元少年Aのレビュー一覧

  • 絶歌

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    ネタバレ

    ふと著者が起こした事件について想起する瞬間があり、インターネットで情報を集めるうちに本作に辿り着きました。
    事件については伝え聞くだけでも残虐で、あってはならないことだと思います。被害者の方々のご冥福をお祈りします。遺族の方々の苦痛も計り知れず、身内であれば著者の行いを到底許すことなどできないだろうと思います。

    そうした前提を踏まえた上で、この本を振り返ります。


    文体は非常に読みやすく、退院後は相当な読書量を重ねてこられたのだろうと感じました。繊細な表現は、他の読者から「自己陶酔だ」との指摘を受けている部分でもあるようですが、著者自身の視点を表現しようとすればああした文体になり得るのではないかとも思います。虐待の場面が際立って生々しく書かれているのは、著者がその時の気持ちや理由と何度も向き合ってきたこと、そして今後も向き合い続けるだろうという意思の表れのように感じました。

    一読者としての私自身の話になりますが、もともと福祉の現場に身を置き、日々を送ってきました。生活の中で言い知れぬ罪悪感や他者への拒絶反応を抱えながら、「なぜそう思ったのか」「なぜそうしたのか」を自らに問いかけ、少しずつ自分を矯正しながら生きてきたつもりです。

    本書を読みながら、その時々の感覚が甦ってくるのを感じました。幼少期、言葉では言い表せなかった感覚や手触りが思い出されました。他人を見て、自分がどうしても得られないものを思い、目を逸らしてしまうことも少なくありません。人との関わりの中で温かさを感じても、それを受け入れることができず、「自分は許されてはいけない存在なのだ」という辛さは、程度は違えど私自身も感じたことがあります。

    そうした「世間から拒絶されている」感覚や、「誰かに許容されたとしても自分を許してはならない」という思い込みに支配されている著者の姿には、(著者自身は拒絶するかもしれませんが)一人の人間として共感する部分もありました。人と繋がり、生き方を覚え、世間での呼吸の仕方を学んでいく過程は決して容易ではありません。社会人になってからも積極的に人と関わろうとはしないものの、周囲に対して誠実に向き合おうとする著者の姿を見て、「全く反省の色がない」と一方的に批判する気にはなれませんでした。

    また、生きづらさを抱える人たちや、そのサポートに携わる人たちに焦点を当てた箇所は勉強になりました。日々当たり前にできていることは決して一人で成し得るものではなく、周囲への感謝を忘れずに過ごしていきたいと改めて思いました。

    0
    2026年07月23日
  • 絶歌

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    おもろしろすぎて、小説かと思った。

    文章がうまい。
    事実を淡々と述べるだけではなく、
    それに付随して散りばめられる比喩や
    表現力が凄まじい。のめり込んでしまった。
    特に、死体を一時的に隠した場所でもある秘密基地、その美しさの描写には目が眩む。
    ありありと想像できてしまう。
    遠い昔それを見た、そんな錯覚すら覚える。

    ただ、所々に差し込まれる
    理解し難い彼の弟達への暴力や、
    事件前(小1)の隣の席の子への理不尽な暴力。
    何故か事件前に担任が
    彼の友達に彼と関わらないよう忠告している。
    彼は前提として正しくない、犯罪者である。
    その暴力性はどこで培われたのか、
    それが一貫して語られない。もどかしい。
    こんな綺麗な構成の文章をかける人間だ、
    意図的に書いてないのだろう。
    特に理由などないのかもしれない。

    てっきり家庭に問題があるのだと思っていた。
    しかし彼目線の家庭には全く問題がない。
    祖母との関係と比べ両親との関係が
    希薄なのかもしれないな、程度である。
    自身を卑下するあまり、
    周りを相対的に美しく書きすぎるところがあるのでは?と疑ってしまうほど。
    家族の彼への愛は本物であると思うし
    それは片方から見ると美しいとも思うが、
    家庭そのものが社会から逸脱してしまっている可能性、閉じられた楽園のような雰囲気を感じる。
    両親側の本も読みたいと思った。

