評価もジャンル分けすらも難しい。確かにハヤカワミステリという括りで出版されてはいるが…。
そもそも怪我を負った主人公が農場から出れない、という掴みがある意味違う。いつでも出れるし、街に買い物に行ったりする。出れないのではなく出ない、でありこの農場で暮らすことによって曲がりなりにも”家族”を体感するひ
...続きを読むと夏の出来事が、この家族に隠された忌まわしい過去によってついに崩壊するまでを描く。
そのため、ストーリーにはさほど起伏は無いので、そういう意味でサスペンスを期待すると大外れとなる。しかし、緻密な人物描写と濃厚な背景描写で読んでいて主人公の心情に共感できるので全く退屈しない。
同時進行で主人公の逃亡?に至る過去もリアルに描かれるのもうまい構成。
エピローグにも余韻が残る。
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