マイケル・E・ポーターのレビュー一覧
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競争戦略とは競争に勝つ戦略ではなく競争を避けるための戦略である。そう考えると競争戦略を学びたくなる人も多いのではないか。
競争社会において戦って勝っていくことが好きな方はそれはそれでよいのだが、そういう方ばかりではないだろう。私もそうである。ゲームなど純粋に勝ち負けを楽しむものを除き、人生において人を負かせることを楽しいとはあまり思えない。それなので他者との競争にどう勝つのかというテクニックにはあまり興味が湧かないのだが、本書はそういう類のものでは全く無い。基本的にはこの市場、社会、つまりは外部環境を理解した上で自らが持つ独自性を活かしたポジションを取るということである。本書にはそのために必要 -
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5フォースの生みの親、マイケルEポーターの著書。
インターネット時代の競争戦略を見直している。世界の企業は、競争戦略から企業戦略へと移行してきている。日本の企業はほとんど戦略を立てずに経営している。戦略を立ててきた数少ない企業としてソニー、キャノン、任天堂などが挙げられている。インターネット時代、情報革命の中で、ビジネスモデルやeコマースなど誤解を招く用語が飛び交っている。
新しくCEOになることへの7つの新事実が秀逸だった。
CEOが経営を担っているのではない
CEOが命令を下すことはリスクが高い
CEOは社内で何が起きているか把握できない
CEOの言動一つがメッセージとなる
CEOには取締 -
Posted by ブクログ
経営戦略の大家であるマイケルポーターと元企業経営者による政治分野においてファイブフォースを取り入れて分析を行った本。
実際の分析のプロセスは正直どうなんだろと思うところ(そもそも政治分野に「競争」の概念を取り入れること自体個人的は反対)も多々あったが、世界一裕福なアメリカがなぜランキングではここまで下なのだろうか、近年の社会はなぜここまで劣化、あるいは格差が広がっているかなどの課題意識は、極めて正しいと思うし、読み物として面白い。
アメリカの二大政党制という極めて歪な政治構造にメスをいれることはなかなかできないけれど、新たな視座を提供してくれる本。 -
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ポーターの理論がテンポ良く要約されていた。
業界の競争環境を5フォースのフレームワークを軸に分析して平均的な収益性を把握し、その中で独自性を追求したポジショニングとそのために企業内外の全活動を方向付けることで模倣困難な競争優位性を獲得するのが戦略である。決してオペレーション効率を追求することが戦略ではない。
そして、情報技術が競争優位の獲得・維持・強化に必要不可欠であり、企業活動の有効な連携のためにシステムを戦略的に構築することが重要である。
衰退産業では収穫戦略(製品・サービスの種類とグレードを低下させつつ当面の収益確保)や撤退戦略だけでなく、衰退の速度や競争環境を踏まえて、可能であれば、他 -
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現代においても、地理的要因は企業にとって極めて重要である。かつては安い人件費やインフラの整備状況といった比較優位をもたらす要素が重要だったが、現代は、イノベーションを促す良好な競争環境が重要であり、競合の存在、先進的なニーズを持った市場の存在、関連産業と支援産業の充実が揃った地域において事業活動のコアな部分を展開することが、競争優位の確立に不可欠になってきている。
産業ごとに、適した地域が存在し、産業クラスターが形成され、地域の経済発展の原動力にもなる。
企業は、競争を忌避して規制強化を求めるロビー活動を行うよりも適切な競争の中に身を置くことで競争優位の獲得につながり、地方政府も、主力企業を保 -
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企業が潰れる時っていうのは、競争相手にヤラレタというよりは自らの生産力や活力の減退に起因することの方が多い・・・的な話をどこかで聞いたことがあるが、この本もそれに近い指摘をする。
要するに企業間の競争は、いかに相手を出し抜くかということもあるだろうけれども、コアコンピタンス、すなわち自身の強みを認識し、磨くことによって自ずから競争優位の境地を作り出すことにある。
その意味では、競争の敵は、外側よりむしろ(コンセンサスの齟齬だとか、足の引っ張り合いだとか、あれもこれもやりたがるとか、といった)内側にあるらしい、ということに思い至る。
なにかというと相手に「合わせる」ことしか言い出さない某ク -
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ネタバレポーター氏の競争戦略論に関する論文をまとめたもよ。
競争要因の深堀りから始まり、戦略、特にポジショニングの確立について、衰退産業、企業戦略と幅広く書かれている。
企業が経営する中で、他社と競合関係にある場合、ポーター氏の競争戦略的な視点は有効だと思う。
ただ変化の早いIT産業では向いていない部分もあるが、ポジショニングに関しては他社動向を踏まえ刷新していく必要があるかもしれない。
参考になる部分は多い。
自社のビジネスを構成する要素をマッピングにより明確化し、各要素のフィットをクリアにすると、強みおよび取りうる戦略が明らかになると感じている。