永山薫のレビュー一覧
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手塚治虫から氏賀Y太まで、エロマンガ通史及び分析。「米沢嘉博 / 戦後エロマンガ史」の90年代以降を任されたとあとがきにある通り(米沢氏の前掲書も凄まじい濃密さだった)、ディズニー・手塚治虫からスタートしつつも80年代〜90年代〜00年代のエロマンガを濃密に収めた一冊。通史としての読み物としてもかなり面白い上に、「乳首を**のように描いたのは**が最初」というようなトリビア的な羅列ではなく、エロマンガの題材から読者は何を読み取っているのかが(約2年間のロリコン漫画全盛期を経ていきなり巨乳ブームが来たとして、日本人がみな幼児性愛者から巨乳崇拝に変わったなんていうはずがない。一体読者は何を誰目線で
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2006年に書かれたエロマンガの通史・解説書の文庫版。エロマンガというジャンルが豊穣で、それが日本のマンガの豊かさと密接に絡み合っていることがよくわかる。
読者の同一化の対象が、登場人物の男性ではなく、時に女性であるという指摘から、今でいう「男の娘」的なジェンダーの混乱に議論を接続していくのは興味深かった。原本が出た2006年と文庫版の2014年の社会的に大きな違いである「ポリティカル・コレクトネスの浸透」についての議論を捕捉する巻末の解説もよい。個人的には、文中に登場するエロマンガ家の作品を、自分がかなり読んでいた事におどろいたな……。
類書が少なく、マンガという表現ジャンルを理解しよう -
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文芸評論スタイルのエロマンガ史
年代、嗜好の縦串横串の視点からエロマンガ史を俯瞰。
80年代〜00年代のダイナミックな動きは、私自身も注目していた時期でもあり興味深い。
ロリコンマンガ(前衛的でエロが主目的ではない)→「抜き系」の巻き返し→「萌え」への大連合といった流れ。
そして、当局の取り締まりとの闘い(ほぼ一方的なのだが)も常に並行して続いていた。
著者は終始「エロマンガ」というワードを使用しているが、「成年コミック」という表記は規制反対側の人間からすれば進んでは使用したくない言葉なのであろう。
なお、規制反対派側の立場で、創作物に対する評論もやや奔放に(過激に)展開する傾向がある -
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第1部「エロマンガ全史」は、手塚治虫の記号絵に孕まれたエロティシズムを解読することから始まり、1970年代の「三流劇画」ないし「エロ劇画」と呼ばれるジャンルの隆盛と、80年代以降のロリコン・ブーム、そして遊人の『ANGEL』や上村純子の『あぶない! ルナ先生』が被った「有害図書問題」と90年代以降の「抜き」と「萌え」における新しい展開などが、簡潔ながら手際よくまとめられています。
第2部「愛と性のさまざまなカタチ」は、ジャンル別の考察です。「ロリコン漫画」「巨乳漫画」「妹系と近親相姦」「陵辱と調教」「愛をめぐる物語」「SMと性的マイノリティ」「ジェンダーの混乱」の7つのテーマについて、過去か -
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こないだ秋葉原いって、表通りに面したごく普通の明るい本屋でマンガをみていて、すこし歩いたらほー。というくらい趣がかわったことがあり、いやまあ、ありていにいうとエロマンガばっかのコーナーにはいりこんだんですな。
海外でそんなコアかつ危険でない体験をすることはないので比較はできないけど、日本っておよそ、マンガはエロであってもものすごく好みが細分化されているのだな、と思ったわけです。ロリコン、巨乳、劇画ちっく、男性同士、女性同士、SM、老人、肥満、プラスグロなどなど。
正直グロが入るとあるていどホラー要素、猟奇要素が入ってくるので自分のエリアとも重なり、あまり好みではないけど耐性はある。なんか立派 -
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「エロマンガ」の歴史と現在を詳細に分析した労作。第1部は戦後から現在に至るまでのエロマンガの歴史を描出する。源流としての手塚治虫、直接的な創始者たる石井隆、エロマンガの表現の幅を広げた山本直樹……エロマンガのの周辺も含めて多くの作家が紹介される。第2部は、そうして発展したエロマンガの現状をジャンル別に分析。ニーズに応じて細分化されたジャンルのそれぞれを見ていくことで、エロマンガの見取り図が立ち現れる。
「エロマンガ」っていうのは文化的には傍流中の傍流もいいとこのジャンルで、もっぱらオナニーの用具として「低俗」で「有害」で文化的には圧倒的な「低位」として取り扱われる。でも「実用」重視であるがゆ