トム・フランクリンのレビュー一覧

  • たとえ傾いた世界でも

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    2024年3冊目。
    インガソルがメチャクチャ好きでマジでカッコいい。
    映画化してほしい。

    年齢がだいぶ違うけどインガソルはクリスチャンベイルで想像してました。

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    2024年03月13日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    少年二人の友情と、それが壊れてからの長い年月。25年後に再びめぐり合った二人の運命が、簡潔に接続詞を省いて積み重なっていく文章で書き表されている。読みやすくひざびさに読後感のいいミステリだった。
    底辺にある黒人と白人という人種問題も重くなく理解できるもので、効果的だった。

    ホラー小説を愛するラリー・オットは41歳になった今、人里はなれた家で一人で暮らしている。父親から受け継いだ自動車修理工場を持っているが誰も来ない。その理由は過去の事件にあった。

    ゾンビの仮面をかぶった男が彼の家に侵入して至近距離から胸を撃たれ、ラリーは倒れた。そこから物語の幕が上がる。

    黒人のサイラス・ジョーンズは母親

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    2020年01月10日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    …小説で泣いたの久しぶりです。
    だいたい、帯や裏表紙に書いてある「感動の~」とか
    あんまり信用しない上に、
    単なる売り文句だと思っているのですが、
    いやー…良かった。これは良かった。
    解説にもありますが、
    余韻を楽しむ作品と云っていい程。

    冒頭から憂鬱な気持ちに蹴落とされ、
    そのほの暗いローテンションのまま淡々と進んでいきます。
    ので、挫折しがちな文体かも知れませんが、
    其処を超えて此のラストは味わっていただきたく。

    こないだまで読んでいた東江さんの邦訳に比べたら、
    あんまり技巧的さを感じない
    訳文なのかもしれませんが、
    その堅さもかえって良かった気がします。

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    2016年12月16日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    ネタバレ

    風変わりなタイトルは、ミシシッピー(Mississippi)の綴りを覚える時に、アメリカの子供が歌う歌詞の一部だということ。
    アメリカ南部を舞台に殺人容疑をかけられている白人と、野球の夢を諦め地元に帰ってきた黒人下っ端警察官の、元同級生がおりなす物語

    最後のあっと驚く仕掛けもあり、ミステリーとしても評価できるが、どちらかというと人間ドラマとしての読み方をしてしまう。二人の主人公と周囲の人間たちの悲哀と少しばかりの癒しが、ジワジワ心にしみてくる。読み終わった後の余韻がたまらなくいい。

    友情、人間の信頼関係って簡単に崩れるけど、時間をかけてじっくり癒せるものでもあるんだなぁ。
    主人公の一人ラリ

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    2016年11月04日
  • たとえ傾いた世界でも

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     1927年にミシシッピ川流域でアメリカ史上最大の洪水が起こったことはとても有名な史実であるにも関わらず、米国民の大方からは忘れられているという。その時代、その災害のさなかで密造酒作りを稼業に選んだ夫を持ったディキシー・クレイは、幼い子を洪水で失い、今では自ら密造酒作りの日々を送っている。

     そこに一家惨殺の生存者である赤ん坊をひょんなことから連れ歩いていた密造酒取締官インガソルが現れ、ディキシー・クレイのもとに神の子を授ける。それが皮肉な運命の出逢い。水は方々で土手を決壊させ、多くの街を水底に呑み込んでゆく。この世の終わりとも言うべき1927年の世界の中で葛藤する男と女の出逢いを描く、南部

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    2014年10月28日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    『そのあとは、野原の向こうの林から昼が流れ果て、夜が居つくまで、フロントポーチにつくねんと座っている。どの日もちがう、どの日もおなじ』

    テキサスの大都会の一番の通りといえども、最も賑わうショッピングエリアから西へ15分も行けば、「町はずれ」の雰囲気が漂い始めるほどに建物と建物の間隔は広がり、駐車場に車が疎らなショッピングモールも出現し始める。そんなエリアに建つホテルにて「ねじれた文字、ねじれた路」を読む。

