井口萌娜のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
①スチュアート・マクミランの薬物依存啓発マンガ2作品と、依存症を専門とする精神科医 ②松本俊彦・③小原圭司による解説をまとめた、啓発的なモノグラフである。
①ではラットを用いた薬物依存モデル「ラットパーク」実験により依存症の経過がコミュニティによる影響を大きく受ける可能性があること、また法的な薬物規制がかえって依存症を増やしてしまう危険性について描かれている。
②は①をうけた解説であり、依存症の本当の問題は薬物の依存性ではなく、コミュニティとのつながりの欠如や孤立が本当の原因であり、また薬物や依存症患者を懲罰的に規制する制度はむしろ依存症を増やすことになり、世界的には「排除から包摂へ」というアプローチが有効であることが実証されている。また日本では薬物依存症患者に対するバッシングや過剰なメディア報道によるスティグマが患者の孤立をいや増して、治療に大きなブレーキをかけてしまっていることが警告されている。
③ではギャンブル依存症を例にとり、予防のポイントが解説されている。正しい知識を得る。依存症になりやすい特性のある人は注意する。リミット設定や収支表を記載する。セルフチェックや相談を行う。といった4点が予防に重要である。
総じて松本が述べているように、日本国内では依存症に対する認識が古いままであり、公的機関も含めて未だに薬物依存に対する懲罰的な姿勢が優勢となっており、マスコミやメディア報道などがさらに輪をかけて悪化させている。本書ではマンガなどを用いた、非専門的なシンプルで分かりやすい啓発が目的とされている。医療現場で依存症例に出会った場合に利用できる教材であり、医療者にとっては患者対応の姿勢にも応用できるであろう。