杉山隆男のレビュー一覧

  • 私と、妻と、妻の犬
    タイトルどおりの作品だが、小説なのか随筆なのかと思う作品。浮気が原因で家を出て暮らすことになった著者は、経済的な理由で8年後に家に舞い戻ってくる。妻と妻の飼っている犬との、二人と一匹の生活を描いた作品。浮気相手の女性との会話も赤裸々に語られている感があって、妙なリアリティがある。
  • 兵士は起つ―自衛隊史上最大の作戦―
    自衛隊員に地道な取材活動している著者ならではの、自衛隊員が新聞報道されていない個々の活躍を描いたノンフィクション作品。
    安易な自衛隊批判の反証材料や大規模震災の描写資料としても価値がある作品。

    圧巻なのは、通勤途上の自衛隊員達が津波に罹災しながら、生命の危機にある救助を要する人達へのリミットである...続きを読む
  • 兵士は起つ―自衛隊史上最大の作戦―
    東日本大震災の際の自衛隊の働きは目覚しかったが、ニュースになったものばかりでなく、その陰にあった夥しい数の隊員の活躍やドラマが本書には汲み上げられている。家族の安否を気にしながら、その無事を確かめることもせず任務を遂行した隊員たちには頭が下がる。そういうことを本書は改めて思い起こさせてくれた。
    本書...続きを読む
  • 私と、妻と、妻の犬
    登場する人間たちには全く共感できなかった。
    多分ごく普通のありふれた人物像だったからかも。ウジウジした不倫関係とか、険悪な夫婦関係、ドラマのヒーローやヒロインのようにスパッとはいかないもんなんだろうな。
    そんな中で、犬との関係、犬たちの描き方は、読んでるだけなのに手触りを感じることができそうなくらい...続きを読む
  • 私と、妻と、妻の犬
    じわじわ来る。
    身勝手な中年男の退屈な話を延々と聞かされているような感覚だったのに、そのやるせない悲哀にいつの間にか同情すら覚える。

    浮気というよりむしろ本気だった女性との関係が妻の知ることになり家を出た大学教授。
    8年の時を経て経済的理由から妻の元に戻る男。
    もちろん穏やかな日々が待ち受けるわけ...続きを読む
  • 私と、妻と、妻の犬
    小遣い稼ぎにカルチャー教室の講師をしている大学教授が、
    そこの生徒と浮気をし、いい歳をして骨抜きになってしまう。
    ほどなくして浮気がばれ、氷のような妻の態度に耐えきれず家を出るが、
    その8年後経済的に立ち行かなくなり妻の元へ帰る。
    このなんとも気まずい夫婦の間を取り持つように、尖った空気を和ませる妻...続きを読む
  • 兵士に聞け
    自衛隊のことってよく知らない。特に嫌悪感もないけど、興味もなく、だったけどよくないよなあ、と。自分の無知さに沈思、著者の真摯な姿勢に心打たれる。
  • 昭和の特別な一日
    東京勤務時代は日本橋の近くに事務所があったので,「日本橋には空がない」が面白かった.魚市場があった昔からの話は,知らないことばかりで楽しく読めた.「ブロードウェイがやってきた」もよく歩いていた中央線の中野や西武新宿線の地名が出てきて,地図を見ながら楽しんだ.
  • 昭和の特別な一日
    「兵士に聞け」の杉山隆男さん
    確実な聞き取りの取材と
    確かな「定点」の切り口がお見事
    なんでもない(こともないのですが)
    道が
    橋が
    建物が
    その時代の
    匂い、喧噪、歴史を
    抱えて
    語られていく。

