【感想・ネタバレ】世界はシンプルなほど正しい~「オッカムの剃刀」はいかに今日の科学をつくったか~のレビュー

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Posted by ブクログ

中世から現代まで科学を中心に「オッカムの剃刀」がいかに振るわれたかを辿る。全20章。

はしがきで「宇宙マイクロ波背景放射」なるものが淡々と語られる。その書き振りは「ほら、みんなの好きそうなおもろい導入部でしょ?これからもっとおもろくなるで!」という作者のワクワク感と飴玉ここに置いといたからみたいなのを感じるんだけど私としてはこりゃしまったな、思ってたのよりだいぶレベルが高くて読み切れないのではという感じだった。ページ見たら460とかあるし。むむむ。

ただ読んでみるとおもろい。最初はオッカムのウィリアムの逃亡劇。しばらくしてコペルニクスにガリレオ、ロバートボイル、ウォレス、ベイツ、ダーウィン、アインシュタインと数百年の歴史を下りながらいかに科学が生物学が量子力学が発展してきたかを紹介。(実際はもっと沢山の超有名科学者たちが登場します)

そうねぇ。。読んだのは読んだけど「どんな本だった?」と聞かれると答えられないなぁ。読めはするけど内容は頭に残ってません。キッパリ。特に最後の量子力学は完全にオーバー。

無理矢理例えると数百年間の科学ドラマ。国や時代、登場人物はシーズンごとに変わっていく。ただ「オッカムの剃刀」というアイテム?概念?設定?は守ってる長編連続ドラマ。主人公が毎回変わる水戸黄門というか。ドイツの黄門様。アメリカの黄門様。印籠がオッカムの剃刀ね。モノじゃないけど。伝わる?伝わらないよね。ごめん。

本の感想とか評価では全然ないんですが、思ったことを記録。

1)これがこうやって日本語にまで翻訳されて売ってるってことは、この本をスラスラ読んで内容に沿った感想を書いたり、また文中のエピソードなんかを覚えて人に話したり、「そうは言ってもさー」とか議論まで出来る人が世界中に沢山いるんですよね。みんな頭良くていいなぁ。
それともみんなが普通で私がパーなだけかしら。

2)今でも目眩がする程に洗脳状態は世界のあちこちで続いていますが、つい最近まではどれほど頭脳明晰の人も「神なんていない」という風にはならなかった、なれなかった、私的な日記であっても書けなかった、というか。これからまた50年後にはもっと自由になってるかもだけど20-21世紀に生きててラッキー。何でもかんでも信仰が混ざってたらまずくない?(今でも余裕で混ざってますけども)でも必要なのかな。心の支えになるのかな。恋人友人は見つけやすいのかな。うーん。百歩譲って多神教だなぁ。てかよく無くならないな。

3)ウィリアムのくだり「イエスは財布を持っているか」の議論、ブラックホールは別の宇宙でビックバン説、両方好き。

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2024年01月30日

Posted by ブクログ

「複雑な理論より、シンプルな理論のほうが正しい」
「余分な複雑さは削ぎ落とすが吉」

14世紀の神学者が唱えてたとされる、極めてシンプルで有効な方法論。
それは、科学の発展を後押しすることもあったし、科学の発展に裏打ちされることもあり、今やもう、語る必要もないくらい普遍的な心理となっている。

その裔に、ガリレオもコペルニクスも、ケプラーも、ニュートンも、おますのだ。

本書は、その視点で科学発展史を語る。
神の軛から、科学を解き放つのが、どれだけ困難な事業であったかが、ホンマによく解る。

著者は最後に、結局のところはそれは、ベイズ統計だろうという。
シンプルなことほど、現実である可能性が高く、再現されるほど、その確率が上がると言うことだろう。
ぶっちゃけ、起こりやすいことほど、起こりやすいんだと言うこと。

逆に、同じ現象を説明するに、複雑していいのであれば、人間の知性は、あらゆることに説明をつけることが出来るというのも、一面であった。
ただ、予測性とか再現性において破綻しやすいということなのだろうな。

こういう科学史で毎度の如く、量子力学辺りでもう理解の外郭を超えてしまったのだが、本書の面白さを何ら欠するものではありません。

「対称性」っていう、日本語訳が多分、よくないと思うんだよなあ。

何より、件の神学者の名前は、ウィリアムなのに、出身地がオッカムだからって、オッカムの剃刀っていうって、そこが一番腑に落ちなかった。

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2023年07月13日

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