近山金次のレビュー一覧
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共和制ローマの指導者にしてローマの共和制に実質的に終止符を打ったユリウス・カエサルが、紀元前58年から51年にかけて行ったガリア(現在のフランス)遠征の記録。
元々は元老院への報告書だったためか、余計な修飾を省いた徹底的に実務的で論理的な文章。その簡潔で洗練された文体ゆえに、ラテン散文の傑作と言われた作品です。
実際、読んでみると簡にして要を得たシャープな文体に引き込まれて最後まで一気です。ビジネス文書かくあるべしの見本。訳が少し古色蒼然としているのと、カタカナ地名と部族名の多さに目をつぶれば、下手な小説なんかよりよっぽど面白い。最後のアレシア攻防戦の描写は激戦の様子が目の前に浮かぶようで -
Posted by ブクログ
カエサル(前102頃‐前44)率いるローマ軍のガリア(今のフランス)遠征記録(前58-52)
二千年以上読み継がれ今なお愛される不滅のロングセラー
このガリア戦記を初めて読んだ時は、歴史書の登場人物の英雄本人が書いた書物を
2000年後に自分が読める事に幸運と偉大なるロマンを感じたものだ(笑)
このガリア戦記@近山訳はラテン語原文に非常に忠実に訳している為、日本語として読むと
少々読みにくいがあのキケロ、モンテーニュをして「名文」と絶賛せしめたラテン語原文の
簡潔明瞭な文体を忠実に再現していると言えるだろう。
しかし最初に読んだ時はカエサルが「第三者」のように書かれていることに少々とまどった -
Posted by ブクログ
塩野七生を読んでいないと、かなり理解が難しかったように思う。添付の民族の地図を拡大コピーして、照らし合わせて読んだ。かなりあっさりとした文体。塩野七生であんなに盛り上がった”アレシアの戦い”もあっさりと書かれていた。一貫して思ったのは、カエサルは指揮官としての意識を強く持っていて、部下への指示も、また部下の行動に対する評価も、指揮官の目線で客観的に行っていること。なによりも、客観的事実に基づいて何事も判断していて、私情が一切、出ていないところがすばらしい。また、途中、カエサルが、ガリア人やゲルマニア人の文化や生活習慣、さらに生息している動物について説明しているのが、とても興味深い。
岩波の近山