ばかり、というイメージだったけれど、「大地震(地震)」のような普通のお話もあったりして面白かった。いつか全訳本も読んでみたい。