高護のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この本は、筆者の紹介によれば、「歌謡曲という日本に生まれたひとつの音楽ジャンルを紹介し、作品を通じて探究する書籍」である。
もう少し筆者の本書の紹介を引用する。
【引用】
本書が目指したのは以下の要素を横断しながら総合的に歌謡曲という音楽の全体像をまとめあげていく手法である。
①その発展の歴史と特性についての時代ごとの考察
②個々の作品の基礎情報の記述および楽曲としての構成要素の紹介と分析
③それに伴う歌手、作詞家、作曲家、編曲家の役割と個々の特徴および他に与えた影響
具体的には1960年代から1980年代までの約30年間を10年単位で区切り、各年代をジャンル、傾向別に分類した。
【引用終わり -
Posted by ブクログ
戦後の歌謡曲の歴史はミーハーなものではなく、しっかりと音楽理論に基づいた骨のある本でした。弘田三枝子、西郷輝彦、黛ジュン、ピンキラなどロカビリー路線であったが故のビートの効いた歌唱は私が好きなタイプでした。一方、舟木、ザ・タイガースの文芸路線は私には気だるいものでした。歌謡曲の作詞をした西條八十はフランス文学教授、詩人であったので、低俗な歌謡作者であることに自家中毒的コンプレックスを抱えていたと書かれていましたが、その奥の深さに驚きです。例えば次の1文(P137)「GSの衰退とアイドル歌手の台頭と共に8ビート系の歌手は後退するが、70年代を迎えてシーンは新たな局面を迎える。欧陽菲菲とアグネスチ
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Posted by ブクログ
1960年代から90年代までを中心に、日本の歌謡曲、演歌、ポップ・ミュージックの変遷をたどっている本です。
佐々木敦の『ニッポンの音楽』(2014年、講談社現代新書)が、はっぴいえんど、YMO、シブヤ系と小室系、中田ヤスタカと、あつかう対象をしぼり込んで、日本の音楽業界における彼らの音楽の意義を論じているのに対して、本書は客観的な通史をえがくことに終始しています。流行歌を論じた本としては、ほかに社会学者の見田宗介による『近代日本の心情の歴史―流行歌の社会心理史』(1967年、講談社)がありますが、本書はプロデューサーとして日本の音楽シーンを見てきた著者による本で、アカデミックな観点からの考察