    もちろん、ミシシッピ川はテキサスを横切ってはいない。隣のルイジアナからメキシコ湾に注ぐ泥の河。しかし、ここもディープサウスと並ぶ保守の州。白人のみが不動産を購入できる元大統領の住む一角

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    2013年02月02日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    アメリカの作家トム・フランクリンの長篇ミステリ小説『ねじれた文字、ねじれた路(原題:Crooked Letter, Crooked Letter)』を読みました。
    ここのところミステリ小説はアメリカの作家の作品が続いています。

    -----story-------------
    デニス・ルヘイン、ジョージ・ペレケーノス、デイヴィッド・ロブレスキー絶賛。
    アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作家が贈る感動のミステリ

    ホラー小説を愛する内気なラリーと、野球好きで大人びたサイラス。
    1970年代末の米南部でふたりの少年が育んだ友情は、あるきっかけで無残に崩れ去る。
    それから25年後。
    自動車整備士となったラ

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    2024年04月03日
  • たとえ傾いた世界でも

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    「自分は通り過ぎていく人間だと思っていた。
    上を通り、下を通り、通り過ぎる。」
    孤児で第一次大戦で兵役を経て、密造酒取締官を業としている主人公インガソルは、自分の人生をそう考えていた……一人の赤ちゃんを拾い、一人の女性と出会うまでは。

    1926年から27年夏までに幾度も発生したミシシッピ川流域の記録的な洪水。
    いつ終わるともしれない長い雨によって、繰り返しミシシッピ川とその支流が氾濫し、人人の生活を壊していった。
    特に、農業労働力であるアフリカ系アメリカ人の被害は甚大で、直接被害がなくても農場が駄目になり職を失うことにもなった。

    物語は1927年4月、アメリカは有名な「禁酒法」の時代、弱弱

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    2023年06月09日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    しかしアメリカ人はこういうのが好きだなぁ~。
    デニス・ルヘイン、ジョン・ハート……
    閉鎖的な田舎町、貧困、人種差別、レイプ、銃、酒、麻薬、家庭内暴力……。

    ミシシッピの田舎で友人だった二人
    白人でホラー好きで人付き合いの苦手な子と、黒人で母と二人シカゴから流れてきた野球好きの子。仲が良かったはずの二人がいつの間にか離れていく。
    二人の距離が広がった少女の失踪から25年、再び事件が起こり二人は……。

    25年前と現在が二人それぞれの視点で描かれ、最初の100ページは苦労した。
    ミステリーではなく文芸小説だと思って、唐突に切り替わる時間と視点に慣れ始めると、独特の雰囲気の中、ドーンと沈み込み浸る

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    2022年09月15日
  • たとえ傾いた世界でも

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    1920年代のアメリカ
    ミシシッピ川大洪水 洪水のシーンは凄い迫力。二百人以上の犠牲者と記録にはあるが、本当はもっとかもしれないらしい。黒人の労働者は記録に残っていなかったのだろう。
    赤ちゃんの愛らしさと、母になりたい切実な女の気持ちがリアル。

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    2018年08月23日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    「ラザフォード家の娘の行方がわからなくなってから八日が過ぎて、ラリー・オットが家に帰ると、モンスターがなかで待ち構えていた」

    いかにもミステリらしい謎めいた書き出しに興味は募るが、正直なところ犯人はすぐわかってしまう。なにしろ<おもな登場人物>に名前が出ているのが11人。ミステリのお約束として、犯人は必ずこの中にいるはず。そのうち二人の被害者は除外して、残りは九人。その中の三人が捜査関係者で一人は視点人物のサイラス。警察官が犯人というのもあるが、ここは南部のスモールタウン。みな顔見知りだ。仕事以外につきあいのない都会とは訳がちがう。

    もう一人、ラリーという視点人物がいる。登場するなり何者か

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    2017年04月25日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    回想によって現在までをゆっくり再構成していく思い出ミステリ。ただの友達だった二人の辿る路が次第にねじれていくのを追体験するのは面白い読み応え。主人公の一人が読書中毒でえらく感情移入しやすい…。
    途中まで、マッチョイズムというかオッサンミステリだなと辟易しかけていたけど、そういう脂ぎったものの水面下でひっそり、だけどしぶとく生き続けていた、あんまりにも繊細な思い出たちの話だった。いい。少年少女冒険文学オッサンリミックスみたいなやつ。

