永井陽右のレビュー一覧
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紛争地の最前線。
兵士であることをやめたいと願う若者の願いを叶えるために行っている支援のリアルが紹介されています。
ケアカウンセリング。
ケアするために、きく。
矯正ではなく、彼らが社会に戻っていけるように、優しさ、愛情の深さ、大切にしていることをきき、背中を押す。
敵ではないこと、心から大切に想っていることを、ともに過ごす時間の中で、自らの言動から伝えていく。
それはどれも言葉にするほどには易しくはなく、命懸けで、覚悟のいることで。共感も理解もできない他者と、それでも交渉を重ね、できることはあると信じ歩み続けること。
「いつか自分の番が来る」ということを胸に刻み、その上でなお活動を続 -
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危険な紛争地域などに身を投じ「テロリスト」などと対話している活動家の著者が『共感』の負の側面にフォーカスしている内容。だが、決して『共感』を否定しているわけではなく、対立や分断が生まれる可能性がある『共感』というものに対する疑問や違和感に、真摯に向き合っている姿勢だった。
『「かよわい子供・女性」と「キモくて金のないおっさん」が困難な状態にある際にどちらに共感できる?』、『「ここでいま死ぬか仲間になるか」という極限の選択を迫られてテロリストとして活動することとなってしまった人は本当に「悪」であり、共感できないのか』など、立場を自身に置き換えた場合、そういった人たちに出合って対話をした場合、自 -
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今年読んだ中で1番自分の人生とは何かということを考えさせられた本だと思う。
私は今まで平和に、自由に、幸せに生きてくることができたけれど、その一方でソマリアやイエメンなどの国々では強制的にテロ組織に加入させられている同世代の人たちがいるということを常に忘れてはいけないと思う。
そして、その人たちに対して何ができるかを考え行動し続けている永井さんとアクセプト・インターナショナルの皆さんには頭が上がらない。今までの人生をもっと有効に使うことができたのではないかと思う反面、これからの人生をどう使っていきたいか真剣に考える機会になった。
ぜひ多くの人に読んで欲しい一冊。 -
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2024年
鑑賞作品 No.26
尊敬する永井代表の著書。
実務家として日々世界課題の最前線で闘い、その中で悩み考えている問題意識がストレートに描かれている。
題名からすると共感することが悪のように受け止められるが、読んでみると、普段は目を向けられない共感の負の側面にフォーカスを当てたものだと気づく。
永井代表が常に平和と向き合っているからこそ、そして平和の実現に向けて、文字通り「命をかけ」て行動しているからこそ伝わる一つ一つの言葉の重み。
専門家ではないかもしれないが、実務家にしか、いや永井代表にしか伝えられるものがあると感じた。
特に私がハッとさせられたのは内田樹さんとの特別対談。 -
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紛争地にて、テロ組織の兵士に対しての脱過激派及び社会復帰支援を行う、国際NGO団体『アクセプトインターナショナル』代表の永井陽右氏。
永井氏を知ったのは、YouTubeチャンネル『ReHacQ-リハック-』での出演がきっかけでした。
ソマリアやイエメン等、今もなお危険とされている紛争地での活動については勿論ですが、本書では自身の生い立ちから現在に至るまで。そして、これからの自身の活動についての展望も語られていました。
本書は全てにおいて、痛烈なまでに刺さる内容の数々なのですが、その中でも特に感じるのは、昨今SDGsが掲げられることでよく聞くようになった『持続可能性』という言葉に対する永井氏 -
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YouTubeで永井さんのお話を聞いて、危険な戦地での取り組みをもっと知りたいと思い読んだ。
驚くべき行動力だった。
対話すらできない相手に対し、まず相手の言い分をアクセプトすることから始め、ディスカッションを重ねる。考えを矯正するのではなく共に考えるという姿勢が素晴らしい。
本人も精神的に大変苦しみながらも仕事を全うしているその姿に感銘を受けざるを得ない。
最後は若者の権利について触れられている。子供の権利は認められつつあるが、若者にはそれがないと。
例えば凶悪犯罪を犯した子供について、私はどちらかと言えば更生を期待するより厳罰を希望する考えを持っていた。だが、永井さんは更生する機会を子 -
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著者の永井陽右さんが田村淳さんのNewsCLUBに出演した時の「イスラエル・ハマス紛争の行方」に関する非常に興味深いコメントがきっかけで、この本を読み始めました。
憎しみの連鎖が拡がる。
みんな傷つき泣いている。
憎しみの連鎖を詳しく見ると、やられたからやり返すということがある。
やられたということにトラウマを持ち、傷つき、泣いている。
お互い泣き合いながら、傷つきながら殴り合いをしている。
傷とかトラウマ的なところに目を向けるという視座が必須。
この視座が無ければ、絵にかいたような憎しみの連鎖が拡大する。
イスラエルにいる方々が全てネタニヤフのような極右ではない。
ガザやパレスチナにいる -
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ソマリア
アル・シャバーブ
若者
テロリスト
自爆テロ
投降兵リハビリテーション施設
リハビリテーションプログラム
ケアカウンセリング
イスラーム教再教育プログラム
NPO法人アクセプト・インターナショナル代表理事
冒頭から私の知らない世界が押し寄せてくる。
著者はいったい何をやっているのか。
読み進むにつれ、少しずつ理解していく。
紛争が酷いソマリアでは、
年端のいかない青年、若者がテロリストに仕立て上げられ、
自爆テロで自分を含め多くの人の命を奪う。
彼らもそうやって自分の肉親を殺され、敵を憎んでいる。
政情不安で数十万人が餓死する。
そのことに気づいた著者は、
何か自分にできること、 -
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彼の存在をいつ知ったのだろう。テレビのドキュメンタリー的なものだろうか。その時から、なんと尊敬すべき若者だろうと思ってきた。
本書を読んでますますその思いは強まった。文字通り命を賭けた毎日だ。そのことがありありと伝わる。身近な人も次々に亡くなっていく。あまりにも過酷な環境で、精神の健康も保たなければならない。いつも驚くほどの爽やかさの中の、危うい精神状態もそれはそうだろうと思いながら心配になる。彼のような人に自分の命だけは大切に、とかきれいごとは言えない。そんなことは当たり前なのだが、命を恐れていては何もできないのだ。ガザで働く(そして命を落とす)国連職員や医師の人たち同様、自分にはできない使 -
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すごい人がいるんだなー
生い立ちからして、使命もって生まれてきた人なんだろーなー
素直に育った人はこんな人生にはならないのかな
そこらへんも不思議だし、ちょっと悪いくらいの人じゃないと世の中に影響与えるような人にはなれないんだろーな
(昔のことかもだけど)親子関係よくないというような事が書かれていたけど、これだけの精神力を持つ人を育てるってすごいなーと親目線でも読んでしまう
生き抜いて日本人として世界で活躍してほしい
世界中で戦争してるけど
地球から戦争をなくしたいと大人たちは本当に思っているのか?(自分も大人だけど)
じゃあなんで武器を作るんだろう?
