河野多恵子のレビュー一覧

  • 不意の声

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     徹底的に描きこまれた日常描写と、主人公への執拗な内面の接近が、本作を際立った傑作へと導いている。読者は強く張られた一本の糸の上を渡るよう強いられるような感覚を、文章から感じざるをえないだろう。
     日常と狂気のグロテスクで単純な融和。父の声に勇気づけられて殺人を繰り返す主人公の異常な心理を見張っていると、もはや読後も安易な日常的思考に立ち帰れる自信が失われる。迷路は多くの分岐と行き止まりを含んだ隘路を指すだけではない。広い幅を含み、見上げるほど高い壁に囲まれた一本の道もまた、一種の迷路と呼べるのではないのか。
     この小説は、そういった類の迷路に近い。両手を広げても、2つの手が同時に左右の壁に触

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    2022年09月26日
  • 不意の声

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    子を産めない女の中に芽生えたある種の自我が
    日本の家族幻想を破壊する
    しかし彼女の前に現れて彼女の選択を肯定してくれるのは
    キリストではなく彼女自身の亡き父親だった

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    2012年02月07日
  • 骨の肉・最後の時・砂の檻

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    ネタバレ

    NHK TV Jブンガクの2009年6月に「骨の肉」の紹介がありました。

    牡蠣の殻の描写がとても細かいのが印象的でした。
    貝柱の食べ残しをどうやって食べるかという。
    登場人物の人間模様を、食を通じて描いているようです。

    Bone Meatという名前でラワーが英訳しているらしいのですが、まだ探せていません。

    ps.
    今日、貝殻の牡蠣をはじめて買いました。
    どうやって、焼いたらいいか、試してみました。
    貝殻を開くのがとても大変でした。

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    2011年12月27日
  • 骨の肉・最後の時・砂の檻

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    「骨の肉」の食事のシーンがすごい。男の食べた後の骨に残った肉や、牡蠣の殻に残った身を貪り食う女の悦びが痛い。

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    2009年10月04日
  • 不意の声

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    ネタバレ

    昔の本の匂いがする古い本で読んだ。
    どうにも難しくなかなか読み進められなかった。

    結局、彼女は何がしたかったのか
    なぜ幼い子供も殺さねばならなかったのか
    終盤、亡父の存在感がなくなっていて混乱してしまった
    最後に手にかけたのは夫なのか?
    疑問の残る物語だった

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    2020年07月02日