山本昭宏のレビュー一覧
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ちょうどこの瞬間、バイデン大統領と菅首相と日米首脳会談が行われています。なぜアメリカ新大統領の最初の会談相手が日本なのか?それは中国の専制政治に対する民主主義の国家の連携強化というアメリカの戦略により実現したとの解説を聞きました。今や世界の中で民主主義が根付いている国の代表として日本が選ばれている、...続きを読むPosted by ブクログ
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「恐れながら愉しむという精神のあり方」というのが、本書の論述のキーワードであり、論理構造の骨子である。
1980年代までは、単なる楽観論だけで過ぎてきたのだということを知らされる。
それにしても、身近なメディアの中から取り出される言説史のなんと豊かなことよ。
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何となく題名に惹かれたという程度で済まないような、濃密な読書時間を本書と共に過ごすことになったような気がする。非常に読み応えが在る労作であるように思う。
漠然と思うのは「戦後」というように言う場合、「1945年8月」の以前と少し「切り離されている?」ということと、「既に数十年経つ中、漠然と一括りのよ...続きを読むPosted by ブクログ -
よく調べられている。
戦後民主主義というと、一番に大江健三郎の名が浮かぶが、彼ら知識人の戦後民主主義の内容を吟味したり、市民運動の詳細を知りたかったが、戦後民主主義というより、平和主義、憲法改正への抵抗、護憲を軸に戦後左翼史の趣きである。
日本左翼による戦後民主主義とその批判である保守論壇、憲法改...続きを読むPosted by ブクログ -
戦後の日本が「平和」と「戦争」についてどのように語られてきたのか
わかりやすくまとめられている。
さらに、文学や映画などカルチャーも取り上げられているので、その頃はそういう風潮だったんだな~と思い返すこともできる。
歴史は繰り返されるというから、さらっと学びなおしたい時に良い1冊。Posted by ブクログ -
原爆投下と終戦後、日本人が核と言うものにどう関わって来たのか、社会運動、報道、大衆文化を徹して詳細に説明されいる。
著者は原爆あるいは原発に偏ることなく『核』に対して、国民の意識がどうだったかを歴史をおって説明してゆく。それは読者としての私には『かなり悲しい』内容だった。
国民は原爆の後、こぞって『...続きを読むPosted by ブクログ -
かなりの力作、労作で驚きました。これを1984年生まれの方がよく書いたな…と。いや、当時を身をもって体験していないからこそ、個人的な思い入れを排して客観的に書けたのだとも言えそうですが。いずれにしても戦後政治と民主主義にまつわる思想論壇史であり、それとともにその当時の社会文化史。いや、ほんとよく書い...続きを読むPosted by ブクログ
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非常に野心的な取り組みである。
幸いにも、今も「戦後」民主主義であること。
辛い現実に直面しながらも、コツコツと生きてきた人が、それでも多いこと。
それにしても、手ひどい失敗をいくつも政策的にしてきたことと、今では無かったことにはなっていないまでも、さほど反省されていないこと。
同時代...続きを読むPosted by ブクログ -
1984年生まれの著者が、「戦後民主主義」というキーワードを軸に、戦後から現代までの政治や国民生活の流れとそれに対する言説・論壇の流れを追っている。
力作。
名前は聞いたことあるような学者や評論家たちが歴史の流れの中に位置づけられる。Posted by ブクログ -
終章に「罰則をともなう規制ではなく、自粛要請を採ったのは、強い規制が基本的人権や自由を制限しかねないからだろう。そこに、ドイツと同様、戦後民主主義の残滓を読み取ることも不可能ではない。国や自治体の意図は措くとして、自粛要請という出来事は「自由で民主的な主体」とは何かを問いかけていたのだと理解できる。...続きを読むPosted by ブクログ
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戦後民主主義とは、今後も続いていくこの営みである。
批判も、擁護も、葛藤も、全て抱えた総体である。
その事実に今こそ向き合わねばならない。
一冊で扱うには範囲が広すぎて個別の事案への言及が浅く、列挙的性格が強くなり、全体的な骨組みが見えにくいという難点は感じるが、それだけ多くのことを扱いきった書籍...続きを読むPosted by ブクログ -
20210126-20210214
アジア・太平洋戦争の悲惨な体験から、多くの支持を集めた「戦後民主主義」日本国憲法に基づく民主主義・平和主義の徹底を求める思想だが、冷戦下のにおいて9条(と憲法前文)に基づく戦争放棄の主張は理想主義と、経済大国となってからは「一国平和主義」と批判され、近年は、コロ...続きを読むPosted by ブクログ -
平易な文章で書かれていてとてもわかりやすい。
戦後を振り返りながら政治家、学者、ジャーナリスト、作家たちの主張を取り上げ、「平和」の意味の変遷をたどる。
注釈や参考文献に挙げられている資料も個人的にとても興味深い。
私レベルにはぴったりの良本。Posted by ブクログ -
神戸市外国語大学専任講師の山本昭宏(1984-)による、映像・漫画を中心とした原子力をめぐるイメージ像の戦後史。
【構成】
第1章被爆から「平和利用」へ 占領下~1950年代
第2章核の現実とディストピア世界 1960年代
第3章原発の推進・定着と会議 1970年代
第4章消費される核と反核 19...続きを読むPosted by ブクログ -
憲法の価値に加え(一国)平和主義と直接民主主義と平等主義を重んじた戦後の思想の総称。厭戦気分から生じた「公」への不信感が「私」の盲目的尊重に繋がったという印象を受けた。戦後世代が主流の今、厭戦という動機が消えてただの個人主義に収束したとみると、戦後民主主義の変質が理解できるような気もした。なので著者...続きを読むPosted by ブクログ
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非常に興味深く読んだ。そのなかで、さまざまな個人、団体が取り上げられるなかで、日本共産党がまったく触れられていないのは、なぜか。そのことが疑問に残る。Posted by ブクログ
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神戸市外大准教授(社会学)の山本昭宏(1984-)による戦後の「平和論」紹介。
『核エネルギー言説の戦後史1945-1960』『核と日本人』など、原子力をめぐる戦後の言説・メディア分析を専門としており、話題性のある著作を発表している若手と言える。
ただし、本書については、率直に言って、期待外れ。...続きを読むPosted by ブクログ -
広島、長崎の原爆から、ビキニ岩礁での漁船被曝。そして、いくつかの事故を経て、311の福島第一原発の重大な事故まで。
その間、マスコミだけでなく、映画、ドラマ、マンガ等日本人の意識を反映し、そして意識を形成する様々な媒体において、武器としての原子力「核兵器」と核の「平和利用」について、どのように表現さ...続きを読むPosted by ブクログ -
核をこれまで日本人はどのように表現してきたのか。
とても役に立つものと思っていたものが
じつはとてもコントロールできない代物とわかりました。
みらいは核の先にはありませんでした。Posted by ブクログ