ソマリアの紛争遺児が同じ大学にいる、という情報だけを頼りに、彼らを教室で待ち伏せして、いきなり「一緒にソマリアを救おう!」と持ち掛けたところまで読んで、なんという破天荒なお調子者!!と、思わずプププと笑ってしまった。
そのお調子者な印象は読み終わった今も変わらないけれど、でも、心から尊敬した。
...続きを読む「ソマリアを助けなきゃ―!」という思いは、最初は「なんと単純な・・・」と半ばあきれたけれど、誰がなんと言おうとそのシンプルな思いをそのままをずっと持ち続けているところは本当に稀有な人だと思った。世の常として、問題が複雑であればあるほど、当初のシンプルな思いというのは、忘れられがちになるものなんだけれど。
「強さ」の形はいろいろあるけれど、このシンプルさはかなりレアな強さだなぁ、と思う。
読み始めた時は、「人道支援を ”自分探し” と勘違いしていないといいけどなぁ」とハラハラしていたんだけれど、最後の方の、活動に対するギャングたちの反応やその後を記したところを読んで、そんな心配をした自分を申し訳なく思った。
なお、活動をしていく途中途中で出会う人たちのリアルな言葉はとても印象的だった。
まず最初に「日本に求めるのはお金の支援」とソマリア側にハッキリ言われるあたりは、現実そのもので、すごく興味深かった。
また、多くの人に「まずは東南アジアなどで経験を積んで」とか、現場にいる人に「これからもっと専門的な知識と技術を身につけてほしい、中途半端はいらない」と言われたというのも、「なるほどなぁ」と思う。
そして、何よりも、「一緒にソマリアを救おう!」と言った時、言われた留学生が返した言葉「ワォ・・・こんなことを言ってくれた人は初めてだ」は、著者の活動の素晴らしい部分すべてを象徴しているようで、強く印象に残っています。