梅原淳のレビュー一覧
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ネタバレ電車を利用していて遭遇する場面がある。それは、電車の運転間隔を調整する、あるいは運転を止める。人身事故で調査中、安全確認後に運転再開というアナウンスや、強風や地震で一時運転停止と言ったことを聞く機会がある。
利用者も止まると困るが、運航している側も困る。享年のNHKで放送されていた「ブラタモリ」の中で、東京メトロの基地を訪れていたタモリと久保田アナウンサー。突然、事故か何かで、運航時間変更に追われていた職員の姿を映し出していた。見ていて大変だなあと思ったのを覚えている。
著者は、地震が発生すると、なぜ運転再開までに長い時間を要するのか?として次の6つの手順を挙げている。
1.列車を止め、続いて運転士は列車の運行を一括して管理する
2.指令所の指令員、あるいは駅と連絡を取って被害の状況を報告する
3.駅と駅との間に停車した列車の利用客の避難や誘導を行う
4.線路や施設の点検と復旧を実施する
5.運転を再開するに当たっての運行計画の策定や乗務員、車両の手配を行う
6.運転再開前に、行政など関係機関や他の鉄道会社との連絡や調整を実施する
いろいろやることがあって、地震が止まったらすぐに出発進行とはいかないようだ。特に私鉄と東京メトロがつながっている路線ではそうなる。たとえば、東急田園都市線と東京メトロ半蔵門線、東武東上線と東京メトロ副都心線あるいは有楽町線がいい例だ。(東京の事例ばかりで申し訳ないが、モクモク羊の生活圏内が東京近辺なのでどうしてもそうなってしまう)
いくつもの路線がつながると便利なことは、乗り換えなしで目的地まですいすいと行けることだ。その反面、途中で事故が起きてしまうと一見関係のない路線でも被害にあい、運航見合わせという結果になることがある。その理由として、折り返し運転する余裕がないことがある。折り返し運転をするためには、場所と人員を確保する必要がある。しかし、民営化以来、折り返し用の人員削減を行った。さらに、運航管理をCTC( Centralized Traffic Control device 列車集中制御装置)が担うようになり、折り返し運転をこまめにするのが難しくなったとある。
安全と言えば、ホームドアの設置が気になる。ホームドアがつけば安全性が高まっていいと思うが、付けるには多額の費用が掛かるとある。さらに著者によれは、飛び込みが多いのは通過駅だそうだ。東京駅だと人がいて仮に飛び込もうとしたら誰かが止めることが大いにありうる。それに、最近目に付くのが、停止位置の変更のために列車をちょっと動かすことに遭遇したことが何回かある。なかなか停止位置に止まるのが難しいのかなと思う。
普段お世話になっているインフラだけに、運行がどうして止まるか気になって今回の本を読んだ。安全の確保には細心の注意を払ってほしいと思う。 -
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地方に行くと、かつて首都圏で見たり乗ったりしていた電車がのどかな景色に不似合いな感じでいるのを見かけたり、また海外で日本の中古車両が頑張っている様子を見たり、メディアで紹介されたりもしてそれなりの感慨を抱く。そんな背景事情を知ることができるかなと思い読んでみた。
しかし、これは内容がマニアック。鉄道に深い興味のない私には難しいお勉強になってしまった。そういえば以前も交通新聞社新書を読んで同じような思いをしたことがある気がする。データが次から次へと出てきて、これが鉄道を知る人が読むうえでの真骨頂なのかもしれないが、私は飛ばし読み。一方で、著者自身の見立てを語りに語り、最後は関係者に聞いたらそんなことではなかったという落ちがあったり、妙に情緒的なところもあったりで、好きなものが相手だとそんなふうになるのもわかるよ、わかるということで。 -
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#884「電車たちの「第二の人生」」
第一線を退いた車両が、他社で活躍するのを紹介する記事は多くありますが、いかにも梅原淳さんらしい、誠実な筆致で書かれた一冊であります。特に日本の鉄道創業期に登場した蒸気機関車1号~10号までの消息を辿る部分は、律義さがにじみ出てゐます。
個人的には、かつて東急⇒名鉄に譲渡された3880系電車が思い出深い。当時二扉クロスシート王国だつた名鉄が、混雑緩和の為に急遽導入したのがそれであります。三扉も珍しかつたが、名鉄では異例の三両固定組成も目を引きました。6000系の登場で活躍期間は短かつたですが...... -
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2011年から13年にかけて、JR北海道で相次いで起こった脱線事故や車両の不具合の原因を分析し、安全が担保できない程の経営難であることを含め、JR北海道が抱える構造的な問題を指摘した本。事故の解説については技術的なことも含め、鉄道経営の話についてはデータを駆使して、問題点と筆者の提言がなされる。
