塚﨑朝子のレビュー一覧
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購入済み
読みやすくはないが
語り口は論文調で決して読みやすくはないが、語られている「免疫」の話は非常に面白い。全体的に謎を解き明かしてゆくミステリー小説っぽいところはワクワクする。と同時に中盤部分の成果発表の先陣争い、査読の問題、明確には書かれていないが派閥.学閥の問題などは、いかにもドロドロしている。おそらくノーベル賞もこの延長線上にありそうな気がする。後半部分のがん治療やアレルギー治療への応用の話はこれはこれで将来に希望を持たせてくれる良い話であった。
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Posted by ブクログ
著者のノーベル賞受賞をきっかけに、門外漢ながら本書を手に取ってみました。理系の本はめったに読まないので苦戦するかと思いきや、入門書なので文章自体は読みやすかったです。専門的な内容への理解はまだまだですが、それでも、ひとつひとつ丁寧な説明のおかげで少しは知識を増やすことができました。
主旨はタイトルの通りなのですが、そこに至るまでの過程も分かりやすく書かれていて、終始楽しく読めました。「研究とはなにか」が裏テーマなのではないかとすら思えました。研究職という進路が選択肢にある人には、本書を一読することをおすすめします。著者もあとがきでこう書いています──「研究とは極めて人間的な営為である。もしも、若い研究者、学生の方々が、私が経験してきたこのような世界を面白く思い、それが研究を志す刺激になればうれしく思う。」(P.255)と。
著者の研究者としての信念を表す言葉が随所に出てきます。「ある概念と自分の考えとを並べて『どちらがより説得力が強いか』と比べて、『自分の考えは、間違っていない』と確信できるものだったからこそ、私は研究を続けてこられた。もっとも、多少の勇気は必要だった。」(P.98)という言葉に心震えました。原因不明とか根治不可能とか言われている病気の中にも、研究の現場では原因や治療法に目星のついているものは多いのでしょう。ただ、それを特定し再現性を持たせることがとても難しい…。そういうことも初めて知りました。ミーハー心から読んでみた本ですが、知らなかったことをたくさん知ることができたので読んでよかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ潰瘍性大腸炎ホルダーなので。
自己免疫疾患。免疫が自分を攻撃しない理由はボスみたいな存在が抑制してる。自己免疫疾患はボスが少ないか仕事サボってる。増やせば自分を攻撃しなくなる。がん細胞は自分の細胞だから攻撃されないが、逆にボスを減らせばがん細胞を免疫が攻撃し始める。ボスである制御系T細胞すごい。
人間の5%は自己免疫疾患を持つ。免疫の世界では、自己と他者が結構曖昧だが95%の人は適切に処理できる。制御系T細胞が関係している。
免疫は菌や異物を攻撃することだけだと思われてたが、制御系T細胞(Treg)は司令塔のような役回りで攻撃をやめさせるヤツがいることがわかった。
制御系T細胞の発生・動作・分化維持を制御してるマスター遺伝子Foxp3(DNAをRNAに転写)がバグると、自己免疫疾患が発動することがマウス実験で分かった。(UCの場合はTregの質が悪い可能性が高い)
また、臓器移植の拒絶反応や妊娠でも関係するし、さらにはがん細胞に対する免疫を抑止する働きなども見られた。マウスからTregを除去すれば免疫疾患になり戻せば回復する。
なので、Tregをうまく操れば、臓器移植の拒絶反応は無くなるし、自己免疫不全も無くなるし、アレルギーも無くなるし、がんも倒せる。しかも、人間が持つ本来の免疫機能を用いるので体に優しい。
TregのTは胸腺を指し、胸腺で生まれ育った細胞である。制御系の他にもキラーT細胞など。
1901年にヤギの血をヤギに輸血する実験で、自分の血なら問題ないが別のヤギの血なら赤血球が崩壊することを見つけ、「免疫は自分には影響がない、自分を攻撃する免疫は進化的にもおかしい」となり、自己免疫関連はそこから50年止まっていた。
その後、1970年代に抑制性T細胞が予言されたが、複雑な条件下でしか発動しなかったり実験に再現性がなかったりしてSTAP細胞みたいに無かったことになった。そんな中似たような制御系T細胞は胡散臭かった。
がん免疫療法のアプローチは4種類。
①がん細胞を殺す
②Tレグを枯渇又は抑制作用を弱める
③抗原をワクチンで提示
④活性化T細胞を遊走
近年Tレグに赤外線を当てて抑制作用を弱めてがん細胞を自己免疫で倒す手法のネズミ実験が成功している。