トム・フランクリンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
このミスでもランクインしていたし、ミステリの範疇に入るのだろうが、読みどころはそこではない。米南部ものとして秀逸であり、それ以上に「孤独」を描いた小説として胸に迫る。
ティーンエイジャーの頃少女を殺した疑いをかけられたまま、四十一歳まで一人で生きてきたラリー・オット。その生活のディテールが冒頭で語られる。序盤はなかなか物語に乗れなかったが、次第に引き込まれていって途中で再度冒頭を読み返し、悲哀が胸に広がった。
ヒーローは登場しない。気の利いた会話のやりとりがあるわけでもない。かっこいい女性は出てくるけどこれ見よがしではない。「アメリカ探偵作家クラブ賞」と聞いて思い浮かべるツボをほとんどはず -
Posted by ブクログ
ネタバレ人種の壁を背景にした南部アメリカが舞台のほろにが友情ストーリー。
序盤が入り込めなくて辛く感じた。
が、物語が見えてくれば、ラリーに沁みついた悲哀、サイラスの抱える罪悪感と、2人が年期に直面した人種の壁をめぐる微妙な葛藤が読みごたえを与えてくれる。必ずしも「黒人=虐げられる対象」ではないところも興味深い。
物語の発端となっている事件自体はご都合主義的にとってつけられた展開で幕を閉じるが、要するにそこは推しのポイントではなく、過去の事件に端を発するラリーとサイラス、2人の心理をめぐる展開が読みどころと感じた。
■このミス2012海外8位 -
Posted by ブクログ
ホラー小説がが好きな白人男性ラリー
ラリーは25年間前の1979年におきた少女行方不明事件から孤独に生きてきた
ミシシッピ州シャボットで治安官をしている黒人男性32akaサイラス
サイラスは高校、大学で野球で才能を発揮し、シカゴで育ち無事に生きてきた
シャボット周辺でミシシッピ大学の生徒ティナ・ラザフォードが行方不明になった
疑われるラリー、捜すサイラス
物語はラリーがなにものかに撃たれて始まる
ふたりの接点、ふたりの少年時代、25年前に起きた出来事、してきたことがゆっくり25年後にあらわれる
主人公がホラー小説、とくにスティーブン・キングが好きなので小説名がちょくちょく出てくる
「クージョ」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ親友同士だった二人の少年。
長じて疎遠となった二人は、ある事件を機に運命の再会をとげる――
ホラー小説を愛する内気なラリー(白人)と、
野球好きでまわりの子どもよりどこか大人びたサイラス(黒人)。
ふたりの少年が育んだ友情は、ある出来事で喪われてしまう。
そして25年後―
まるで周囲の環境ががらりと一変した彼らが運命の再会を果たし…
というお話。
物語は中年のラリーが何者かに襲われ、サイラスがその事件を担当することになります。
主に昔の回想をラリーの視点で、現在の事件をサイラスの視点で綴られるのですが、
衝撃の展開ってわけでもなくミステリの要素はあるものの、青春小説でしょう。
特にラリ -
Posted by ブクログ
読書を愛する気弱で内気な白人のラリーと、活発で大人びた黒人のサイラス。少女の失踪事件を軸に、この二人の人生が交錯していきます。1970年代のミシシッピ州の風土や人種問題を背景に、サスペンスを盛り込んだヒューマンドラマになっていました。
25年前の少女失踪の容疑をかけられたラリーの人生は、街の人々から疑われ、虐げられ続けた孤独なものです。周囲からの冷たい視線や仕打ちは残酷なものですが、それ以上に、その状況を甘んじて受け入れ、孤独に慣れ親しんでしまうラリーの弱さが悲しい。
対して、活発で明るく、現在は治安官として活躍するサイラスも、過去から目を逸らし続けて自分の弱さを見ないように生きている、こ