西森秀稔のレビュー一覧
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とにかく量子コンピュータの仕組みが知りたくて読んだ。そして説明できるレベルではないが、イメージは掴めた。かなり複雑な「量子コンピューティング」のイメージを掴ませられるだけでもかなりの良著だと思う。
従来の半導体を用いた仕組みとは全く違い、(D-Wave社製の例で言うと)ニオブという金属をキンキンに冷やして超伝導状態にして…という科学実験装置のような仕組みだそうだ。
量子コンピュータというのは現代のコンピューティングを大きく前進させる可能性があるというのは間違いない、ということが理解できた。(「人工知能を加速する」は釣りタイトル感があるが)
未来の話のようでもあるが、実はすでにD-Wave社が -
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量子コンピューターについて最近の組み合わせ最適化や機械学習への応用も視野に入れて解説。特に著者自身が提唱し、近年の進展のブレイクスルーとなった量子アニーリングについて平易に説明されている(古くからある量子ゲート方式との違い、量子アニーリングを物理世界で実現してしまうハードウェアの開発、シミュレーティッドアニーリングとの対比を通じたトンネル効果の説明など)。
また、応用範囲についても、組み合わせ最適化と機械学習(特にサンプリング)について、どのような課題が量子コンピュータによって解決するのかが解説されている。
さらに、現在のレベルを冷静に分析した上で、今後の発展のためにどのような基礎研究・理 -
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量子力学の専門家による量子コンピューターの話。難解な量子の世界について、簡単に説明しており、その概要がわかった。カナダの企業が製品化している量子コンピューターは、今のコンピューターの1億倍の処理能力があるらしいが、グーグルやNASAも積極的に開発に参画しており、今後大きく発展していく分野だと感じた。
「従来型のコンピューターは、性能が次第に頭打ちに達してきたので、より高性能な量子コンピューターの開発が期待されているのだ」p15
「従来のコンピュータの心臓部がプロセッサだとすると、D-Waveマシン(D-Wave 2X)の心臓部は量子ビットを実装する超伝導回路(ニオブという金属を使った超伝導) -
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以前から気になっていた「量子コンピュータ」。
動作原理と結果の解釈方法は今一つ理解できなかったが、とりあえず「量子アニーリング方式」と「量子ゲート方式」というキーワードを覚えておこう。
本書は、「量子アニーリング方式」で組み合わせ最適化問題の近似解を得ることができる「量子コンピュータ」について、現状と発展の方向性のヒントを示してくれている。
汎用性はないが、問題によってはスーパーコンピュータ「京」で3年かかるものが1秒で出せるのは脅威的。
答えを得るまでの速さのみならず、コンピュータの動作自体にかかるコスト削減による省エネ率が半端でなく利用価値大。
ざっくり言うと、3年でかつ1億円もかかるため -
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GoogleとNASAが量子アニリーング方式の量子コンピュータでは組み合わせ最適化問題で、既存のコンピュータの一億倍早いと発表した話を皮切りに、D-Wave開発の経緯と背景そして出遅れた日本の反省と今後について語り、量子コンピュータの仕組み原理についてとても分かり易く(量子コンピューティングが始めて分かったような気にさせられた)説明する。
以下は量子コンピューティングの仕組みの説明の要約。
「巡回セールス問題を5都市で説明、25bitを用意、ビット間の相互作用を決め、0と1の重ね合わせになっている状態からスタートし、横磁場をかけ、後に弱くして相互作用を強くし最終的に横磁場を0にする。相互作用で -
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人工知能の話は少々抽象的で、量子論の説明は全く物足らないが、ある種の量子コンピュータが現存して販売されていること、そして、このコンピュータは万能ではないが特定の課題に対して従来技術のブレークスルーになることはよく分かった。また、この量子コンピュータの動作原理である量子アニーリングについて、適切な比喩によって素人にも直感的にイメージできるよう解説されている点は、さすがはこの道の第一人者であると思わされた。
このほか、科学的・理論的に厳格な研究に励む日本の科学者と、たとえ完璧な答えが出なくても役に立つものなら研究して発展させ、その上で実用化して世の中に広めていこうとするアメリカの科学者やそれを資金 -
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量子アニーリング方式を考案した研究者による量子コンピュータの解説書。前半はこれ以前に読んだ本で既に得ていた知識で、肝腎の量子アニーリングの説明も何となくの雰囲気だけに終始。期待していたのとは少し違うという意味で星3。慌てて申し添えておくと、入門書あるいは勉強のモチベ本としては、量子コンピュータを取り巻く状況が概観できて良い本だと思う。そうでなくても、量子アニーリングという概念を知ることが出来ただけで僕としては収穫はあった。
あとは、他の方のレビューにもあるが、筆者自身の業績に対して自慢たらしい(?)記述がそこここに見受けられるのが(それが凄い業績であると理解していても)、やや鼻につくかな… -
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ネタバレ量子コンピュータについて。詳しい作動原理などの話はないので物理に詳しくなくても読める内容。ただ、著者の一人は昔から量子コンピュータを研究している人のようで、自分の業績への言及が過剰なのがちょっと目立つに
・グーグルの量子コンピュータは現在最高性能のスパコンが一万年かかる計算を3分で完了するんだそうだ。とはいえ、グーグルの量子コンピュータで計算可能な問題は巡回セールスマン問題に代表される組み合わせ最適化問題という特殊な問題に限られる。もともと量子コンピュータといえば量子ゲート方式という汎用のコンピュータが開発されたいたのがここ数年急に実用化されるようになったのはD-Waveが開発を進めている量