    相変わらず
    地面の上にしっかり
    足をつけて
    語られていく
    「庶民の昭和史」
    が うれしい
  • 「兵士」になれなかった三島由紀夫
    三島由紀夫が市谷駐屯地で自決を遂げたのは、1970年11月25日。当時小学生だった私は、そのニュースを新聞やテレビで読んだり観たりしたと思うのだが、全くと言って良いほど記憶がない。その歳では、三島由紀夫の作品を読んだこともなかっただろうし、この事件の思想的な意味合い・背景に、興味を持ったり、あるいは...続きを読む
  • 兵士に告ぐ
    自衛隊、あるいは、自衛隊員を扱った「兵士」シリーズの第4作。杉山隆の興味も、マクロの自衛隊のあり方にも広がってきつつあるのかな、ということを感じた。日曜日の夕方に到着する便で日本に帰ってきました。木曜日までの予定での出張です。たまたま、ということなのかもしれませんが、夜、散歩していると天候の何と気持...続きを読む
  • 兵士を見よ
    「兵士に聞け」に続く、自衛隊を扱った杉山隆男の「兵士シリーズ」ノンフィクションの2冊目の本。この本では、航空自衛隊のパイロットを扱っている。かなり面白い。この本の内容とは直接の関係はないけれども、私の住んでいるバンコクで、昨日、非常事態宣言が発せられた。私の住んでいるあたりは特に何の危険も感じないの...続きを読む
  • 兵士を追え
    普段は日陰者扱いの自衛官、人殺しの道具を持ち、人殺しの訓練を生業としている。と一部の心無い者たちから中傷されている彼等彼女等が何を考え何を感じて任務に邁進しているか、自衛隊部隊への訪問、インタビューで明かされる真実。
    最も国民の目に触れにくい潜水艦部隊、そして他国の潜水艦や不審船を侵入させないために...続きを読む
  • 私と、妻と、妻の犬
    壊れていた夫婦の関係にやってきたのは、ラブラドールのななだった。

    おてんばで活発な性格のななの存在に、
    冷え切った夫婦の関係に変化をもたらせしてくれたのも束の間

    大学教授である私は、1人の女性と親密な関係になっているのを妻に知られ、家を出ることになったのは
    ななが来てから2年余りのことだった。
    ...続きを読む
  • デルタ―陸自「影」の兵士たち―
    昨今きな臭い状態が続いて、それが定常状態にもなりつつあるセンカクの問題ですが、実は今もまだ動いているんですよね。そのセンカクに、自衛隊の秘匿された特殊部隊が出動するという話。

    いやぁ、本当に(ほぼ)“出動する”だけなんですよねぇ。途中までは、調子よく進んでいて、「初の戦闘が!」と言う雰囲気だったん...続きを読む
  • 兵士に聞け
    微妙な立ち場で奮闘している自衛隊のルポ。当たり前だが、人間味あふれる話が中心となっている。塩野七生の自衛隊に贈る言葉には納得だが、それを受け取る自衛隊側の人間が複雑な思いでいることに気づくことができた。そろそろ自衛隊アレルギーも消えるだろうか。独立国家には軍隊は必要なことが世界の認識であると思う。こ...続きを読む
  • 自衛隊が危ない(小学館101新書)
    自衛隊もある意味、一般の企業と変わらないのかもと思わせる書だ。踊る大捜査線と通じるモノを感じた。
    官僚主義がはびこる一方で、自衛隊内で、権利があるから命令を拒否できて、強制されたら訴えるという話しがある。官僚と同じで、組織というものは、劣化が避けられないものなのだろうか?

    [private]・裁判...続きを読む
  • 兵士は起つ―自衛隊史上最大の作戦―
    その存在の是非を常に問われてきた組織の中で、最前線に立って「戦う」人たちのノンフィクション。
    彼らの戦いは奪うことでなく救うことで、であればこそ未曾有の大災害の中、危険を省みず救命にあたった自衛隊の皆さんには本当に頭が下がる。
    彼らの仕事が「奪う」ことに変わらないよう願うばかりです。
  • 自衛隊が危ない(小学館101新書)
    発足から55年、田母神・前航空幕僚長の「懸賞論文」問題が露呈した巨大軍事組織、自衛隊の歪みとは何か。「軍歌が流れる基地」「悩める現場」、そして「アメリカという聖域」。足かけ15年、1000人を超える陸空軍自衛隊員に話を聞き、F15で空中戦訓練を体験し、軍事機密のかたまり、潜水艦で深海を行った「兵士」...続きを読む
  • 昭和の特別な一日
    流石に東京オリンピックについては実体験としては持たない世代だが、昭和39年10月10日の五輪開幕の日が「体育の日」として現代に受け継がれているのは知っているし、その開会式で国立競技場の上空に自衛隊機がスモークを出して五輪を描いたことはその後の写真や記録映像を通じて知っている。

    難易度の高いアクロバ...続きを読む