共感という病

共感という病

1,430円 (税込)

7pt


内田樹氏、石川優実氏とのロング対談収録!

ビジネス、政治、恋愛、趣味――
至るところで重要視される「共感」。
その負の側面を明らかにし、
あるべき向き合い方を考察する。

【はじめに】より抜粋
共感はこの社会において、人々を繋げ、連帯を生み出し、時には社会や世界を良くしていくものとして、基本的にポジティブに語られています。
そしてそれのみならず、日々の人間関係においても共感の重要性は語られますし、ビジネスの領域においてもマーケティングからプレゼンテーションまで、一つの鍵となっています。

しかし同時に、私たちは共感といったものの胡散臭さも感じてきました。東日本大震災に対する「絆」に始まり、ラグビーワールドカップでの「ワンチーム」、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた「団結」など、それ自体は素晴らしいアイデアではありますが、どこかそうした美しい概念が本来の目的を超えた何かに対して恣意的に使われてきた節もありました。

たしかに「絆」や「ワンチーム」「団結」の内部は、最高に気持ちが良くて恍惚すらできるものですが、よく見てみると、その中にいない人がたくさん存在していることに気が付きます。むしろ外側にいる人に対して排他的であることも珍しくありません。「共感し合おう」「繋がっていこう」と言うと、なんとなく無条件に良いものである気がしますが、繋がっていくからこそ分断していくとも言えるわけです。

私はテロと紛争の解決というミッションの下に、テロリストと呼ばれる人々の更生支援やテロ組織と呼ばれる組織との交渉などを仕事としていますが、こうした仕事の中で、いかに共感の射程が狭いかということを嫌と言うほど味わってきました。
そうした立場として、言えることはないだろうかと考えました。共感に関する研究は、脳科学的な研究をはじめにさまざまありますが、共感に向き合う実践から生まれる見解や、より実践的な意見というものもあるはずだとも思いました。
そんな想いで共感に関する本や論文を読んだり、識者の方々と対談をさせていただいたりして、自分の考えを深めていきました。その結果、今回このような書籍となりました。

私は共感が全て悪いとは思っていませんし、そんなことを言うつもりも毛頭ありません。むしろ社会と世界を良くするために間違いなく重要な要素だと思うからこそ、共感が持つ負の面を理解し、自覚し、うまく付き合っていく必要があると思うのです。
本書はそうした理解の下で、共感を考察し、共感の捉え方や共感以外の手がかりを考えるきっかけを投げかけていきます。

...続きを読む

詳しい情報を見る

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

共感という病 のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    共感は過ぎると、結果、排他的になると言うことがよくわかった。
    現代は「いいね」1つで共感を得られたように錯覚するが、それは共感風であるように見えるところも恐ろしい。
    上部だけの情報に対し二項対立が持ち上がりやすいのは、まさに共感という病に罹っているからなのだと感じた。

    0
    2024年12月19日

    Posted by ブクログ

    危険な紛争地域などに身を投じ「テロリスト」などと対話している活動家の著者が『共感』の負の側面にフォーカスしている内容。だが、決して『共感』を否定しているわけではなく、対立や分断が生まれる可能性がある『共感』というものに対する疑問や違和感に、真摯に向き合っている姿勢だった。

    『「かよわい子供・女性」

    0
    2024年12月02日

    Posted by ブクログ

    2024年
    鑑賞作品 No.26

    尊敬する永井代表の著書。
    実務家として日々世界課題の最前線で闘い、その中で悩み考えている問題意識がストレートに描かれている。

    題名からすると共感することが悪のように受け止められるが、読んでみると、普段は目を向けられない共感の負の側面にフォーカスを当てたものだと気

    0
    2024年08月15日

    Posted by ブクログ

    「『共感し合おう』『繋がっていこう』と言うと、なんとなく無条件に良いものである気がしますが、繋がっていくからこそ分断していくとも言えるわけです。」
    「共感とは誰かの困難に対してではなく、困難に陥っている自分側の誰かに作用している」

    共感について、ネット社会における負の部分くらいのイメージしかなかっ

    0
    2022年04月07日

    Posted by ブクログ

    普段SNSを利用しているので、著名人の方はSNSとどう向き合っているのだろうという素朴な疑問を解きほぐしてくれる新鮮なお話がありました。
    SNSにも共感性の問題がある。
    その共感の働き方次第で良くも悪くもある。
    SNSは車の運転みたいなもので、大事なのは安全運転。
    時には徐行、速度制限を守りながら、

    0
    2025年05月09日

    Posted by ブクログ

    共感、は自分と同じ側の人にしか抱かないもの。という危険性。
    それでも、共感は社会に必要だから、共感の負の側面を理解して自覚する必要がある。

    "私たちは同じ"という理解が根底にあるから、同じでない人への差別や対立が生まれていく。
    「多様性を作っていかなければならない!だから多様性

    0
    2025年04月23日

    Posted by ブクログ

    つながりが分断を生む、ということ。そのことに気づいておくこと。

    分かり合えない方と、どのように対話を進めていくのか。

    対話していくにはどうしたらいいのかを考える、よい
    機会ともなりました。

    0
    2025年04月08日

    Posted by ブクログ

    プロボノ活動で入っている団体。永井さんの考えを理解することができた。内田樹さんとの対談は特に興味深い。

    0
    2022年05月22日

    Posted by ブクログ

    内田樹さんとの特別対談に、「惻隠の情」という話がありましたが、惻隠という言葉を初めて知りました。この特別対談の部分だけでも、良書ではないかと思います。

    共感は良いものと思われがちですが、そうではない側面もあるということ。
    また、話せば分かる。という理想だけでは、全く通じないどころか、状況を悪化させ

    0
    2022年01月28日

    Posted by ブクログ

    共感とは『認知的共感』と『情動的共感』に分かれる。
    認知的共感…相手の思考や感情を理性的に正確に理解しようとするもの。意識的にある程度はオンオフの切り替えができる。
    情動的共感…相手の思考や感情を自分の感覚として感じること。無意識に出てしまうものであり、オンオフの切り替えが難しい。
    この2つの機能が

    0
    2021年12月26日

共感という病 の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

無料で読める ビジネス・経済

ビジネス・経済 ランキング

永井陽右 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す