五来重のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
予備知識も何もない状態でとりあえず読み終えた今の理解、
⑴ 熊野は古くから葬送において独特で、天皇家が火葬を採用してひろまるまでは墳墓がほとんどなく、風葬・鳥葬がとりわけ発達していた。
⑵ 人の死骸を啄み、空高く舞い上がる烏を、おそらく古代の人は天の使いのようにみた。熊野ではこれがとりわけ発達していた為に、烏と熊野の印象的な結びつきがうまれた。
⑶ 熊野では、自らの両足を縄でしばり、崖淵に結びつけて跳び下り、宙吊りで果てるという変わった自殺方法をとる信仰が古くからあり、現世で苦しめば苦しむだけ来世では安楽が得られるという信仰もあって、聖が同様の自殺、もとい、捨身をすることもしばしばあった。
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Posted by ブクログ
その国の文化や価値観を知りたいと思った時に、死生観や、それに基づく葬儀の方法などは、とても興味深い指標になる。日本で火葬が普及する以前は、風葬(特定の場所に置いて風化させる方法)や水葬(船や桶のようなものに入れて川や海に流す)やり方が一般的だったらしい。死者は穢れたものとされ、死亡して間も無くは祟るものとして避けられていた。安置された遺体が白骨化することで穢れがなくなったと解釈されるが、そのための必要な期間が約2年でこれは仏教の3回忌にあたる。それまでは遺体の周りに枝を払った木を植えたり、草で覆い隠したらしいが、これを青山というらしい。なるほど。死を語ることは多くはないが、文化の理解としては非
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Posted by ブクログ
複数の論考や講義録を併せて『日本人の死生観』と題したもの。著者の研究が仏教研究から出発していることに留意すると分かりやすい。
以下要点を箇条書きで。ネタバレ注意(?)
・死後の世界=他界 現世の延長・投影 死者の国
山/海・島(常世、理想郷でそこでは歳を取らない)がのちの浄土観念や聖地・霊場形成の基底にある 例: 水葬、風葬、→恐山、熊野、補陀落渡海
正者の国と水平的に観念される場合が多い
・怨霊→和魂/荒神など→神・仏
罪・肉体そのものの穢れが清まらないうちは、死者の霊は荒魂であり、怨霊であるので封じ込めることが葬制・墓制の根本となる 例: 結界、両墓制、トーバ、サンマイ
祭らな