    二人が(両親)僕のことを殺人者でも化け物でもなく、出来のわるい自分たちの息子としてみてくれる最後の瞬間を、この目に焼き付けておきたかった

    という一言は凄まじく、強い、と思った。
    美しさのなかに説明できない暴力性が抱擁されている。

    1
    2025年12月22日
  • 絶歌

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    正直高い評価はつけたくない、でも1番リアルで衝撃的な本だった。これ以上没頭した本は無い。
    理解し難いでも近くにあるような、同情、軽蔑たくさんの感情が生まれた本だった

    2
    2025年03月26日
  • 絶歌

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    この本を読む人は何が目的かによって評価が変わる本。
    私は事件の真相や当人らの心理が知りたかったため、「絶歌」には星5をつけるとする。

    この事件の異質な点は事件そのものなことはもちろん。
    加害者、加害者両親、被害者2人と事件関係者全員が本を出版したこともあると思う。

    犯行時の詳細についてはこと細かく記されている。
    犯行の動機については執筆時に後付けしたような印象あり。

    独自のネーミングセンスや言葉選びには、いわゆる中二病とも言われるような幼さが残っている。
    読んだ本や観た映画からの影響か?

    内容としては
    1.犯行に至るまでのこと
    2.捕まったあとのこと
    3.更生に向けてのこと
    に分けられる。特に3が多い。

    0
    2025年01月18日
  • 絶歌

    匿名

    購入済み

    異常者という単語だけではまとめようのない人間性であったりその時の心情を客観的に見れるAさんの情報処理能力が伝わる作品であると思います。

    #切ない #深い

    0
    2024年11月05日
  • 絶歌

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    ネタバレ

    この本に評価を付けるというのは大変難しい。


    文章として、とても美しく心打たれた部分が何箇所かあった。

    p.118「『自分の息子だから』と、ただそれだけの理由で、僕を愛さなくてはならないのだと自分自身に言い聞かせるように、僕の写真を肌身離さず持ち歩く、罪なほど生真面目な父親が、悲しかった」

    父親が自分を大切にしてくれてる、ただそれだけなのにそのように受け取ってしまう少年Aが、読み進めていくうちに周りの人の支えを受け感謝をし、人間になれたように私は感じた。

    ただ一つの歯車が狂って育ってしまったばかりに、世間をざわつかせるモンスターになってしまった。僕が僕でなくなった、そんな加害者目線の心情がどんな読み物よりも新鮮だった。

    フィクションであって欲しい。

    0
    2023年09月08日
  • 絶歌

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    両親が書いた「少年A」に続き、少年Aの手記。読む前は一定数いる産まれながらのサイコパスかと思っていたが、キラーになる迄が書かれていてイメージが変わった。祖母の死を経て悪魔の作られていく様。多少の美化を差し引いて読もうとするが、読ませる内容。少年Aの心の叫びが胸に刺さる。表現者なのだなと感じる。
    出所後生活、身元を隠し逃げる日々。それでも生活がある。警察の一人が「もっと早く逮捕してあげれなくてゴメンな」という表記があるが、そうも思う。彼が言う精神的奇形児。

    ■その他
    両親が中々出てこないのが気になる、出てきても短い時間描写に感じた。
    押収物とともに写真を取られる父を見るのがキツかったと

    0
    2023年07月11日
  • 絶歌

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    日本で大きな影響を及ぼした事件の犯人が本を書くなんてなかなか聞いたことなかったので当時学校帰って発売日に書店に行った思い出。
    本人の人間性と芸事は関係ないと考えてるのでいるので文章力すごいなあと純粋に思った。
    厨二的思考と精神異常が混在してて不気味だった。

    0
    2023年06月11日
  • 絶歌

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    これほどまでに読み手の感情の置き場所を迷わせる本があるだろうか。
    純粋に本の感想を書くと、とにかく文章が美しい。
    この文を本当に本人が書いたのなら相当読書家だし、頭も良い。
    ライターが代わりに書いたのかと思ったけど、文章の随所随所に独特の自己陶酔感が滲み出てるから、ご本人が書いたんだなと思ってる。

