J・S・レ・ファニュのレビュー一覧

  • ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選

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    素晴らしい。静かでいてひそやかにしっかりと怪奇、不思議が土地の伝承を交えて描かれる。5篇あり、最後の中篇のみ怪奇を利用した悪党が出現するミステリーの表題作。これも悪くないが、自分は短編がとても好き。書かれたのは1800年代でジャンル分けなどなく、いきいきと作者が物語を特別なものとしてではなく、友人のような、身近で親しみ安く、自分の心を癒す大切な物として捉えている雰囲気がはまるー。表紙の感じからして期待薄で読み始めたが、素直にファンだ、また読みたい、と思わせる貴重な作品。

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    2019年12月11日
  • ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選

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    ゴシックホラーだけでなく、トリッキーなミステリーっぽい作品もあって楽しめた。くどいくらいの背景描写がレファニュらしくていい。

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    2017年07月15日
  • ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選

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    ネタバレ

    ・J・S・レ・ファニュ「ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選」(創元推理文庫)を 読んだ。久しぶりのレ・ファニュである。レ・ファニュは怪奇小説作家だと私は思つてゐるから、最後で少し驚いた。実際、訳者千葉康樹による「訳者あとがき」にも、「後年『レ・ファニュ=怪奇作家』という通念ができてしまった」(363頁)とある。私が読んだレ・ファニュはすべて怪奇小説であつたはずで、 私がさう思つてきたのは当然であらう。しかし、実はさうではなかつた。「レ・ファニュは怪奇と超自然だけの作家ではなく、同時代にはむしろ流行のセンセーション・ノベルの一派とも目されていた」(同前)らしい。このセンセーション・ノベ

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    2017年04月09日
  • ドラゴン・ヴォランの部屋 レ・ファニュ傑作選

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    「吸血鬼カーミラ」を書いた作家レ・ファニュの短編集。
    「吸血鬼カーミラ」をはじめ、この作家の作品を読んだことがないのではじめて読むには短編は入りやすい。

    五篇の作品のうち表題作「ドラゴン・ヴォランの部屋」はやや長めの作品で、それ以外は極短い作品だった。

    多くの作品は、怪奇や幻想的といった表現の似合う作品で、謎めいている。
    幽霊なのか何かよくわからないものによって、翻弄されたり生命を落としたりする。ヨーロッパという長い歴史のある地域だからこそ漂う雰囲気があり、物語を効果的に彩っている。

    明らかに恐ろしいものに対して恐怖に震えるという直截なものではなく、心にジワリと染みる見えない何かよくわか

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    2017年02月12日