久保純子のレビュー一覧
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かつてこの本棚でも「家康、江戸を建てる」「水都 東京 地形と歴史で読みとく下町・山の手・郊外」「地形で見る江戸・東京発展史」「江戸東京《奇想》徘徊記」「東京の美しいドボク鑑賞術」などなど東京の地形と人々の営みについての本を読んできました。まとめて「東京」というタグを作っています。それぞれ小説だったり、社会学だったり、歴史学だったり、土木学だったりいろんな切り口で東京を語ること自体が面白いのですが、今回は地理学というアプローチでした。読んでから気づきましたが著者は「日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語」というブルーバックスの共著者でもありました。なるほど視点がめちゃダイナミックかつ緻密です。知らない専門用語も飛び交いますが問題なく楽しめます。東京読書をしている理由のひとつが仲間とのウォーキングなのですが、次回のコースは等々力渓谷。本書の「台地の地形を歩く」の「多摩川台と等々力渓谷」の項、もう一回、よく読まなくちゃ!
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各地方ごと,特に石川県やどこかの観光地の地質などには,そのときどきに興味を持って調べてきたが,こうして,日本全体を見渡した地学を読んだのは本書が初めてだ。
本書のタイトルには「100万年」と銘打ってはあるが,それは「地域別の詳しい話」の場合であって,ちゃんと日本海開裂(1900万年前~1500万年前)から書かれているので,心配は要らない。
「第1章 日本列島はどのようにして作られたのか」で総論が述べられている。この章には,たくさんの専門用語が出てくるのだが,挿絵も多いので,なんとか解読できると思う。
第2章以降でも,第1章で使われた用語が出て来るので,忘れた場合は,その場所に戻りながら読み進めるとよいだろう。
2,3日で一気に読める人は,そんな必要もないかもしれない。
日本列島の地形学入門書として,お薦め。 -
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地球は生きている!
阪神大震災、東日本大震災と大きな地震が続き、それが1000年に一度などの大きなスパンで発生することを知り、長い時間をかけて変化する地殻の動きに興味を持っていたところでした。本書に明かされた100万年という時間の中での日本の国土の動きは正に生きている地球の一場面を見せられた思いがします。
生きている地球の営みにより起こる変化を知って、対処を考えておくことの重要性も教えられました。
筆者、編集者など、本書を世に出していただいた方々に感謝!感謝です! -
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東京の地形を語るときしばしば引用される「東京の自然史」(貝塚爽平)を一般向けにしたような本で,最近の研究成果も含まれているようだ。山の手や武蔵野台地,あるいは下町の低地の地形がどのようにしてできたのかを,都内の実際の地形を取り上げて、説明している。写真や図がふんだんに使われているのがよい。紹介されている地形は、地理院地図(電子国土WEB)を自分で開きながら読むと、よく分かった。地形と自然災害は密接に関係しているので、そのような視点での説明も興味深かった。IVの東京の東部から埼玉県東部に広がる低地の変遷については、最近の研究成果も含まれているようで,少し力が入ったようだ。Vでは巡検(野外観察)のコースを紹介しているが、散策本ではないので実際の散策用の地図が添えられているわけではない。しかし,紹介された場所をグーグルマップに落とし込みながら読むと、自分なりのコースを作れて面白かった。
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日本は地震大国、火山大国であり、毎年のように台風がやってきて川の水量が増すというのに、最近は高校で地学を必修にしている学校が極めて少ないという。この本に書かれていることは、もっと学校で教えられるべき内容だと思うし、ボリュームがありすぎると言うなら、せめて自分の住んでいる地方のことだけでも教えるべきではと思う。いくら防災グッズを備えても、自分の住んでいる場所の土地の成り立ちと、それに伴うリスクがわかっていなければ、適切な行動はとれないのではないか。
ページ数の関係でこの本に収まりきらなかったのだろう、言及されていない地域でまだまだ知りたい場所はたくさんあるので、ぜひ続編的なものを出してほしいと思う。 -
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日本列島の成り立ちの概要と地域ごとの特徴的な地形を紹介してくれている良書。
日本列島の特徴である山ができる経緯をプレートテクトニクスをベースにわかりやすく説明されている。
小さい頃からプレートテクトニクスを当たり前の様に受け入れていたが、この学説が1960年頃から急速に発展したことを知り驚いた。1900万年前に遡る日本列島誕生のメカニズムを最近の50年というわずかな時間で、紐解いたことになる。計測技術、分析技術の発展と補完しあいながらであると推定するが、この学説がいかにエポックメイングであったかは、想像に難くない。