    かなり重い事件だけど、それでもこの本が地獄みたいに重くないのは、作者が周囲の人間を非常に肯定的に受け取ってるからだろう。
    実際はわからないけど、自分を支えた人間を愛している事が伝わってくる。この本の中でもこれが本当に救い。

    もう少しセンシティブな内容に触れるなら、卑劣な殺人を犯した人間がこの様な本を出す事自体やはり良い様には思えないし、何より作者が本当に反省しているのか疑問に思う点が多々ある。
    ただ殺人者が贖罪に塗れた人生を送る事を、前向きに生きて行くのを否定する事を、誰にも強要出来ない。強要したって意味がない。
    その辺が読み進めながら凄い揺れ動いて、一層被害者が受けた傷、加害者のこれからの人生を考えてしまった。

    良い本に出会えたとは言えない。
    でも読めて良かったし、ほんとに色々考えさせられた。

    0
    2022年09月25日
  • 絶歌

    ネタバレ 購入済み

    普通の顔

    少なからずショックだったのは、彼に人を思いやる心があり、殺人鬼のモンスターの顔は一側面に過ぎないということ。寮母さんの誘いを、断っては悪いからと了承するシーン。ペアを組んだバイト少年のフォローを感謝するシーン。里親さんの信頼に驚くシーン。部分的に切り取れば、真面目すぎるだけの不器用なただの青年に思えた。その一方でやはり過度な暴力性やムラのある自己中心性、認知のゆがみも感じられる。狂気と普通がマーブルのように混在している。

    0
    2022年03月31日
  • 絶歌

    購入済み

    寂しさと悲しさが人を狂わせる

    内向的で繊細で、親と相性がよくなくて
    居場所や心のよりどころ、安らぎやほっとすること
    自分でもどうにもならない、抱えきれない気持ちが
    溢れ出して狂気が生まれる

    やったことは、世紀のサイコキラーだけど
    だれもが共感する部分もある

    2
    2020年11月12日
  • 絶歌

    購入済み

    絶歌を読んで

     元少年Aさん あの当時あなたも何かの被害者だったのですか。性的サディズムに関して私は分かりませんが。同じ人間が数年でこんな感情がもてるはずはない、生まれ持った何かではなく、Aさん自身がその時代何かの影響を受けてしまった被害者だと。
    そして凡人では描けない文章力を持ち、、
    取り返しのつかないことをしてしまったのは事実です。
    万人が少年少女時代の自分と今の自分、変わったこと少なからずあるでしょう。今、真っ当な心を持って精一杯生きるだけ、全人類に課せられた宿命です。前を見て生きましょう。

    2
    2020年06月08日
  • 絶歌

    購入済み

    良かったです。

    とてもよかったです。
    あの悲惨な事件を起こした元少年Aが更生するなど思ってもみなかったです。

    1
    2016年10月12日
  • 絶歌

    小説は読むのが得意じゃないんですけど、めっちゃ分かりやすい小説でした。

    0
    2026年03月06日
  • 絶歌

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    スラスラと読めてしまい、文才はあるのだろうかと
    関心する部分がありました。

    当時の少年Aがなにを感じていたのか、なにを
    見てなにを思っていたのか、少年院を出てからの
    社会復帰後の話も綴られていました。

    少年Aの親御さんが出版した手記と照らし合わ
    せて見ると、当時お互いにどう感じていたのか、
    少年Aの話す矛盾点などが良く分かりました。

    罪を償うためには、被害者遺族の方々に手紙
    を描き続ける事が唯一今の自分にできる、償い
    の方法だと記載がありました。

    この手記を出版した翌年から、被害者遺族の元
    に手紙は届いておらず。

    また、被害者遺族に宛てられた最後の手紙には
    この手記に記されていた文がまるまる使用されて
    いたとの話をドキュメンタリーで聞きました。

    それが彼の、答えなのではないかと思います。
    反省とは果たして、と考えさせられる作品でした。

    0
    2026年02月22日
  • 絶歌

    Posted by ブクログ

    賛否が分かれる1冊だと思います。読書が好きという筆者によって執筆されており、当時の心境や状況が高い解像度で書かれており、筆者自身についてよく知ることができました。それ故に、生々しく残酷な情景がリアルに想像できるため、苦手な方は辛くなってしまうかも知れません。
    少年法や矯正教育の現状についても触れられており、自身の課題と向き合うことは社会復帰に必要不可欠ですが、その期間が社会との間に溝を生じさせてしまうという点にも課題を感じました。