いろんなところでなぜ核実験ばっか -
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平和を追い求める。
自分より若い人が世界で活躍してることを初めて知った。
1番最初はYouTubeを見ていて、こんな活動している人がいるのだと興味本位で本を購入したけど
本当に何にも援助もない0から今の今、ずっと活動していることに頭が上がらないし
世界情勢のことも知ってる様で実は全く見えていないな、と思った。
微力ながら応援し続けていきたいと思うし、著書にも書かれている
「断片的で不正確な情報が蔓延するSNSを眺めているのではなくて、専門書などの本を読み、他者と議論し、何よりも自分を通して考え、行動することだ」
出来ることは限りなく少ないけど、その中でも
やるべきことをひたすらやる。
あぁ、そ -
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紛争地帯の最前線での投降兵の救助、刑務所での再教育、社会復帰、それら活動のための各国政府や軍との交渉・調整など、想像もできないほど大変な業務の数々を知ることができた。自分がいつ死ぬかも分からない中、ときにはPTSDに陥りながらもテロ組織やギャングに入らざるを得なかった若者を助けるために奮闘されている方々には頭が下がる思いである。安全圏にいる人が「好きなことで生きていく」だけでは、救われず死んでしまう人々が確かに存在しているという、残酷な現実を改めて知った。困難な問題を解決するためには、自分に「できること」ではなく「やるべきこと」を見据え続ける信念が必要だと思い知らされた。
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「『共感し合おう』『繋がっていこう』と言うと、なんとなく無条件に良いものである気がしますが、繋がっていくからこそ分断していくとも言えるわけです。」
「共感とは誰かの困難に対してではなく、困難に陥っている自分側の誰かに作用している」
共感について、ネット社会における負の部分くらいのイメージしかなかったけど、もっと深刻な領域にまで及んでいると知ることができた。(ネット社会の行き過ぎた共感も深刻だけど!)
「参加しないと殺す」と脅されテロリストの戦闘員にならざるをえなかったのに、足を洗うことになっても多くの人の共感を得られないがために見捨てられてしまう存在のように、共感で救われるものが一方で分断さ -
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ネタバレ本書は、ソマリアでテロ組織からの投降や投降兵・逮捕者の脱過激化と社会復帰支援等をしている著者が、一般的に良いものとされる「共感」の負の面を明らかにしている。
そもそも人は基本的にわかりあえないもの。
その中でどうしたら他者と共存できるのか考えていくべき。
内田樹さんとの対談も面白かった。
たくさんの発見を得れました!
■メモ:
・取り残されがちな社会課題(共感を得ることができない社会課題)はさらに取り残される。そしてそれを取り巻く社会が歪んでいく。
・自らの共感を他者に意図的に使われる怖さ。
・正論は別の視点からは正論でないことが常。
・何を考えていようが個人の自由。脱過激 -
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ネタバレ共感という概念に興味があり、タイトルから共感のネガティブな側面が紹介されると思い読んでみた。本書は、共感の負の側面、その向き合い方、紛争地での実践(戦略的対話)という構成で、非常に腑に落ちる内容だった。
特に印象的だったのは、過度な共感が承認欲求の肥大化につながり、異なる意見に対する攻撃を生むという指摘。この構造を読んで、カルト宗教の勧誘や、昭和的な企業文化の同質化圧力を思い出した。自分自身もジョブローテーションを当然のものだと刷り込まれた経験があり、共感が“正義”として暴走する構造に強い納得感があった。
本書が示す共感に振り回されないための向き合い方は次の三つ。
1.自己理解から始めるこ -
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ネタバレaudiobookでおすすめされて一気読み。
P73 「加害者側に目を向けることが問題解決において不可欠である上に費用対効果がも高い」というキーワードが、読んだばかりの「水俣天地への怒り」で「いじめている側への視点」が挙げられており、共通しているなあと思って興味を持ったのがきっかけ。
最後の内田樹さんとの対談がとてもよかったので、備忘録にメモ。
・子どもに道徳を教えるのは、親の背中
・「測隠の情」は、つい手を差し伸べてしまうので、生まれもった「感情の器」の違いである
・弱者を支援するする仕組みが必要
・合意京成には、三方一両損が必要。
・それぞれの場所で、自分に割り当てられた仕事を果たす。