山に囲まれている日本列島が奇跡の連続で誕生し、まだ今現在も変化し続けていると考えると、普段訪れている、富士山、箱根、伊豆半島を見るめが確実に変わり、新幹線の車窓から見る山々やトンネルさえも愛おしく思えるよになった。 -
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日本列島に関する地形学のこの本が売れてるという。日本列島にどういった形の力が働いて出来上がって来たのか、これなら多少はイメージ出来るよな、という内容。長い年月の間に氷期と間氷期が繰り返され海面が2、300mレベルで上がったり下がったり、2、3県を埋め尽くす様な噴火があったり。太平洋側から主に二方向でプレートが沈み込んで列島に複雑な皺を加えつつある。日本列島形成史を広く深く紹介している地形学のコンパクトな読み物が今まである様でなかなか無かったので、良いものがやっと出たという感じかな。出来上がるまで10年近く掛かったらしき後書きの内容。編集者も執念あるね。言葉遣いや図表は一般読み物というより専門家向けの色がかなり残ってしまっているのが、ちと残念。
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日本列島の成り立ちと各地方ごとの地形がどう成形されたのか、簡潔にまとめられています。日本の周りには3つのプレートがひしめきあうことにより、地震や火山が多く存在します。大陸プレートは密度の低い花崗岩、海洋プレートは密度の高い玄武岩でできているため、二つがぶつかると海洋プレートが大陸プレートの下に潜り込む、ということは本書を読むまで知りませんでした。このときマントルに対流が発生して、その湧昇流で大陸プレートが引きはがされ、日本海開裂が発生、東北日本は反時計回り、西日本が時計回りに回転しながら東へ移動、その間にフォッサマグナと呼ばれる大地溝帯が形成された、と説明されています。
12万年前の間氷期には、海進が進み東京の山の手のあたりは海だったとのことです。それから2万年ほど前の氷河期には、海水面が今より120mも下がり、北海道や九州北部は大陸とつながっていた時期があるそうです。そのため、マンモスやナウマンゾウが渡来できたと。東京湾は干上がり、陸地となり海岸線は浦賀水道まで後退したようです。その後の間氷期の7000年程前の縄文時代には、現在より気温が2-3度高く、海水面が上昇し、現在海岸から離れた内陸部まで海岸線が入り込んでいたと言います。これを縄文海進といい、埼玉県などの内陸に貝塚などがある理由だそうです。
富士山の直近の宝永噴火は、1707年ですが、これは1703年の元禄地震とそれに続く1707年の宝永地震のわずか49日後であったことから、地震と噴火の関係があったことが覗われます。火山灰(スコリア)が大量に酒匂川に流れたため川床があがり、洪水が頻繁に起きるようになりました。これを治水したのが二宮金次郎です。
大和地方で都が造営されたのは、盆地の存在でした。周辺の山から木材を伐採して都市を建設し、木材が枯渇すると別の盆地に遷都する、と。これが頻繁に繰り返された遷都の理由というのですが、建築資材がその要因だったのですね。
人間の生活の営みが自然の制約を受けるというのは、歴史的には当たり前だったのですが、現在では人間の活動が自然に及ぼす影響が全世界的に取りざたされています。地球規模の循環と、温暖化ガス排出の影響がどうせめぎ合っているのか、興味をかきたてられるテーマです。 -
Posted by ブクログ
ずいぶん時間がかかってしまったけれど、ようやく最後までたどり着いた。
100万年前から現在までを、自然地理学?の用語で「第4紀後半」というらしい。
その間に各地で起こった変動を説明していく。
第一章は総論。
日本列島が現在の弧状列島になったのが約1500万年前。
それを引き起こす地殻内部の動き(プレートの移動やずれ、火山のでき方など)、気温の変動による海面水位の変化が語られる。
ここ、CGで見たい!と思う。
一番ドラマチックなところ。
なおかつ、言葉ではイメージしづらいところもある。
第2章以降は、北海道から九州までの各地の地形についての解説。
富士山はどうやって形成されたのか、とか、古代王朝が近畿地方で遷都を繰り返すことができた(あるいは繰り返さねばならなかった)条件は何か、など、個別的な話として面白く読んだ。
東日本の記述に厚い。
そして、沖縄の記述は…ない。
ここら辺は、できれば改善していただきたい。
読みながら考えたのは、どういう編集方針にすると、予備知識がほとんどない私のような読者にもすっきり収まる感覚を与えられるかということだ。
地理学なのか地学なのかわからないが、その時代区分がわからなく、困ることもある。
変換表かなにかつけてほしい。
さらに言えば、地域別の編集もどうだったのか。
いや、確かに、地域別の方が、各地の特徴的な地形を説明するのに向いている。
だったら、巻末に年表をつけたらどうかと思う。
それから、用語の解説が初出の部分でなく、あとで出てくるのも困る。
「トラフ」という言葉は、いまや新聞にも散見される。
けれども、正確な意味を知る人ばかりではないだろう。
本書でも、第1章からでてくるのに、説明が出てくるのは何と216ページ。
良い本だと思うからこそ、いろいろ注文を付けてしまった。