    0
    2025年09月21日
  • 絶歌

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    文章がうますぎる。
    それによっておどろおどろしい手記を1日で読み上げてしまった。

    事件当時の記憶についてあまりにも生々しく、本当に更生したのか疑ってしまう。
    反省している文についても取り繕っているのでは?と懐疑的になってしまうほど言葉がただの容れ物に感じた。

    僕は今頃になって、「生きる」ことを愛してしまいました。

    遺族に向けた手紙に書かれていたこのフレーズは重くか心に響いた。

    0
    2025年08月29日
  • 絶歌

    Posted by ブクログ

    著者の気持ちや思いを汲まずに書くのであれば、
    文章の所々が妙に抽象的で色鮮やかに書かれていた。
    その時の感情などとてもリアルに表現されといた。
    ある意味本当の天才なのだと思う。
    そして彼の苦労が深く思えた。
    決して許されるものではないため読む方も苦しいし、書いた方も苦しい人生を送ってきたのだと思う。

    1
    2025年03月28日
  • 絶歌

    購入済み

    彼のしたことは許されることではない。
    しかし、読んでいるうちに彼の悔いや苦しみを感じて応援をしたい気持ちにもなる。
    だが被害者側の気持ちにもなると、本当に難しい事件だなぁと深く悲しい。
    答えが出ないが、彼の気持ちを深く知れたことは読んで良かったなと思う。

    #ダーク

    0
    2024年04月25日
  • 絶歌

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    すごく評価が低い。

    本を評価するこの媒体で、読む価値がないと言われて2.88。

    書いてる人が世間を震撼させた『元少年A』だから?

    私はそれが一番悲しいなと思ってしまった。

    断っておくが、少年Aがやったことを肯定するつもりは一切ないしどんな理由であれ人を殺すのはよくない。喧嘩とか怨恨とか痴情のもつれとかだとしてもダメだし、理由なく興味で殺すなんてもってのほかだ。

    ただ、フィクションとは違う実体験だからこそ分かることだってたくさんある。
    犯罪者が本を出すことに対して金が欲しかったから書いたんだろ的な発想をよく目にするけど、メディアがそう見せてるだけなのではとよく思う。

    少年Aの言葉はすごく詩的で、どの描写の詩的様式で撮られたモノクローム映画のようだ。
    きっと人に生まれて物心がついてから目に入った全てがそんな風に見えていたんだろう。

    目に映る人も登場人物なだけ。
    身近に愛をくれる人間以外は出演者。

    そんな風に思える文章だった。
    ここに首を置いたら美しい演出になっただけ。
    美しいものを見たら興奮したからオナニーしただけ。
    それがたまたま死だっただけ。

    それだけの話。

    その後の半生で人らしくなるための努力をして、やっと普通になれたとしても、罪を背負う。
    自分のしたことが罪であることを認める。

    流石に100%理解はできない。
    一線を越えてないだけだけど。
    逆に言えば、私は被害者家族ではないから、そっちの気持ちに寄り添うこともできない。

    だってみんな、事件に注目した理由はドラマや漫画で出てきそうないかにもは殺人だったからでしょ。

    被害者家族よりも、首が置かれたことに注目した。
    私だってその1人だから被害者家族と一緒には泣けない。

    ただ、少年Aが自分の人生を振り返って同じ気を起こさないまでになったことや、それでも罪を背負っている。それが人を殺した者の全てだってことを、一番分からせてくれる本だと思った。


    フィクションのミステリーだけじゃ分からない。
    ちゃんと見つめて、正当に判断してほしい。

    犯罪者が書いた本はクソなんじゃない。
    その視点は結局、事件の凄惨さに食いついた者たちと変わらない。

    って思いました。

    0
    2023年06月16日