2015.9.14、米国の「LIGO」、重力波を検出。
2016.2.11、重力波検出を発表。
1916年、アインシュタインがその存在を予言してから、実に100年の歳月を要した。
なお、2015.12月に二つ目の検出があったことを2016.6月に発表。
質量を持つ物体があればその周囲は潮汐的に歪む
...続きを読む。この歪んだ空間のことを「重力場」という。物体が「加速度運動」をしたとき、光速で伝わっていく空間の歪みの波が「重力波」。
重力波検出が期待できる重力波源はおもに次の3つ。
・超新星爆発…重力波を検出できるほど近くで起こるのは、せいぜい数十年に一度。
・中性子星連星の合体…天の川銀河での発生頻度は、一万年に一回程度。いままで10個ほど発見されている。
・ブラックホール連星の合体…LIGOが重力波を検出した発生源がこれ。当初、存在が予測されるだけのものだった。LIGOは、重力波検出と同時に世界で初めてブラックホール連星を発見したことになる。
重力波は振動なので、「目を向ける」というより「耳を傾ける」もの。
LIGOが検出した振動の大きさは、原子ひとつの直径の10兆分の1。
LIGOはルイジアナ州とワシントン州の2か所にあり、両者で同様の検出があったことが決め手。ただし、発生源は距離13億光年で大マゼラン星雲方面ということまでわかっているが、正確な方向はわかっていない。それがわかるためには、地球上に同レベルの検出器が少なくとも3台必要。日本の「KAGRA」(2016.3月に試験運転開始)はその候補。
宇宙誕生後、38万年の間、光は電波に邪魔されてまっすぐ進めなかった(この光が宇宙マイクロ波背景放射:CMB)。しかし重力波は何者とも相互作用しないので、この38万年の壁を突破して観測できる。
インフレーション理論では、空間の量子ゆらぎが急激な膨張によって引き伸ばされ、宇宙全体に広がっていると考える。それが、現在では長い波長の重力波として観測されるはずだと予言する。これは他と区別するため「原始重力波」と呼ばれる。
なお、CMBにあるとされる「Bモード偏光」が原始重力波の証拠であるといわれ、それを検出するための望遠鏡(「BICEP2」など)もある。これは、インフレーション初期の重力波を検出するもので、LIGOやKAGRAのようなレーザー干渉計が検出するのはインフレーション終盤の重力波なので、両者は別物。