トム・フランクリンのレビュー一覧

  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    過去の少年時代を回想・再構築することで、
    現在の立ち位置を浮かび上がらせる手法は、
    濃密でじわりと胸に迫るものがある。
    サイラスが鶏に餌をやるシーンが琴線に触れる。
    いい小説を読んだ余韻がなかなか消えない。

    2011 年 英国推理作家協会賞(CWA賞) ゴールド・ダガー賞受賞作品。

    0
    2012年02月08日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    題名になっている「ねじれた文字」の由来となっているミシシッピという土地が生み出した物語。出口のないような濃密な空気感に包み込まれています。その息苦しさは白人と黒人、ふたりの少年の運命にも複雑に絡みついていきます。そして、悲惨な事件が。果てしない孤独を受け止める悲しみ、頑なに過去から目をそらす悲しみが重なり合いながら、しかし、救いのラストへ。アメリカ南部ならではのストーリーだとは思いますが、本と野球、少年たちの心は普遍的だとおもいました。

    0
    2012年02月05日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    このミスでもランクインしていたし、ミステリの範疇に入るのだろうが、読みどころはそこではない。米南部ものとして秀逸であり、それ以上に「孤独」を描いた小説として胸に迫る。

    ティーンエイジャーの頃少女を殺した疑いをかけられたまま、四十一歳まで一人で生きてきたラリー・オット。その生活のディテールが冒頭で語られる。序盤はなかなか物語に乗れなかったが、次第に引き込まれていって途中で再度冒頭を読み返し、悲哀が胸に広がった。

    ヒーローは登場しない。気の利いた会話のやりとりがあるわけでもない。かっこいい女性は出てくるけどこれ見よがしではない。「アメリカ探偵作家クラブ賞」と聞いて思い浮かべるツボをほとんどはず

    0
    2011年12月15日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    胸に染みる小説。
    暗くて辛い話だし、もっと悲惨な展開になる可能性もあったと思う。「甘いよ~」と言うひともいるかもしれない。
    それでも、わたしはこの終わり方が好き。
    読後感もいいです。

    0
    2011年11月10日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人種の壁を背景にした南部アメリカが舞台のほろにが友情ストーリー。

    序盤が入り込めなくて辛く感じた。
    が、物語が見えてくれば、ラリーに沁みついた悲哀、サイラスの抱える罪悪感と、2人が年期に直面した人種の壁をめぐる微妙な葛藤が読みごたえを与えてくれる。必ずしも「黒人=虐げられる対象」ではないところも興味深い。

    物語の発端となっている事件自体はご都合主義的にとってつけられた展開で幕を閉じるが、要するにそこは推しのポイントではなく、過去の事件に端を発するラリーとサイラス、2人の心理をめぐる展開が読みどころと感じた。

    ■このミス2012海外8位

    0
    2011年12月18日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    謎がある、犯罪もある。解決に向かおうとする。だから、これはれっきとしたミステリには違いない。
    しかしそれ以上に、孤独についての物語、と言えるだろう。

    「ミスティック・リバー」を彷彿とさせるなあ…などとも思っていたら、最後の謝辞にデニスル・ヘインの名も。

    0
    2011年09月19日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    ホラー小説がが好きな白人男性ラリー
    ラリーは25年間前の1979年におきた少女行方不明事件から孤独に生きてきた
    ミシシッピ州シャボットで治安官をしている黒人男性32akaサイラス
    サイラスは高校、大学で野球で才能を発揮し、シカゴで育ち無事に生きてきた
    シャボット周辺でミシシッピ大学の生徒ティナ・ラザフォードが行方不明になった
    疑われるラリー、捜すサイラス
    物語はラリーがなにものかに撃たれて始まる
    ふたりの接点、ふたりの少年時代、25年前に起きた出来事、してきたことがゆっくり25年後にあらわれる
    主人公がホラー小説、とくにスティーブン・キングが好きなので小説名がちょくちょく出てくる
    「クージョ」

    0
    2015年06月10日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    ミステリーの要素もありつつのドラマの要素もありの小説。ジョン・ハートに近い雰囲気があるが、ジョン・ハートに比べると物語に引き込まれにくかった。ミステリーについては真相があっけない。

    0
    2012年03月26日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    親友同士だった二人の少年。
    長じて疎遠となった二人は、ある事件を機に運命の再会をとげる――

    ホラー小説を愛する内気なラリー(白人)と、
    野球好きでまわりの子どもよりどこか大人びたサイラス(黒人)。
    ふたりの少年が育んだ友情は、ある出来事で喪われてしまう。

    そして25年後―
    まるで周囲の環境ががらりと一変した彼らが運命の再会を果たし…
    というお話。

    物語は中年のラリーが何者かに襲われ、サイラスがその事件を担当することになります。
    主に昔の回想をラリーの視点で、現在の事件をサイラスの視点で綴られるのですが、
    衝撃の展開ってわけでもなくミステリの要素はあるものの、青春小説でしょう。

    特にラリ

    0
    2012年02月17日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    2012.03.08. ミステリというよりは、友情物語のような色が濃い。シンプルに語られる事件と、みずみずしく描かれた少年時代。

    2011.11. BSの本の紹介番組で見て。ミステリ、今年は全然読めてないぞー…。

    0
    2012年03月11日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    読書を愛する気弱で内気な白人のラリーと、活発で大人びた黒人のサイラス。少女の失踪事件を軸に、この二人の人生が交錯していきます。1970年代のミシシッピ州の風土や人種問題を背景に、サスペンスを盛り込んだヒューマンドラマになっていました。

    25年前の少女失踪の容疑をかけられたラリーの人生は、街の人々から疑われ、虐げられ続けた孤独なものです。周囲からの冷たい視線や仕打ちは残酷なものですが、それ以上に、その状況を甘んじて受け入れ、孤独に慣れ親しんでしまうラリーの弱さが悲しい。

    対して、活発で明るく、現在は治安官として活躍するサイラスも、過去から目を逸らし続けて自分の弱さを見ないように生きている、こ

    0
    2013年05月30日
  • ねじれた文字、ねじれた路

    Posted by ブクログ

    「BOOK」データベースより
    ホラー小説を愛する内気なラリーと、野球好きで大人びたサイラス。1970年代末の米南部でふたりの少年が育んだ友情は、あるきっかけで無残に崩れる。それから25年後。自動車整備士となったラリーは、少女失踪事件に関与したのではないかと周囲に疑われながら、孤独に暮らす。そして、大学野球で活躍したサイラスは治安官となった。だが、町で起きた新たな失踪事件が、すべてを変えた。過去から目を背けて生きてきたふたりの運命は、いやおうなく絡まりあう―。

    0
    2011年10月23日