スーザンヒルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
たいした心境の変化など無いのだが、最近はホラー/幻想小説に以前よりも手を伸ばすようになった。他のジャンルに比べてさほど読んでこなかったこともあるが、ラヴクラフトの箴言「最も起源が古く、 最も強烈な感情である恐怖」を主題とする小説の真髄に、あらためて触れておきたいという気持ちが強い。ただし、作家の技倆が如実に表れるジャンルのため、つまらない作品もひときわ目立つ。結局のところ、プロットよりも、単に文章/描写が駄目なことが多い。恐怖心を煽るためには、イメージを喚起する的確な語彙と優れた表現力が必要だ。
つまりは、語り口なのである。日本古来の伝承文学ともいえる怪談は、今も夏の風物詩として子どもから大人 -
Posted by ブクログ
上質の英国ゴシックホラー小説。
描かれる世界は繊細で叙情的で、
凄惨な美しさが漂う。
そう、この物語をもとに、
いくつもの印象的な名画を生み出せそうな…。
ゴシックホラー好きにはたまらない、
いかにも、な設定を踏みつつも、
その「いかにも」の質が良いために、
かえって斬新な気持ちを抱かせてくれる。
ひたひたと迫る恐怖、
少しずつベールが剥がされていく謎、
主人公の感情の波、
そのどれを取っても申し分ない。
秀逸なのは、まずは、明と暗のコントラストの書き分け。
これ以上ないくらいに安心できるシチュエーションを用意しておきながら、
次の瞬間にどん底に叩き落とす手腕はたいしたもの。
全体に対してだ -
Posted by ブクログ
書類整理の仕事で古い館にやってきた若手弁護士の体験する恐怖を描くホラー。
雰囲気といい舞台設定といい周りの自然描写といいまさに正統派のホラーという感じがします。いい意味で古臭い感じがします。
たぶん雰囲気を格段に盛り上げてラストの章につなげたかったのだと思うのですが、オチが読めてしまったためあまり恐怖はなかったかなあ。もちろん先が読めていても「うわあ!やっぱり……」となる作品もあるのですが、読む前にハードルを上げすぎたためか、途中までの盛り上がりの場面でもあまり怖さを感じられず、それを最後まで引きずってしまった感じがありました。
でもやはり雰囲気作りは抜群だったので、フラットな目で見れば