丸川知雄のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ東京大学の教養学部で開講されている中国に関する概論を一冊にまとめた本書だ。内容もさることながら、各章にQ&Aが設定されており、学生と教授たちがどのような問題意識を持って授業に参加していたのかがわかるのも大変に面白い。
今やアメリカと並んで超大国になった中国は、日本と異なる政治体制や歴史的な問題を抱えていることもあり、かつ隣国ということもあり、日本にとっては注目すべき国家であるのは間違いがない。
一方で、中国の特に近年の体制により、中国研究というのは年々難しくなっているということは間違いがなく、本書の中でもそのようなことが語られている。
考えてみれば、国に対して様々な観点から研究するといった視点は、究極的には全ての国に対して当てはまるわけであって、何も中国だけが特別なわけではない。
それでも、わざわざ中国学という講座を教養過程において設定ができるということは、中国がそれだけ総合的な視座で捉えられるべき存在であると東京大学は考えているということだろう。
自分が中国にいた頃に知り合った先生の記事もあったりして、懐かしさを覚えながら読んだが、一方で東京大学での研究をまとめた概論ということもあり、安全保障や政治体制に対して突っ込んだ抗議がなかったのは、やや残念ではあった。
そういう意味では、自分は長く中国に住んでいたということもあり、教養レベルの知識だけでは満足できないといったことなのかもしれない。
とはいえ、東大では一定数の中国人が学んでいることもあり、バランスを取りながらもこういった講座を開くということは、かなりチャレンジングな内容だったのではないかと想像している。