元少年Aのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレこの本に評価を付けるというのは大変難しい。
文章として、とても美しく心打たれた部分が何箇所かあった。
p.118「『自分の息子だから』と、ただそれだけの理由で、僕を愛さなくてはならないのだと自分自身に言い聞かせるように、僕の写真を肌身離さず持ち歩く、罪なほど生真面目な父親が、悲しかった」
父親が自分を大切にしてくれてる、ただそれだけなのにそのように受け取ってしまう少年Aが、読み進めていくうちに周りの人の支えを受け感謝をし、人間になれたように私は感じた。
ただ一つの歯車が狂って育ってしまったばかりに、世間をざわつかせるモンスターになってしまった。僕が僕でなくなった、そんな加害者目線の心 -
Posted by ブクログ
両親が書いた「少年A」に続き、少年Aの手記。読む前は一定数いる産まれながらのサイコパスかと思っていたが、キラーになる迄が書かれていてイメージが変わった。祖母の死を経て悪魔の作られていく様。多少の美化を差し引いて読もうとするが、読ませる内容。少年Aの心の叫びが胸に刺さる。表現者なのだなと感じる。
出所後生活、身元を隠し逃げる日々。それでも生活がある。警察の一人が「もっと早く逮捕してあげれなくてゴメンな」という表記があるが、そうも思う。彼が言う精神的奇形児。
■その他
両親が中々出てこないのが気になる、出てきても短い時間描写に感じた。
押収物とともに写真を取られる父を見るのがキツかったと -
Posted by ブクログ
これほどまでに読み手の感情の置き場所を迷わせる本があるだろうか。
純粋に本の感想を書くと、とにかく文章が美しい。
この文を本当に本人が書いたのなら相当読書家だし、頭も良い。
ライターが代わりに書いたのかと思ったけど、文章の随所随所に独特の自己陶酔感が滲み出てるから、ご本人が書いたんだなと思ってる。
かなり重い事件だけど、それでもこの本が地獄みたいに重くないのは、作者が周囲の人間を非常に肯定的に受け取ってるからだろう。
実際はわからないけど、自分を支えた人間を愛している事が伝わってくる。この本の中でもこれが本当に救い。
もう少しセンシティブな内容に触れるなら、卑劣な殺人を犯した人間がこの様な -
ネタバレ 購入済み
普通の顔
少なからずショックだったのは、彼に人を思いやる心があり、殺人鬼のモンスターの顔は一側面に過ぎないということ。寮母さんの誘いを、断っては悪いからと了承するシーン。ペアを組んだバイト少年のフォローを感謝するシーン。里親さんの信頼に驚くシーン。部分的に切り取れば、真面目すぎるだけの不器用なただの青年に思えた。その一方でやはり過度な暴力性やムラのある自己中心性、認知のゆがみも感じられる。狂気と普通がマーブルのように混在している。
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購入済み
寂しさと悲しさが人を狂わせる
内向的で繊細で、親と相性がよくなくて
居場所や心のよりどころ、安らぎやほっとすること
自分でもどうにもならない、抱えきれない気持ちが
溢れ出して狂気が生まれる
やったことは、世紀のサイコキラーだけど
だれもが共感する部分もある -
購入済み
絶歌を読んで
元少年Aさん あの当時あなたも何かの被害者だったのですか。性的サディズムに関して私は分かりませんが。同じ人間が数年でこんな感情がもてるはずはない、生まれ持った何かではなく、Aさん自身がその時代何かの影響を受けてしまった被害者だと。
そして凡人では描けない文章力を持ち、、
取り返しのつかないことをしてしまったのは事実です。
万人が少年少女時代の自分と今の自分、変わったこと少なからずあるでしょう。今、真っ当な心を持って精一杯生きるだけ、全人類に課せられた宿命です。前を見て生きましょう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ殺傷中の描写があれだけ生々しく書かれていながら、最後の方は罪の意識に駆られ胸を痛めているのが、同じ人間だと思えない。彼が自身で書いていたように、私達は彼のことを【人間的な感情のかけらもない、不気味でおどろおどろしいモンスター】だと思っている。だからこそ、こんな事件が起こせるんだ。自分には到底理解のできない生き物の理解のできない感情で、行為だ。と無理やり思い込ませている。彼が今も同じ世界に生きて、事件を起こして時間も経てば罪の意識も持てるだなんて考えたくない。それこそ、怖い。
文章がとてもうまい。さすが本を読み耽っていただけのことがある。そして地頭がいい人だってことがとてもよく分かった。 -
Posted by ブクログ
出版されてすぐ購入しました。
文才がある。頭が良い。
まず、憲法が存在する限り、本著は賛否両論。
切なくなった苦しくなった。
正直、本著を読んで、少年法の意義を見出してしまった。これが少年法が存在する意味なのかも知れない、と。今まで自分は何も知らなかったのだな、と。
少年法廃止を望む人の中には、少年法をよく知った上、強い意志で廃止を掲げる人もいるだろうが(そうあって欲しい)、中には、もしかしたらよく知らない人もいるのでは、とも思った。そうであれば、読んで欲しい。
もっと言えば、私は様々な人に読んで欲しいと思った。
そして多くの人に、少年法についてよく知って欲しい。意見がどっちになろうとも -
Posted by ブクログ
すごく評価が低い。
本を評価するこの媒体で、読む価値がないと言われて2.88。
書いてる人が世間を震撼させた『元少年A』だから?
私はそれが一番悲しいなと思ってしまった。
断っておくが、少年Aがやったことを肯定するつもりは一切ないしどんな理由であれ人を殺すのはよくない。喧嘩とか怨恨とか痴情のもつれとかだとしてもダメだし、理由なく興味で殺すなんてもってのほかだ。
ただ、フィクションとは違う実体験だからこそ分かることだってたくさんある。
犯罪者が本を出すことに対して金が欲しかったから書いたんだろ的な発想をよく目にするけど、メディアがそう見せてるだけなのではとよく思う。
少年Aの言葉はす -
Posted by ブクログ
生々しかった、恐ろしかった、言葉や行動すべてが。人を殺めてしまう人の心理ってこんな感じなのか。出会えてよかった、読めてよかった、とは決して思えないけど、読んでおく必要があったのかなと思う。
p.49 僕は強いストレスを感じるとよく熱を出したり、肌が荒れたりする。普段から表に感情を表さないせいもあるんだろうが、おそらく“精神“と“肉体“のシンクロ率が他の人たちよりも高いのだろう。
p.65 フロイトによれば、人間の欲動は「生の欲動」と「死の欲動」の2つに大別されると言う。「生の欲動」が自己保存や、生殖行為等“生きる“ことに目指した欲動にあるのに対し、「死の欲動」は意識的・無意識的に死 -
Posted by ブクログ
酸素のないニュータウン、息苦しさがありありと伝わる文章。
特に前半の漢字の多さに、この人がどれだけの言葉を持てば自分の世界を表現できるのか悶えながら語彙を獲得した過程がみれる。そうした「小難しい熟語」の羅列は、主に風景描写のみだ。対して彼の内面は、分かりやすいほど純真な語句で完結している。
事件に至るまでの心情や行動が詳細に書かれていて、いつも通り感情移入してしまって手足が冷えきって痺れてしまった。生々しい描写は苦手だ。
pp.64 「自分には手も足も出せない領域にあった死を、自分の力でこちら側に引き寄せた。死をこの手で作り出せた。さんざんに自分を振りまわし、弄んだ死を、完璧にコントロールし