『JR崩壊』というのは物騒、というか落ち着かないタイトルだとおれは思ったが「JR北海道をはじめとする鉄道事業者が共通して抱える問題を放置しておくと、いずれ危険な状況に陥るから改めなければならないとの願いを込めたもの」(p.195)らしい。正直鉄道の経営とか、あるいは北海道についても全然馴染みがないので、読むのに苦労するのかと思ったし、実際興味の持てないデータの話も多々あったけど、主張自体は明確で読みやすい。なんといっても国鉄民営化、でJRグループが出来たけど、「経営状況が脆弱」なJR三島会社(JR北海道、四国、九州)&JR貨物と、本州にあるJR東日本、西日本、東海の二分化できる、というのが、印象に残った。ロゴの色が違う、とかそういう話ではない、ということが分かる。
第3章までは筆者の分析や提言だが、第4章は「識者の意見」として交通評論家、という肩書の人と元JR九州の社長の2人が現在と今後のJRについて語る章になっており、この章は極めて分かりやすく、興味深く読めた。特にJR九州の元社長の話は「常に改革し続けていかなければ改革ではない」(p.168)とか、「消費者が何を基準に選ぶかと言ったら理性的な価値ではなくて、感性的な価値で選ぶ」(p.177)とか、「現場と現物と現実」の「三現主義」(p.183)とか、ビジネス書みたいになっている。「ななつ星」をヒットさせる思想、というのが経営を立て直したハウステンボスやUSJの話みたいで、面白かった。確かにJR北海道だってこの元社長の言うように「開拓使的な原野的なロケーション」(p.190)を活かしたビジネスなんてできそうだけどなあ、と思うけど、同時に経営はそんなに簡単なものじゃない、というのも分かるし、もう1人の識者も言うように「技術屋さんと営業屋さんと労務屋さん」(p.144)のバランスが悪いということで、そういう発想に至らないという、まさに構造的な問題というのもあるらしいので難しい。
今から7年前、なので、こういう不祥事を受けて今はどういう状況になっているのかよく分からないということと、北海道はよく分からないのでJR東日本の場合はどうなのかということを知りたいと思った。(20/09/18) -
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由々しき事故が相次いだJR北海道だが、同情すべき点も多い。広大なエリア、人口密度の低い地域に張り巡らされた鉄道網、冬の過酷な厳しさ。最悪の環境下にあることは十分に考慮する余地がある。極寒の中、列車の運転が全面休止されてもおかしくないような状態でも時刻通り動かさなければならない。しかも主力車両はディーゼルカー。メンテナンスが複雑なうえ冬季は一晩中アイドリング状態にしていなければならない。内地に比べ莫大なコストを必要とするにもかかわらず、運賃は公共料金扱いで営業収益が悪化しても変更するのは極めて難しい。いきおい管理職はコストの削減だけを言い、お客様や現業部門の声を軽視してしまう。現場から破損箇所、故障したものを修繕したいとの申請があっても社員の落ち度と撥ね返してしまう。事故前、現業部門は軌間が基準値より広がっていたことに気づいていたにもかかわらず、管理部門には報告しなかった。JR北海道の復権には、固定資産税、軽油引取税、都市計画税の減免、経営安定基金の活用等、実質的な公的支援の議論も大事だが、まずしなければならないのは、管理部門と現業部門の風通しの悪さの改善。人と人との信頼関係を取り戻すことが最も大切と思う。
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東日本大震災後、福島第一原発の事故で電力の供給が危うくなった
(東電と政府曰く…だが)。そこで始まったのが計画停電という
名ばかりの無計画停電だ。
病院や自宅で酸素吸入をしている病人の方も大変だったろうが、
混乱を極めたのが公共交通機関として他には比べるものがない
くらいの大量輸送量を誇る各鉄道会社だ。
間引き運転ならまだいい方で、鉄道会社によっては運休区間が
あった。私が利用している地元駅も運休区間に当たっていた。
始発駅となったふたつ先の駅は人で溢れていたという。私は
「電車、動いてません」と会社へ連絡して休んだんだけどね。
先の震災の時に限らず、台風や強風で遅れが出たり、運休したり
する鉄道だが、これもみな、利用客の安全の為なんだよね。
移動手段として非常に便利な鉄道。利用客は「動いて当たり前」と
思っているから、遅延や運休になると駅員さんに食ってかかっている
人を時折見かける。
動いているはずの電車が動かない。確かに不便だけれど、自然がもた
らすものなのだから駅員さんに喚いてもどうにもなるもんじゃないの
になぁ。
だって、台風や突風での事故って結構あるじゃないか。脱線・転覆
なんてことになったら約束に送れるどころか、直に命に関わっちゃう
のだぞ。
本書はどうして電車が止まるのかを、過去の事故の例を引き合いに
して解説している。
雨でも、風でも、電車は止まる。その基準はどこにあるのか等、分かり
やすく書かれているので今度、駅で駅員さんを脅している人を見掛け
たら本書を渡してあげようか。笑。
世界を見渡しても安全性が格段に高いと言われる日本の鉄道だけれど、
まだまだリスクはあるんだね。日々、安全に運行出来るよう対策して
くれている鉄道会社に感謝☆