大関真之のレビュー一覧
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ネタバレ機械学習という数式ばかりの学問の本質を童話に即して解説するという非常にユニークな本。その結果、重みの調整がレバーの上げ下げだったり、微分がレバーを少し動かすだったり、訓練データとテストデータが練習問題と本番の入試問題等、初学者にもわかりやすく書かれている。薄いので、すぐに読み終えられる所も良い。
その一方で、タイトルに入門とありつつも、中盤以降は深層学習、スパースモデリングと非負値制約行列分解、イジングモデルとホップフィールドネットワーク、ボルツマン機械学習、隠れ変数、自己符号化や畳み込みニューラルネットワーク等にまで話が及び、比較的高度な内容まで幅広くカバーしている。
そのため、実は機械学習 -
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とにかく量子コンピュータの仕組みが知りたくて読んだ。そして説明できるレベルではないが、イメージは掴めた。かなり複雑な「量子コンピューティング」のイメージを掴ませられるだけでもかなりの良著だと思う。
従来の半導体を用いた仕組みとは全く違い、(D-Wave社製の例で言うと)ニオブという金属をキンキンに冷やして超伝導状態にして…という科学実験装置のような仕組みだそうだ。
量子コンピュータというのは現代のコンピューティングを大きく前進させる可能性があるというのは間違いない、ということが理解できた。(「人工知能を加速する」は釣りタイトル感があるが)
未来の話のようでもあるが、実はすでにD-Wave社が -
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量子コンピューターについて最近の組み合わせ最適化や機械学習への応用も視野に入れて解説。特に著者自身が提唱し、近年の進展のブレイクスルーとなった量子アニーリングについて平易に説明されている(古くからある量子ゲート方式との違い、量子アニーリングを物理世界で実現してしまうハードウェアの開発、シミュレーティッドアニーリングとの対比を通じたトンネル効果の説明など)。
また、応用範囲についても、組み合わせ最適化と機械学習(特にサンプリング)について、どのような課題が量子コンピュータによって解決するのかが解説されている。
さらに、現在のレベルを冷静に分析した上で、今後の発展のためにどのような基礎研究・理 -
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量子コンピュータで世界がどう変わるか知りたい人におすすめ
【概要】
●1章 量子コンピュータを取り巻く世の中の動向
2章 量子コンピュータが何か
3章 自動車業界および製造業の未来がどう変わるか
4章 量子コンピュータで変わる未来の展望(13の企業から)
5章 新しい分野でどうイノベーションを起こしていくのか
【感想】
●量子コンピュータのことが細かく丁寧に書かれている。
しかしながら、自分で納得いくところまでは理解できなかった。
説明されている内容を読んで更問いが生じるからである。
したがって、他の本も読んでみてまた読み直せば理解が深まるかもしれない。
●情報は2019年時 -
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量子コンピューターは間違いなく「いつか来る未来」だ。一方で研究を超えた商用化という観点からすると、量子コンピューターはまだまだ実現が遠い存在である。昔は50年後といわれていたのが、今は曲がりなりにも動いているのがすごいのだけど。
本書はその量子コンピューターの現状と、日本での研究・利用段階を、実際に利用しているデンソーの研究者がメインとなってまとめたものだ。最初の章で理論的な説明を行い、次の章では実際に研究が行われている色々なテーマが紹介されている。
ある程度量子コンピューターの知識を持っている人には、第1章の内容はやや物足りないだろう。一方で、量子的な振る舞いについての知識がない人に -
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量子コンピュータそのものの説明もありつつ、結局のところ何の役に立ちそうなのかという点を深堀りしている。
その姿勢は様々な企業へのインタビューからも浮かび上がってくる。
アニーリングについては「量子コンピュータもどきでしょ?」みたいな評判もあるが、本書で書かれていたようなサンプリング用途、最適なものを一つではなく最適解近傍を複数もつというやり方はなるほどと膝を打った。
エンジニア向けとしては最近出たMDR湊さんによる本が大変わかりやすかったが、
本書はさらに「エンジニアじゃなくても量子コンピュータの価値を理解できる」というところまで踏み込んだ感がある。