高橋明也のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
なにこれ、という感じ。名画の目白押し。集める明確な基準は感じられず、金に飽かして集めたんだろうが、これだけ素晴らしいものを集めてくれれば文句なし。
ヤン・ファン・エイク、ボッティチェリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ベリーニ、ラファエロ、カラヴァッチョを始め、フェルメール、レンブラント、さらには近代の名画も多数。エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ル・ブランもあるし、ゴッホもある。しかし、この本の編集者が言うように、最高の名品は「ウィルトン二連画」だろう。国際ゴシック様式で描かれた繊細優美な絵だが、なんといっても青と金の使い方が超絶的に素晴らしいのだ。それに、カルロ・クリヴェッリの「聖エミディウスを -
Posted by ブクログ
専門分野は異なりますが、長年、美術史家としてご活躍されているお三方の趣味や好みが満載の内容です。良い意味で、忖度がないような美術鑑賞の対談集です。
あるひとつの章の大見出しは、「おっぱいとエロとエロスの話」です。。。
基本的に健康面の心配を軸に(!?)、真面目でかたい内容ではなく、どんどん読み進んでいけます。特に常設展をフューチャーしている部分は納得。私は2020年1月にゴッホ展で見たゴーギャンの作品《水飼い場》を地元の島根県立美術館のコレクション展で再び見たとき、その再会に不思議な感覚をおぼえました。会期末間際で超絶混雑していた上野の森美術館で見た絵が、そこではじっと絵の前で立ち止まっていて -
Posted by ブクログ
丸の内にある落ち着いた雰囲気を持つ美術館である、三菱一号館美術館。同館の館長が書き綴る、日本の美術展と美術館の実態と現状。日本の美術館に対する公的援助が少ないことは、以前から重々承知していた。自前で用意できるコレクションに乏しく、海外にネットワークを張り巡らす新聞社・メディアの力なくしては、日本の美術館で海外芸術の展覧感を開催することは難しいのだ。そのことが、日本の美術館とメディアの関係に悪影響を及ぼし、日本に真っ当な美重点の評論が存在しないことを、筆者は心から憂えている。「寄付」と「寄贈」の違い、美術品を巡るドロドロの世界、美術品と光(太陽光、室内照明問わず)の関係…。「学芸員」の地位が、海
-
Posted by ブクログ
美術ファンとしては各美術館で様々な企画展が開催される事は行きたい展示が多すぎて選べない!という贅沢な悩みだと思っていたけれど、関係者から見ると美術展の商業化という意味で良いことばかりではないのだと知って驚いた。
海外から作品を集めれば集めるほど輸送費や保険料で莫大な費用がかかり、それを回収するため新聞社やテレビが宣伝しグッズを作り‥いわゆる日本で開催される「企画展」は失敗が許されない、ハイリスクハイリターンの一大ビジネスに(良くも悪くも)なったとのこと。関係者は大変なプレッシャーの中で準備に追われているんだろうな‥
今後美術館に行く時は心して行こうと思いました(笑)
あと個人的には日本の美術品 -
Posted by ブクログ
言われてみれば気になるものがある。それは美術館の行っている展覧会がどのように企画されて運営されるかということだ。その点で今回の本はぴったりだ。今回の著者は、丸の内にある三菱一号館美術館の初代館長。
よく展覧会のパンフレットに主催者の欄に必ずと言っていいほど載っている業界の名前がある。それは新聞社だ。戦後の海外展で海外の美術館から貸してもらうための交渉をするには海外駐在員や特派員はうってつけの存在だった。何しろ1ドル360円という時代で、誰もが手軽に旅行できる時代ではなかった。そのうえ新聞社にとっても自社の存在をアピールできる。アピールも文化に関心があるというお上品なやりかたで。需要の供給 -
Posted by ブクログ
初期ルネサンスの作品が並ぶセインズベリー翼から始まって、盛期ルネサンス作品を集めた西翼ギャラリー、カラヴァッジョからベラスケス、ムリーリョ、レンブラント、フェルメール、ルーベンスなどが並ぶ北翼ギャラリー、ターナーをはじめとする風景画、ロココ式絵画、印象派まで、オーディオガイドの内容を読むような感じで作品を楽しむ予習ができる本だった。
まず最初にロンドンナショナルギャラリー設立の歴史や建物の紹介があって、もうこの時点でこの空間に立ちたい気持ちになるし、全部でおよそ100作品が掲載されていて、どれも実際の大きさ、色、筆遣い、額の豪華さとかを生で観たくなるし(開幕予定のロンドンナショナルギャラリー -
Posted by ブクログ
この間『美術館で働くということ』というエッセコミックを読んだ時、この本のことが頭にあった。
そこでいよいよ読むことに。
著者はオルセー美術館の開館準備室、国立西洋美術館の学芸員を歴任し、三菱一号館美術館館長に収まった、エリート中のエリート。
そういう立場から垣間見た、欧米のキュレーターの世界の華麗なことといったら。
『美術館で…』とはまた違う印象。
企画した展覧会のために作品を貸し借りしたり、コレクションを充実させるために買い付ける。
こういう仕事柄、学芸員同士はもちろん、画商、コレクターらとの人脈がものをいう。
そのため、大富豪ともそつなく付き合える教養や社交性も求められる――というのだ