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    2016年08月23日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    読んだ後、しばらく余韻に浸っていたかった本だ。
    陰惨な話かなと思ったけど、そっちはそんなにあからさまではない。人物描写が素晴らしい。グリーンマイルを思い出した。二人の男の心の旅路に、そっと寄り添って読み進んだ。
    人はひどい所も一杯あるけど、捨てたもんじゃないとほのかな明かりを感じさせてくれるラストが大好き。

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    2014年06月03日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    ミステリとして読むと、途中で犯人が分かってしまうし、意外性というものは乏しい。

    しかしそれを補う文章の美しさ、描写のこまやかさ。ミステリというよりも25年間身に覚えのない罪を着せられ、小さな町から村八分にされて生きてきた男と、南部の小さな町で父のわからない黒人として生きることとは何かを幼いころから否応なしに刻み込まれた男の抱える古い傷の話。

    T.H.クックと比較する評も読んだ。たしかにちょっとしたはき違えから孤独な人生を送らざるを得なくなった人の物語として、類似点はあるかもしれない。

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    2013年06月27日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    自分が選んで読む米国の本は湿度の低いものが多いような気がするけど、この作品もまた圧倒的に乾いてた。読後のし〜んとした感じが心地いい作品。
    残念なのは、ミシシッピ州の小さな町が舞台で白人と黒人、二人の男が主人公の話しが故に細かい機微が掴み切れないとこ。こればっかりは「文化がちがーう(by ヒストリエ)」で逃げるしかないんかな。

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    2012年06月29日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    ミステリと言うより文学作品。
    南部アメリカ小説。娯楽作と言うより、じっくり読ませる端正な作品。
    物語はつらく、悲しく、息苦しいが、文章、描写は美しく見事だ。
    最期に少しだけ希望が持てる点がいい。

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    2012年06月14日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    白人より黒人有利の社会で暮らしている白人男性と黒人男性の物語。アメリカの闇の部分が描かれていて、そこがまたいい。と~っても暗いお話しだけど、最期は希望が持てる終わり方で良かったと読み終わったときつくづく思った。

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    2012年05月22日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    ネタバレ

    ミシシッピ州の田舎町で40代の自動車修理工が銃で撃たれる事件が起きた。被害者のラリーは瀕死の重傷。しかし、ラリーはちょっと特殊な人物だった。というのも彼がまだティーンエージャーだった25年前。同級生のシンディが行方不明になり、ラリーはその事情を知っている重要参考人だったのだ。
    そして、つい最近も女子大学生が行方不明になり、ラリーは再び容疑者とされていたのだ。
    その街で治安官をしているサイラスはラリーと幼馴染だった。一度街を出て、治安官として戻ってきた彼は、疎遠になっていた筈のラリーの身辺を調べ始めるうちに、少年時代のラリーとの記憶が徐々に蘇り始める。そこには、当時は気づかなかったサイラスとラリ

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    2012年05月20日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    どんでん返しがあるようなミステリじゃなかったけど。

    読み解かれるのは登場人物たちの人生だったという事。
    二人の男がどう出会い、どう離れ、どう、もう一度近づいていくのか。
    その丁寧な描写がとても良かった。

    終盤、主人公の1人のサイラスが、もう1人の主人公、ラリーの母を尋ねたくだり。
    彼らが共に過ごしたほんの少しの瞬間、
    その子供であることの無敵さと輝きが、ある一説で語られる。
    その部分に胸を打たれた。

    この人の書く文章は美しいと思った。

    そして最後の最後の一文を読んで、私は苦しくなって暫くその余韻に浸った。
    よい本だった。

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    2012年04月30日
  • ねじれた文字、ねじれた路

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    CL 2012.4.1-2012.4.11
    ミステリとしてはたいしたことはないけど、
    余韻の残る作品。
    少年時代、だねぇ。

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    2012年04月22日