ジョンジョー・マクファデンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
生命の謎に量子力学が関わっていると言われると、いかにも胡散臭い。しかし、シュレディンガーが言うには、マクロなものを考える古典物理学の観点から考えると、遺伝子は1000回に1度エラーを起こす程度にはサイズの小さい代物だが、実際にはエラーは十億分の1未満で、ここには量子レベルの厳密さが関わっているはずだ、ということらしい。この理屈は、物凄く分かりやすく、この本の本質を付いていると思う。一方で、生物のような温かくて湿った場所では、粒子の量子的な性質は失われてしまうということも、この本の重要なテーマである。このテーマは現在急速に研究が進んでいるらしいが、現在有力な考え方についても一応書いてあるので、真
-
-
Posted by ブクログ
酵素や体内コンパス、光合成などのミクロな生物の機能で実は量子力学の法則を生物が活用していることの紹介とそれらをさらに発展させ、DNA、RNAなどのミクロな働きやそれらが誕生した際にも量子力学の原理が発揮されてこそ、短期間でそれらの仕組みが出来上がったのかもしれないという仮説を提示する。一般向けの書物で、量子力学の基礎からわかりやすく書いてある。
量子力学の機能するコヒーレントな状況下では、電子は確率分布でどこにでも存在する。測定によって存在が一義的に決まってしまうが、光合成の効率的なエネルギー化にはこの量子力学の高速探索能力が必要であり、植物の生きる範囲の温度でもでコヒーレンスは起きない状況が -
-
-
-
Posted by ブクログ
量子力学から生物学の謎を解くという取り組みは大変に興味深い。
仮説であると断っている部分も多いが、妥当性は決して低くないと思う。
学術的な良心に基づいた、この分野の入門書だ。日本人でも量子生物学の研究者はいるのだろうか。
2014年に原著が出ているが、2013年までの論文が引用されている。引用文献リストも末尾に付されている。
量子力学と言っても、トンネル効果、波動の重ね合わせ、量子もつれ、スピン、そして、コヒーレント状態など基本的な概念の適用で説明される事象ばかりであり、それらの概念も本書で丁寧に説明されている。渡り鳥などの磁気コンパスや光合成、魚や昆虫などの鋭い嗅覚、遺伝子の忠実な複製、遺 -
-
-
Posted by ブクログ
中世から現代まで科学を中心に「オッカムの剃刀」がいかに振るわれたかを辿る。全20章。
はしがきで「宇宙マイクロ波背景放射」なるものが淡々と語られる。その書き振りは「ほら、みんなの好きそうなおもろい導入部でしょ?これからもっとおもろくなるで!」という作者のワクワク感と飴玉ここに置いといたからみたいなのを感じるんだけど私としてはこりゃしまったな、思ってたのよりだいぶレベルが高くて読み切れないのではという感じだった。ページ見たら460とかあるし。むむむ。
ただ読んでみるとおもろい。最初はオッカムのウィリアムの逃亡劇。しばらくしてコペルニクスにガリレオ、ロバートボイル、ウォレス、ベイツ、ダーウィン -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
生命は量子力学に頼っていると考える2人の研究者が最新の量子生物学について素人向けに解説しています。
前半の150ページほどを費やして、量子力学の不思議な世界観を初心者向けに丁寧に説明しており、特に二重スリットのくだりが秀逸で分かりやすい。
以前から個人的にとても興味をそそられている量子もつれの説明も面白かった。
何度か登場する「作ることができないものは理解したことにならない」というファインマンさんの言葉が印象的です。
現時点でも我々の技術では未だに生命を作りだせていない。酵素すら作れていない。
従ってどんな説も推論の域を出ないのだが、呼吸、光合成、嗅覚、渡り鳥の地磁気感知などに量子の振る舞いを -
Posted by ブクログ
(途中メモ、雑記。)
↓超勝手な感想。なんの根拠もなーし。オカルトのつもりもなし。
修復するDNAやボディの話やら読んでるうちに、あるべき姿のバックアップのような、たい焼きの金型のようなものが置いてある次元が思い浮かぶ。
すると、ペンローズでもでてきたイデア論がしっくりくる。
Googleの人工ニューラルネットワークが見た夢が悪夢のようだったのは、計算処理上でイデアに接続する量子のもつれやらが介在していないことによるんじゃないか、と。イデアを背景にもたない機械処理は、あのGoogle"Deep Dream"やギーガの絵のような世界をもたらし、ホーキングやらが警告する人工知 -
Posted by ブクログ
最初のところすごいいんだよね。引き込まれる。定義として、生命と非生命を分けるのって何?量子力学的な見地を取り入れられているのかどうか?ってことなんだよ。ってところ。「福岡伸一、西田哲学を読む」と同時に読むと、ああ、動的平衡で話していることってつまり、量子的な効果の見えるコヒーレントな状況を作り出すということが先回りなんだろうなとか合点できて、読書の楽しみを満喫しているところ。読者は検証しなくて想像だけしてればいいからね。
ニック・レーンの生命、エネルギー、進化のほうが深みがあるし、しかも検証の程度も進んでいる。こちらは比較的量子力学と生命に関していろいろな話があるんですよということをまとめて -
-
-