多湖淳のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
歴史上の戦争をデータセットとして蓄積して共有し、それを統計的に分析するような「科学的な戦争研究」が進展していることを書いた一冊。
「それぞれの事件は個別具体的で固有のものなのだから、ひとくくりにしてデータとして分析しても意味がない」といった考え方を退けるスタンスである。
そして、科学的というだけあって「実験」も用いる。もちろん実験で戦争を行うということではなく質問文の違いによる世論の変化を探るとかそういうのだが。
こうした科学的戦争研究は20世紀後半から始まったもので、その時期は国対国の戦争が激減した時期である(もちろん、2つの世界大戦で戦争の高コストが痛感された影響)。
それゆえにか、科学 -
Posted by ブクログ
戦争に関する定義がそもそも非常に難しいため、定量的な分析、法則性の発見にどれだけ意味があるのかというのは事実である。
しかし、安直に定量的な検討を捨てず、検証可能な研究を積み上げていくことは、戦争に関する学問を確立していくために必要なことである。
本書を読む限りでは、自然科学に匹敵するような学問になるのは相当大変であると考えられるが、戦争に関する有益な知見を積み上げるためにも頑張ってほしいと思う。
なお、全般的には本書を評価するが、第5章において、まだ完全に真実として確立されていない知見を持って、断言するように日本について語っているのはいかがかなと感じた。
まあ本書は学術書ではなく新書 -
Posted by ブクログ
戦争とは何かというタイトルに引かれて読んでみた。本当に多くの人が困ったり悲しんだりする戦争って何なのだろう。
この本はそんな戦争の始まり方、終わり方、起きやすさなどをデータから導くことができないかという視点で解説している。数々の戦争はそれぞれでパターンのようなものに当てはめることなどできない、パターン化したところで新たに起きるものはそのパターンに当てはまらないものが出てきてしまうだろう。だから対策を立てようとしたところで無駄だと思いがちだ。
でもどうやら、データを駆使すれば戦争を回避したり前もって対策を立らてておくようなことができそうでもある……という空気を感じた。正直なところ、内容や書きぶり -
Posted by ブクログ
ネタバレ戦争が起こる条件をデータから明らかにし、それを予測する、という”科学的”な国際政治学を専門とする研究者による新書。本書の”戦争”とは暴力行為を伴うものとして定義されています。そのような段階の前の国際政治における”貿易戦争”だとか”冷戦”は含まれない。交渉の失敗の結果として戦争がどのような状況で実際に発生するのかということをデータから明らかにしていこうと言う内容。
しかし、思っていたような一般向けの本とは言い難かった。論文調なことに加え、日本語として文章も読みにくい箇所が多く、この分野の専門家でないと意味を理解できなくてすぐに挫折しそう。基本的異は著者の研究とその学術の世界の紹介であって、この世